55. 2012年11月24日 19:16:05
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○大阪市職員語る「橋下市長は手柄横取りで、ミスは職員のせい」…市役所内を我がモノ顔で、好き勝手に振る舞う橋下市長の権勢ぶりに、職員のほぼ全員がNOを突きつけているというのだ。 大手メディアでは伝えられない、そんな大阪市役所の現状をレポートする。 入れ墨を入れていない職員が、「入れている」と回答? すでに各種報道で伝えられている、同市役所職員への「入れ墨調査」。これは、同市児童福祉施設に勤務する男性職員が、施設入所児童に自身の入れ墨を見せ、恫喝したという問題が表面化したのを機に行われたものだ。 この調査は大阪市全職員約3万3500人(教育委員会を除く)を対象に実施。結果、環境局の73人を筆頭に、110人の職員が入れ墨をしていることが判明した。 さて、この「入れ墨調査」では、プライバシーを理由に回答を拒否した15人の職員に注目が集まっている。市長は「プライバシーを理由に調査拒否して、のうのうとできる職場があるのなら、公務員は世間をなめすぎている」と彼らを批判、懲戒処分の可能性を匂わせた。 しかし、この「入れ墨調査」は、職員に配られた調査用紙に記入するのみ。なので上司、もしくは医師などの第三者が、実際に調査対象となる職員の身体を目視することもない。あくまでも職員の自己申告によるものである。 そのため匿名を条件に話を聞かせてくれた現役職員・A氏によると、「入れ墨を入れているのに『入れていない』と虚偽の回答したケースももちろん考えられるが、それ以上に深刻なのは、入れ墨を入れていないのに、調査では『入れている』と回答した職員もいる可能性がある」という。なぜそのようなことが起こり得るのだろうか? 「就任以来、橋下市長の職員に対する横暴、こうした調査のやり方への不満に尽きる」(A氏) また、A氏は「(市長が)公務員の懲戒処分を自己申告のみで行う」ことのほうが、よほど問題だとし、「懲戒処分を行うのならば、それ相当の手続きと公正で客観的な調査が必要であり、そうした手続きと調査が何ら行われていない」と憤る。 職員を裸にして調べるしかない もし入れ墨を入れている職員が、今回の調査で「入れていない」と虚偽申告、これによって懲戒処分を免れたならば問題であろう。同じように「入れ墨を入れている」と自称した職員が、懲戒処分を受けた場合ももちろん問題である。 どちらのケースでも、法と手続きを守るべき市役所において、公正で客観的な調査を行わずして自己申告のみで懲戒処分を免れたり、受けたりすることになるからである。とても行政機関として望ましい姿とはいえない。 「本当にきちんと調べるのならば、職員を裸にして、公衆の面前で徹底的に調べるしか方法はない。それこそ人権問題だ。でも、橋下市長なら職務命令と称してやりかねないね」(A氏) ミスは必ず他人のせい 橋下市長は、就任以来、こうした職員へのアンケート調査に熱心だ。とりわけ選挙時、平松邦夫前市長寄りとされた市の労働組合は目の敵である。 入れ墨調査の前には「労使関係に関するアンケート」を実施。これは「もっぱら組合潰しを目的としたものであることは、いうまでもない」(A氏)との声も多い。 その調査内容は、市職員に労働組合に「加入しているか否か」「活動に参加したことがあるか否か」のほか、「選挙で投票依頼をされたことがあるか否か」を問う内容となっており、これにとどまらず「誰に誘われたか」をも問いただす内容だ。 しかしこの調査は、結果が出ることはなかった。その調査内容が、憲法上の「内心の自由」をも侵す恐れもあるとの声が法曹界や労働界に広がり、問題視されたためだ。これを受けて、今年4月には、この調査用紙は破棄されるに至った。 さて、この調査に「正確に回答しなければ懲戒処分もあり得る」と言った橋下市長だが、「野村修也(大阪市特別)顧問に任せてあるので問題ない」と自らの責任については回避する言動を見せている。 橋下市長は「器のちっちゃい」男 こうした橋下市長の責任回避姿勢は、これにとどまらない。日常での業務でも、失敗したら部下や外部のせいになるという。 よく知られたところでは、昨年の市長選の際、対立候補だった平松前市長支援目的で市交通局職員が「知人・友人紹介カード」なるリストを作成、配布・回収したとされる問題だ。 このリストは「市と組合が組織ぐるみで市長選に関与していたことを裏付ける資料である」として、橋下市長率いる大阪維新の会所属の杉村幸太郎大阪市議が、市議会などで追及した。しかし、後にこのリストは、市交通局職員が捏造したものだと発覚した(捏造リスト問題)。 これについて橋下市長は「市長として、リストを捏造した職員の行為は問題であり謝罪するが、この問題を追及した大阪維新の会、また杉村市議になんの問題もない」「杉村市議の指摘があったからこそ、捏造リスト問題が発覚した。市議会は健全である」との見解を示した。 平たくいえば「市長としては市職員が悪い。でも市議会で追及した杉村市議は悪くない。だから大阪維新の会代表である自分は悪くない。市民の民意を受けている自分は悪くない」ということだ。 「責任はとにかく回避。ミスは職員のせい。職員がミスしたら、とにかく怒鳴って吊るし上げる。この前の市長記者会見で女性記者にかみついたときと同じ対応。市職員はみんな『市長は、なんちゅう器のちっちゃい男や』といっている」(A氏) 平松前市長の実績も、橋下市長にかかると「俺のもの」 ところが、実績、特にマスコミ受けのいい手柄は、橋下市長の手にかかると「すべて俺のもの」ということになるという。 その代表格が、今、世間で騒がれている生活保護不正受給を取り締まる「生保Gメン」だ。これは元警察官やケースワーカーなど三人一組で地域を回るというものである。 「あれも市長はさも自分の実績のように話しているが、昨年の10月時点ではもう、生活保護世帯の多い西成区では行われていたはず。橋下市長の当選は昨年11月ですからね。それをわざわざメディア受けするネーミングをつけて、自分の手柄として吹聴する。ほんまに実績ドロボーですわ」(A氏) こうした話はあまりメディアを通して伝わってこない。なぜなら「記者クラブ所属の記者は橋下市長に萎縮して、批判的なことを言えないし書けないから」(同)だとか。 それにしても散々な言われようの橋下市長だが、彼の実績として多くの市職員が認めているものもある。ただそれは「禁煙化の徹底」くらいしかないということだ。 圧倒的民意を得た政権は、一旦ブームが去ると、その反動も大きい。ブームはいつまでも続くものではない。これが去ったとき、大阪市民は橋下徹という政治家を、どう判断するのだろうか。 ビジネス・ジャーナル(文=編集部) |