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2012年11月20日 世相を斬る あいば達也
亀井静香と山田正彦が新党「反TPP・脱原発・消費増税凍結を実現する党」を旗揚げした。党名があまりにも長過ぎて、今夜は“見出し”まで長くなってしまった。マスメディアの中には、「なんだ、たった二人の反乱か〜」等と揶揄する声が主流のようだ。国民の多くも、そのような受けとめ方が大半で、「みどりの風」と一緒の方が良いンじゃないの?等と云う意見もちらほら散見する。
ところがである、この亀井らの新党結成を“苦々しい”思いで眺めている権力者達がいる。一に財務官僚、二にマスメディアの論説やデスク、三に経済界の幹部である。何が“苦々しい”かと云うと、選挙の争点をナッシングにするつもりだった、霞が関、マスメディア、財界にとっての不都合な真実への蓋が開けられる事を怖れているからだ。身を切る改革だとか、景気浮揚デフレ脱却、雇用確保、社会保障、公務員改革などが国民の関心事だと、マスメディアは必死の“争点隠し”を行っているが、「そうはさせじ!」と咆哮したのが、19日の亀井・山田の新党結成であり、その驚嘆すべきネーミングなのである(笑)。
いやしくも天下の亀井静香と誠実一路の山田正彦が、大震災・原発事故で必死の叫びを上げる名もなき人々、ワーキングプワーも増加の一途、疲弊する地方、黒船に怯える零細農漁業者。彼らの嘆きや叫びは、竹中平蔵らの市場原理主義者や既得権益層に届くことはない。声なき声は、無きに等しいとばかりの弱者切り捨て政策が、まさに跋扈しようとしている。今回の衆議院選挙前哨戦において、マスメディアは、これら弱者切り捨ての不都合な真実を覆い隠そうとプロパガンダ報道を行っている。
実際問題、マスメディアのあらゆる報道は、多くの国民の間に「空気」を漂わせる絶対的な力を有している。ゆえに、昨日も書いたように「俺達が政権をつくってやっている」と云う傲慢不遜な姿勢を貫くことになる。この力関係は、言論報道の自由と云う、イカサマのような権利の濫用で、わが世の春を謳歌している。2週間もあれば、選挙の争点は“景気浮揚、雇用確保、デフレ脱却、政治改革、持続的社会保障の実現等々”などと云うイカサマ争点なのか、と国民が思い込むように洗脳しようとしている最中だったのである。自民の安倍などマスメディアの尻馬に乗って、総理気分。天井知らずの金融政策等と戯言を言っている。
小沢一郎の「国民の生活が第一」が、国民が興味を持っている“原発、消費税、TPP”を争点に孤軍奮闘しているわけだが、マスメディアのナッシング戦術に苦戦を強いられ、政党選挙の一番の肝まで、ナッシュングにされかけていた。昨日のTVタックルなど観ていたら、須田慎一郎が「明確に脱原発を表明している党がない」、とまで公言していたが、咎める出演者は一人もいなかった。マスメディアのやり口は、悉くこのような按配で、路地裏作戦と選挙区候補者擁立戦略を小沢の手腕に任せる以外、マスメディアの選挙妨害のような報道姿勢に対抗しうる方法がなったのである。腹立たしいが、ネットの世界などを駆使、或いは個人の人海戦術で争点を拡散するしかなかったわけである。
そこに現れたのが冒頭の「反TPP・脱原発・消費増税凍結を実現する党」と云うことだ。この信じられない程長ったらしい党名は、あきらかにマスメディアの政党選挙の“争点隠し”を粉砕しようと云う意図がはっきり見えている。公職選挙法に縛られている以上、マスメディアだからと云って、好き勝手が出来るわけでもなく、そこには限界があるわけである。そこを見事に突いたのが、亀井、山田両氏である。19日の新党結成発表と小沢一郎の無罪確定が同日であることは非常に示唆的である。田中康夫の去就も興味がある。亀井・田中ラインには、知性と人情と云う奇妙な取合せの情報発信力がある。
「反TPP・脱原発・消費増税凍結を実現する党」の出現により、「国民の生活が第一」と云う党名の抽象性を補完したことになる。老獪政治家の見事なさばきである。公選法の観点から、TPP、原発、消費税を争点から排除する事は、相当困難になる。産経とフジテレビが世論調査を行い、選挙の争点は、景気経済対策、医療年金が上位を占めたと白々しい世論を捏造している。多分、大方捏造なのだろうが、仮に本当だとするなら、有権者が原発推進や消費増税は既成事実だと勘違いしていると云うことだろう。
国民にとっての関心事であった放射能に怖れて暮さなければならない将来生活や復興増税の上に上乗せされる消費増税も、既成事実とあきらめ気分が蔓延して、今にも既得権益勢力の思うつぼになる危険が増大していた。小沢の力量だから、一定の成果を上げると思われるが、政権を取るまでには至らない苦しさはあった。しかし、この「反TPP・脱原発・消費増税凍結を実現する党」の出現により、国民の生活を第一に考えれば、先ずは直近の問題点は、“TPP、原発、消費税”をどうすれば良いのかを選択する選挙だ、と有権者のあきらめを目覚めさせ、“まだやれるのだ”、と云う気づきが大いに期待できる。
無力感で脱力した国民も、“そうか、そうなんだ、まだ諦めるのは早い!”と“気づき”さえ持てば、国民主権の政治が消えたわけではない事を証明できるのである。ここ最近のマスメディアの世論調査を観察していると、奇妙な現象が現れている。詳細は省くが、意志統一は完全になくなっている。各党の支持率が、驚くほど乖離している。おそらく、自社のエゴが表面化し、支持すべき政党自体がバラけ出したのだろう。反小沢で一致したマスメディアも、15党だか幾つだか忘れたが、ここまで政党の乱立・カオスの時代が訪れると、調整機能が有効に作動しなくなってきたと思われる。公示までのこの2週間余りで、まだまだ、マスメディアに対抗するハプニングが起きる可能性はある。小沢の3次公認候補の発表も愉しみだ。
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