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「第3極」を目指して手を握るナショナリストたち
2012年11月21日(Wed) Financial Times
(2012年11月20日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
政治の世界には「1週間という時間は長い」という決まり文句があるが、日本の「太陽の党」は4日間でその一生を終えた。日本の政界が熱を帯びた証拠だろうか、この政党は登場からほんの数日で消えていった。日本で昔からはかなさの象徴とされている桜の花をもしのぐ短い命だ。
右派の石原慎太郎・前東京都知事は先週火曜日(11月13日)、与党と野党の2大政党に挑戦する「第3極」を目指すグループの1つとして、太陽の党を結成すると発表した。
太陽の党は木曜日、同じく第3極を目指す「減税日本」との合流を明らかにした。ところが、翌金曜日にこの計画を撤回。土曜日には、結成からまだ日が浅い「日本維新の会」に合流した。
日本でさえ珍しい急展開の行方
設立・解散による政党の入れ替わりが恐ろしく速いことで知られる日本でさえ、これほどの急展開は異例だ。しかし、太陽の党が没したことで話が終わるわけではない。日本維新の会との合流により、日本で最も目立つ2人のナショナリスト――石原氏と、カリスマ性のある橋下徹・大阪市長――が手を握ることになったからだ。
石原氏と橋下氏は、国民の間に広まっている与党・民主党と野党・自民党への幻滅に乗じたいと考えている(自民党は、2009年に民主党に与党の座を追われるまで日本の政治を牛耳っていた)。
日本経済新聞が19日に報じた世論調査の結果によれば、維新の会と太陽の党の支持率は合計で15%。厳しい状況に置かれている民主党の支持率を1ポイント下回るにすぎない。ほかの世論調査では、新たに登場したこれらのナショナリストへの支持率はここまで高くないものの、その急激な台頭には多くの主流派政治家が危機感を募らせている。
石原氏は中国を厳しく批判する論客で、今年には中国との領土問題の中心である島々の購入を試み、日中関係の危機の口火を切った。
この島々の支配に対する中国の最近の挑戦に日本はどう対応すべきか、と英BBCに質問された石原氏は、「刀の鯉口を切ったらいいんだ」と答えている。
野田佳彦首相は日曜日(18日)にフィナンシャル・タイムズのインタビューに応じ、「元気のいい言葉」が日本の安全保障政策を巡る議論の好ましくない特徴になりつつあると語った。
「この種の(極端なナショナリストの)雰囲気やムードが生まれつつある・・・元気のいい言葉が国民を魅了することもあり得るだろう。しかし、それはこの国にとって最も危険なことになるだろう」と野田首相は述べた。
維新の会は、第3極を目指すほかのグループとの激しい競争に直面している。政治家たちは12月16日の衆議院選挙に向けた選挙戦に突入しており、新党の結成や既存勢力同士の合併の発表が相次いでいる。
かつての民主党の重鎮で選挙の魔術師とも称される小沢一郎氏が立ち上げたグループも第3極を目指している。また19日には、民主党を離れたばかりの元農水相と、かつて民主党との連立内閣に参加していた亀井静香氏が手を組み、貿易の自由化に反対していく新党を設立した。
新しいグループの多くは、思想面で一貫性を欠くという泣き所を抱えている。消費税引き上げを支持する維新の会と減税日本の両方との合流を太陽の党が当初望んでいたことが示唆するように、新党合併の大半はどうやら、政策目標が共通するために行われているわけではなさそうだ。
本当の問題はエゴの衝突?
また石原氏と橋下氏は、領土問題や原子力政策、税制といった主要問題においても意見が一致していないように見受けられる。
上智大学の中野晃一教授(政治学)は、両氏が率いる新しい維新の会について、まとまりを維持するのに苦労するだろうと語った。2人のリーダーの攻撃的で個人主義的なスタイルを考えれば特にそうだという。
「本当の問題は政策の違いなどよりも、エゴのぶつかり合いの方になりそうだ」と中野氏は述べている。
By Mure Dickie
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/36595
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