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自殺行為の解散・総選挙でも尊敬集める野田首相
2012年11月22日(Thu) Financial Times
(2012年11月21日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
首相公邸の昔の住人たちに比べれば、野田佳彦首相は恵まれている。1932年に主(あるじ)だった人物は超国家主義者の軍人らによってこの家で射殺されているし、また別の主は、襲撃を受けた際に使用人の部屋の押し入れに隠れなければならなかった。
野田氏はこの公邸で11月18日に行われた本紙(フィナンシャル・タイムズ)のインタビューで、領土問題で中国と激しく対立する中で行き過ぎたナショナリズムの雰囲気が出ていることに懸念を示したが、この格調高いアールデコの建物が再び右翼に襲われるとは誰も思っていない。
コロコロ代わる首相、誰がなるかに意味はあるのか?
野田佳彦首相〔AFPBB News〕
しかし、野田氏は間違いなく政治的な攻撃にさらされている。アナリストの間では、12月16日に行われる衆議院選挙で野田氏の率いる民主党は与党の座から滑り落ちるとの予測がもっぱらだ。
敗北すれば、野田氏は公邸のカギを返却することになり、その場合、カギを返却するのは過去6年余りで7人目となる。
ここで2つの疑問が浮上する。1つは、なぜ日本は首相をこれほど速く取り換えてしまうのかという疑問。もう1つは、これほどコロコロ代わる日本の首相に誰がなるかという問題に世界が注意を払う必要が果たしてあるのだろうか、という疑問である。
首相が目まぐるしく交代することについて問われた野田氏は、短命な首相が最近続くようになったのは安倍晋三氏の時からだと指摘している。安倍氏は野党・自民党の党首であり、世論調査を見る限りでは首相の座に来月返り咲く。このポストをいったん退いた人物が再度就任するのは、日本では数十年ぶりのことだ。
安倍氏が初めて首相になった時の在任期間はわずか1年だった。各種のスキャンダルや選挙での敗北が大きな痛手となり、同氏は2007年9月に辞任している。
首相の在任期間がこれほど短い状況が常態化したのはなぜなのかとの問いに、野田氏はあまり多くを語ろうとせず、米国の大統領と違って日本の首相の任期は固定されていないと述べるにとどまっている。
とはいえ、野田氏が首相として経験した出来事はなかなか興味深い。特に目を引くのは、気むずかしい与党をまとめるのに苦労する一方で、野党が過半数を握る参議院で法案を通したことだ。
後者の困難は、日本ではここ数年すっかり常態化している。これはたびたび実施される参議院選挙を、有権者が時の与党を懲らしめる手段として利用しているためだ。安倍氏が2007年に辞任した時も、参議院選挙での敗北がその大きな要因となっていた。
また日本の政党は、英国など議会制民主主義を取るほかの国々の政党に比べると、非常に統制が取れていない。例えば、与党の民主党と野党の自民党には貿易の自由化に激しく反対する議員がいる一方で、自由化は不可欠だと考える議員もいる。
2009年の総選挙で勝利を収めて民主党初の首相に就任した鳩山由紀夫氏は、党内のバラバラな意見を集約して筋の通った政策を打ち出すには至らず、9カ月ももたずに辞任した。後任の菅直人氏は1年以上首相の座にあったが、その後半数カ月間の大部分は党内の反乱をやり過ごそうとする日々だった。
2011年8月に菅氏の後を継いだ野田氏は、党内の緊張を和らげる手段として大臣のイスを利用する間は首相を務めることができた。
しかし、内閣改造を繰り返したために多くの大臣の在任期間が数カ月間にとどまってしまい、強力な官僚機構を政治家が支配する効果的な「政治主導」を打ち立てたいという民主党の望みは水泡に帰した。
短命の政権でも足跡を残せる証拠
それでも野田氏の業績は、日本政府のトップを誰が務めるかは重要な問題だという主張の論拠になるし、短命の政権でも何らかの足跡を残せることを示唆している。
財政問題で比較的タカ派の立場を取る野田氏は、巨額の財政赤字を縮小することに力を注ぎ、現在5%の消費税率を2015年までに10%に引き上げることに道筋を付ける法律を成立させた。
野田氏はまた、社会保障制度改革国民会議の設立についても野党の支持を取り付けた。この会議は首相が代わっても存続するはずだ。
こうした行動を取るには勇気が必要だった。理由はいくつかあるが、特に重要なのは、増税の計画が民主党に残っていたまとまりを粉々にする一因になったことだろう。2009年の衆議院選挙では480議席のうち300議席以上を獲得した民主党だが、その後は離党者が相次ぎ、今では過半数も維持できなくなっている。
「どの国においても、選挙の直前に国民に新たな負担をお願いするのは難しいだろうと思う」。野田氏は淡々とこう語る。
選挙での敗北が確実視される状況での野田氏の振る舞い方も、ある種の尊敬を集めている。
「あれこそサムライ」の声
「近いうち」に辞任するという今年8月の約束を守っていないと批判され続ける一方、民主党内の反対派に首相の座を追われるリスクを冒すことも望まなかった野田氏は、全国にテレビ中継されている党首討論の場で、衆議院解散の意向を劇的に宣言した。
本紙とのインタビューに今回臨んだ野田氏は、首相就任からまだ日が浅い時期に行ったインタビューの時と同様に、落ち着いて堂々とした様子だった。
一部には「政治的な自殺行為」と嘲笑する向きもあるが、ある日本企業の男性社員は野田氏を渋々称賛し、敵の手に落ちることをよしとせず「ハラキリ」に臨む戦士に首相をなぞらえた。「あれこそサムライのやり方だ」
By Mure Dickie in Tokyo
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/36605
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