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幸福実現党の立木党首が核武装に言及
2012.11.19
幸福実現党の立木秀学(ついき・しゅうがく)党首は18日、幸福の科学の東京正心館(東京都港区)において「混迷する日本の政治を正す」と題して講話を行い、今の日本には核武装が必要であり、次期総選挙は「救国選挙」であることを訴えた。
立木党首は、15日に中国共産党の総書記に就任した習近平氏が、同日の記者会見で「中華民族の偉大な復興」を唱えたことに触れ、この発言を「明」や「漢」など、歴史上大きな帝国となった時代をイメージしたものであると説明。こうした"中華帝国主義"のもとで中国は、日本に対しては尖閣諸島で、フィリピンやベトナムに対しては南シナ海で、プレッシャーをかけているとし、習近平体制に警戒すべきことを呼び掛けた。
立木党首はまた、「中国は核兵器を持っており、いつでも『日本の主要都市に落とす』と脅しをかけることができる」ことを指摘した上で、核武装の必要性を次のように訴えた。
「核兵器に対しては、こちらも同じように核兵器を持たなければ、(戦力が)均衡しない」
「万が一にも、日本に対して核を使うと言うのであれば、こちらも核を使いますという状況を作らなければ、日本を守りきれない」
さらに、この国難にあって、ほかの政党が頼りにならないことも述べた。
まず民主党の野田佳彦首相については、国防に意識を持っているとしながらも、岡田副総理などの反対で動けなかったことを指摘。
自民党にはタカ派が多く、改憲論も出ているものの、憲法9条第一項については触れていない点を追及した。
今回の選挙については、「幸福実現党が議席を獲得し、政権に影響を及ぼす立場を獲得しないと、本当にこの国は厳しいことになってしまう」との危機感を明らかにし、今回の衆院選を「救国選挙」と位置付けた。
この講話を聞いた都内の女子大生(2年)は「(立木党首が)原発の大切さについて語ってくれてうれしかった。実家が静岡の浜岡原発から20km圏内です。地元の人は原発と一緒に生きているつもりなので、原発の経済に対する貢献の高さや、安全性をもっと語ってほしい。都知事選も衆院選も、全力で応援します!」と選挙にかける意気込みを語った。
幸福実現党は19日に、党本部で記者会見を行い、比例代表および小選挙区の候補者の発表をする予定だ。(居)
【関連記事】
幸福実現党特設ページ 2012年衆院選 「救国」政党はどこか? 自民、民主、幸福実現?
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5141
2012年11月16日付本欄 衆議院解散・総選挙にあたり幸福実現党が「救国選挙として戦う」と声明
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5145
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5152
3分で終わる核武装論議
2012年11月16日(金)11時05分
その昔、亡くなった自民党の政治家、中川昭一氏が2006〜09年にかけて「核武装論議をタブー視するな」という発言をした頃には、ずいぶんと賛否両論が激しかったのを記憶しています。その中川氏は「最近は、非核三原則に『言わせず』を加えた非核四原則どころか、『考えてもいけない』という非核五原則だ」と強く反発していましたが、今ではこうしたタブー視に関してはかなり緩んでいるように思われます。
今回の総選挙で、何らかの話題になりそうな「第三極」においても、石原前都知事は日本の核武装論について従来から放言を繰り返していますし、最近はこの問題に慎重な橋下大阪市長も「議論は歓迎」という立場のようです。
漠然としたムードとしては、仮に米国が何らかの理由でアジアにおける軍事プレゼンスを軽減していった場合には、日本は「自主防衛」をすることになり、その際に中国の核攻撃能力を抑止するためには、日本は核武装の可能性を否定するわけにはいかない、というようなストーリーが1つ。これに加えて「核武装論の議論自体に反対する」勢力を「平和ボケの旧思想」だとして断罪することに興味を示す向きもあるように思われます。
ですが、そもそも日本の核武装論というのは可能なのでしょうか?
議論としては可能ですが、結論は3分もあれば出ると思います。要するに核武装は不可能ということです。何故でしょうか?
それは、現在の国際連合を中心とした核不拡散体制への重大な挑戦になるからです。日本が核武装宣言をするということは、具体的にはNPT(核不拡散条約)体制、そしてこれと表裏一体であるIAEA(国際原子力機関)、更には、日本と各国の間で締結している「原子力協定」の総てから離脱することを意味します。
NPT=IAEAに背いて核兵器保有へ進むということは何を意味するのでしょうか? 例えば、イラクのバース党政権は(冤罪でしたが)保有が疑われたために国家の滅亡に追い込まれましたし、イランと北朝鮮は現在「核開発疑惑」を理由に国際社会から経済制裁などの厳しい対応を受けているわけです。
勿論、現在すでにNPT=IAEAにソッポを向いて独自に核武装を行なっている国は存在します。イスラエルは一切この問題では沈黙を守ることで、西側諸国は暗黙の承認に近い扱いを与えているのも事実です。またインドとパキスタンも、勝手に核武装していますが、それぞれの同盟国からは二国間関係として認められている中で、既成事実化しているわけです。
では、日本の場合はこのイスラエルやインド、パキスタンのように「暗黙の承認」なり「既成事実化」が許される可能性はあるのでしょうか?
ゼロだと思います。理由は3つあります。
まず1点目ですが、日本は科学技術、とりわけ宇宙航空関係のロケット、コンピュータ制御、素材、品質管理などにおいて、世界の最先端の技術を保有しています。核の技術も最高水準です。そのほとんどは民生用ですが、これを軍事転用することは可能です。そうした技術水準においては、北朝鮮やパキスタン、イランなどは勿論、インドやイスラエルとも比較にならないほど、日本は優れています。そのような国が核武装することで世界の軍事バランスが変化するということは、国際社会から見て許されるものではありません。
2点目としては、日本は第2次大戦を引き起こした旧枢軸国の「国体=国のかたち」を「護持」してしまっています。ドイツのように「第三帝国の崩壊、4カ国の分割統治、東西分裂での再独立、連邦共和国としての統一」という苦しみを経て「国体変革」を遂げてはいません。勿論、日本人から見れば、戦後の日本は官民挙げた努力によって「平和国家への移行」という形で「傷ついた国体の修復」を行なっているのは厳粛な事実です。ですが、仮に核武装宣言を行えば、半世紀以上にわたる平和国家への努力は完全に無効となり、国際社会からは「邪悪な枢軸国の復活」という認識をされることになります。日本人の視点から見れば不公平かもしれませんが、外交上はそのような帰結となり、外交そのものが不可能な窮地に陥ることは不可避と思われます。
最後に、日本は「核サイクル」を目的として大量のプルトニウムを保有しています。これは、あくまで資源のない日本が将来のエネルギーとして、高速増殖炉による利用、MOX燃料の従来型軽水炉での混用(プルサーマル)のために確保しているものですが、国際社会としては重大な関心と警戒を行いながら二国間協定で「承認と監視」を続けているものです。このような国家は、核保有が「NPT体制」で認められた五大国以外には日本しかありません。プルトニウム保有をしながら核武装宣言をするということは、世界の核拡散抑止体制を根底から破壊するインパクトを持つことになります。
この3点の理由により、日本が核武装をすることは不可能です。現状の日本が仮に核武装宣言を行うとしたら、どうなるでしょう。第1点と第2点を考慮すれば、経済制裁ということになるのかもしれませんが、第3点、つまり大量のプルトニウムを保有し、尚かつその平和利用が棚上げされている状態で、核武装宣言に近い行動を取るようなことになれば、制裁では済まされないようにも思います。例えば、国連軍による「核設備の破壊」だけでなく「核推進政権の崩壊」と「プルトニウムの国際管理」を目的とした軍事行動が行われてもおかしくないのです。
そう申し上げると「ちょっと待ってくれ。日米同盟があるから日本がそこまで悪玉になることはないだろう」という反論が返ってくるかもしれません。ですが「日米同盟から自立しても核抑止力が欲しいから核武装論をしたい」というのが最初の議論の前提であるとすれば、そんな甘い話にはならないわけです。
話がやや大げさになりましたが、結論はただ1つ、日本の核武装は不可能だということです。理由は上記の通りであって、この「議論」を禁じる必要は感じませんが、その「議論」自体が3分で終わるものだというのもまた事実だと思います。
キーワード
外交 安全保障 戦争 政治 日本 日米関係 核兵器 核武装 資源 軍事 IAEA
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