http://www.asyura2.com/12/senkyo139/msg/321.html
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表題を読んで、「節操のない野田ならともかく、石原がだって!・・・そんなバカな」と笑ってしまった人が多いかもしれない。
“嫌中”意識を隠すことなく、信念を持って武張った“愛国”的言動を続けてきたあの石原氏が、中国の要求に屈して都知事を辞めたなんて、与太話か妄想の域でしかないと思われるかもしれない。
ナルシストと言えるほど、自身の存在感にこだわっている石原氏が、よりによって中国に屈してしまうなんて事態が・・・万が一そのような事実が暴露されてしまったら、石原氏は世間から身を隠すしかないはずである。
そう思いつつも、石原氏が、17日の記者会見で、これまで続けてきた中国に対する彼の呼称であるシナをやめ、チャイナに変えたことを知っている人は、何かの“変化”を感じたはずだ。
※参照投稿
「シナをチャイナと言い換えた慎太郎のだらしなさと橋下徹の敵前逃亡(稗史倭人伝)」
http://www.asyura2.com/12/senkyo139/msg/220.html
日中関係が極めて厳しい状況にあるなか、対中強硬論の先頭に立ってきた石原氏が、ここにきて唐突に中国に媚びを売らなければならない理由は見当たらない。
中国を刺激しない呼称への変更が、渦中の総選挙対策になるとも思えない。なぜなら、石原氏の政治グループは、リベラルな人たちをターゲットにしているわけではないからである。
石原氏を支持する人たちの多くは、「共産中国」嫌いで日本の威信や誇りを重要視しており、中国に気を遣ったように見える“変節”は、石原氏を見限るきっかけになりかねない。
14日の衆議院解散表明以降の投稿で、石原氏の都知事辞任も日中関係と関係があるというようなことをチラチラ書いてきた者としては、呼称に関する石原氏の“変化”は、やっぱりという感じにとどまらず、そこまでもか!という思いを抱かせるに十分のものだった。
そうは言っても、石原氏も、野田氏も、中国に屈したという気持ちは毛頭なく、日本のために身を犠牲にする愛国的判断と思っているだろう。
(誤解を避けるため断っておくと、身を犠牲に捧げる対象の日本はあくまでも彼らの観念のなかにある日本であり、国民一人一人が息づき生活する場としての日本ではないと思っている)
しかし、もしもほんとうにそう思っているのなら、非論理的で奇妙な認識であり、自身の精神的安寧を維持するため、恥ずべき行為を正当化し居直っている(都合よく自分を誤魔化している)と言わざるをえない。
その一方で、石原さんはさすがだとも思う。私とは国家観も価値観も大きく違うが、日本のためなら、たとえ忌み嫌う中国政府の要求であっても、身を犠牲にしてもいいと判断したと思われるからである。
石原氏が、「シナにそんなことを言われて、はいそうですかと膝を屈するような腑抜け政治家は死んじまえ」という普段のイメージ通りに、要求を拒絶したら、日中関係の改善は遙か彼方に遠ざかってしまうだろう。
10月2×日、某氏が秘かに出向き石原氏に語った。
「こんな腹立たしい話はとうてい受け容れられるもんじゃないとは思っているさ。でもなあ、石原さんもわかっていると思うが、今のような日中関係がずるずる続いたら、主要企業がとんでもない打撃を受け日本経済はもたない。そりゃあ、日本との関係がおかしくなれば、中国だって厳しい打撃を受ける。しかし、中国がどうなるかなんて、こちとらにはどうでもいいことじゃないか。我々の日本がどうなるかだけが問題だからな。
尖閣は命がけで守らなければならないと思っている。尖閣で譲歩すれば、ずるずる後退することになる。
しかしなあ、中国海上警察艦船が領海を侵犯したくらいでは米国は動かず、海上保安庁も強制力を行使して排除することはできんから、今のような状況が続けば、我が国の実効支配がずるずると無効化されていく。
中国がしつこく連日のように艦船を領海に送り込んでいる目的は、政治的屈服を求めるデモンストレーションであり、日本の実効支配を形骸化してしまうことである。今の尖閣周辺は、とんでもないことだが、日中の二重権力状況になってしまった。
米国は、英国相手でもそうなのだから、日本がかかわる領有権問題に関しては中立を貫く。だから、領海を侵犯しただけの中国艦船に、日本側が先制で武力や強制力を行使すれば、安保条約適用外の事案と判断し、事態の推移を傍観するだろう。
それでも、短期の局地戦だったら日本が勝つと信じているが、今回レベルの問題で中国と戈を交えてもなんの益も意味もないだろ。日本企業が中国市場で表立って活動ができなくなる状況を喜ぶのは、韓国や米国それに欧州といった国々だ。
ゼニ勘定の問題に矮小化できないことはわかっているが、経済的苦境にあえいでいる日本が、さらにおかしくなる事態は放っておけないじゃないか。
中国は、関係改善に向けて、二つの条件を提示してきたそうだ。一つは、尖閣諸島を渡せというわけじゃないが、係争の存在を認めること。もう一つが、今回の騒動につながる火をつけたあんたの都知事辞任だそうだ。むろん、明確な打開策を打ち出せない野田についても、早く首相の座から降りたほうがいいと匂わせているようだ。
中共にそう思われるとわかったうえで意図的に続けてきたのだからご存じだろうが、あんたの反中的言動にこれまでもいらついてきた中国は、日中国交正常化40周年という節目に、しかも、アメリカの地で、尖閣諸島を都が購入し施設を構築するとぶち上げたことで完全にキレたんだな。
決定打は、前原のクソガキが、8月の野田との会談で、あんたが中国との戦争も辞さずと言ったことが国有化に踏み切った理由だと吹聴したことだ。中国は、外務省との協議でも、米国高官との会談でも、石原の首についてはどうしても譲れないと言ってるそうだ。
まあ、図体だけだが、大国から、名指しで非難され嫌われるのは政治家として名誉なことだ。
もちろん、国有化のタイミングを見誤り右往左往するだけの無能な野田も、解散というかたちで総理を辞めることは確実だ。
総選挙がそう遠からず実施され、民主党の惨敗が避けられないという見通しもあることで、中国政府は、野田に当事者能力がないと判断しているようだ。
あんたは民主党も蛇蝎のごとく嫌っているじゃないか。あんたが民主党を崩壊に追い込む立役者になるんだよ」
「辞めることが一件落着になるというのなら承知とは、さすが石原さんだ。うれしいよ。日本のために快く了解してくれてありがとう。日本は救われるよ」
「ところで、都知事を辞める理由は、国政への復帰ということにしてもらいたい。選挙活動は体力的に辛いかもしれないが、頼むよ。
中国の要求に屈して都知事が辞めたという話が世間に伝われば、国家としての威信は地に墜ち、がたがたになってしまう。
野田は辞める時期の問題で少し愚図っているようだが、11月中旬に解散で、12月中旬には総選挙が行われる見通しだ。
立ち上がれの平沼さんたちもあんたが立てば心強いだろうし、自民党や民主党も小選挙区ではなにがしかの協力をするそうだ。あそこを除き、マスコミも好意的に扱うはずだ。政策立案や選挙運動などの実働は、あんたを慕っているという橋下くんに任せればいいじゃないか。
いちおう言っておくけど、この件は、安倍くんも承知しているし、アメリカの連中もそれを望んでいるそうだ」
むろん、この会話は、私の“妄想”に基づいた架空のものだが、それに近い内容のやり取りが、石原氏が東京都知事辞任を表明した10月25日以前に行われただろうと思っている。
石原氏は、日中関係が険悪化する直前の8月24日の記者会見で、竹島に上陸し天皇の謝罪まで持ち出した韓国の李明博大統領の言動について、「あれは決してプラスにならないと思うね。日本に退路絶たれたらどうするんですか。韓国の経済かなり被害受けますよ。そういう背景がありながら、あんな馬鹿な事をするなんて、外交感覚が欠落してるっていうか、物事を重層的にとらえる事ができないんだね」と批判している。
石原氏は、これだけの分析ができるのだから、9月中旬以降の険悪化した日中関係やそれへの自己の関わりを冷静に見直し、日本国のために、身を犠牲にする決断を下したとしても不思議ではない。
石原氏の首に鈴を付けた人物が誰かはわからない。
(今回の問題で石原氏を口説けるのは、親交がある読売新聞社の渡邉恒雄氏、共著『永遠なれ、日本 ― 元総理と都知事の語り合い』もある中曽根元首相ぐらいしか思いあたらない。盟友とも言える亀井静香氏は、このところのポジションや辞任表明後の言動から蚊帳の外だったと思う)
経緯はどうであれ、行き詰まった日中関係を打開し、一日でも早く修復に向かわせるためなら、そのような“屈服”もやむなしというのが、外務省・経産省・財務省といった官僚機構から経済界までのほぼ“総意”で、何より、米国支配層もそれを望んだと推測している。
米国支配層の判断については、中国とアジアでの主導権を争っている米国がなぜ?と思う人もいるかも知れない。
米国支配層は、自分たちの政策実現の道具として硬軟取り混ぜた対中政策を活用している。
中国を自分たちの“ルール”に引き寄せるためのアメや鞭として、軍備増強の理由づけだけのものとしてだけでなく、国民や“西側自由世界”の価値観をコントロールするためにも利用している。
その一方で、自国のグルーバル企業の経済的利益のため、中国との関係強化を図っている。中国政府も、EUと並ぶ、単独国家としては最大の輸出市場である米国との関係を良好に保ちたいと考え腐心している。
日本国民にとって何より重要なことは、それを是とするにしろ否とするにしろ、米国が、世界戦略の実現や日本でのプレゼンス強化の手段として、日中関係を最大限に利用してきた(いる)ことだ。
今回の「尖閣騒動」は、ここまでの成り行きで十分にその目的を果たしたから、幕を降ろすというのが米国支配層の考え方だろう。(日米同盟強化の気運が高まる一方で、中国市場での米国系企業のシェアが高まった)
秘匿されているが(秘匿されたままでいいのだが)、日本は、21世紀に入ってから、米国支配層の策謀により、中国との関係が根底から瓦解しかねない状況に追い込まれるという未曾有の危機を経験した。
その事実が中国国民の前に明らかになっていれば、戦争には至らなかったとしても、日中間は、凍結寸前と言えるほど冷え切った政治&経済関係になっていたはずである。
そうなれば、日本企業は、高成長を続ける中国市場にアクセスできるよう、中国国内で“ブランド隠し”に動いたり、製造拠点を国外に移す動きを加速化させたりした可能性が高い。そのような結果、日本経済は、“戦後最長の好況期”を迎えることもなく、惨憺たる状況に陥っていた可能性が高い。
このような前歴があることを踏まえ、今回の事態についても、日中政府間の激越なやり取りを見聞きしても、実際の行動はある限度で抑制されると考えてきた。
それゆえ、ちらちら語られている“戦争”説は、一つの見方として楽しんでも、不安のネタにはまったくならなかった。(但し、尖閣周辺の海域で両国の海上警察が角逐しているから、偶発的事件が起きる可能性はある)
ここまで書いてきたような見方をしていることから、石原氏の「シナ→チャイナ」への“変節”も、そっと見守ると表明したのである。
※ 参照投稿
「石原氏なりに日本のために採った“選択”のはず:気に入らない“決断”だが、そっと見守りたい。」
http://www.asyura2.com/12/senkyo139/msg/229.html
“国益”を掲げ愛国者を自負しながら、武力行使は論外として、「日本企業の中国撤退論」や「経済制裁合戦の中国主要打撃論」などをまことしやかに提起している人もいる。
経済規模の大きさや経済成長の高さを当て込んで、中国に媚びを売ることも中国に対し卑屈になる必要もないが、それほど対立状況ではない今回の騒動で、自国が長期にわたって深刻なダメージを受ける政策を煽らなければならないのか理解に苦しむ。
※ 参照投稿
「そう言えば気持ちがいいのだろうが、日本が持つ供給力や資本力の代替は強化される傾向で、中国が持つ需要力の代替はない。」
http://www.asyura2.com/12/hasan78/msg/440.html
そのような煽りが生み出される背景には、政府や主要メディアの誤ったプロパガンダで醸成された対中国嫌悪意識があると思っている。
(国家間の係争では、きっぱりと強気の意思表明をすることも重要だが、国民のあいだが長期にわたってこじれないような配慮は不可欠)
中国の呼称を変えた石原氏については、そっと見守ることもできる。
しかし、自分たちは秘密裏に中国に膝を屈しながら、煽りに煽って醸成した国民の“嫌中”意識は放置したままという支配層の手法は、将来に大きな禍根を残す恥ずべき暴挙だと考えている。
そのような思いから、独り相撲で公にされることはないだろうが、東京都知事と内閣総理大臣の首を中国に差し出すという愚挙を俎上に乗せよう判断した次第である。
次回は、表題のように判断した根拠や尖閣問題に対する考えを述べたい。
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