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2012年11月15日 01:01　田中良紹の「国会探検」

　１４日の党首討論で野田総理は選挙制度改革の実現を条件に「１６日に解散する」と発言した。これに自民、公明の両党が協力する姿勢を打ち出したことから、１２月１６日総選挙の流れが固まった。しかしこの選挙は選挙制度改革を条件にしているとは言え、あくまでも憲法違反の状態の中で行われる違憲総選挙である。

　
　野田総理の発言に沿う形で民主党はこの日に選挙制度改革法案を国会に提出した。法案の中身は、小選挙区定数の０増５減、比例代表定数の４０削減、また比例定数の３５議席に中小政党に有利な比例代表連用性を適用すると言うもので、通常国会でいったん提出して廃案になったものを取ってつけたように再提出した。

　しかしこの法案を１６日までに取りまとめる事は事実上不可能である。従って今国会では憲法違反状態を解消する０増５減だけを実現させ、消費増税の見返りとして国会議員が身を切る定数削減は次期通常国会で実現させる事を確約すれば解散すると言うのが野田総理の主張であった。

　ところが違憲状態を解消する０増５減案を１６日までに成立させても、それを受けて区割りの変更を１２月４日の公示日までに行う事は不可能である。選挙は現行の憲法違反の状態のまま行われ、選挙結果はやはり違憲になる。裁判所が選挙無効の判決を出す可能性も全くないとは言えない。

　選挙無効になれば違憲選挙に踏み切った民主党だけでなく、違憲状態のまま早期解散を迫った自公両党の責任も問われる事になる。国民は無効になるかもしれない総選挙を民主、自民、公明が３党合意で仕組んだことを腹に収めて投票に臨まなければならない。

　一方で野田総理の狙いを私なりに解釈する。それは来年の通常国会までに定数削減の選挙制度改革について確約を迫ったところにある。民主党が提案している比例代表連用制は自民党にとって受け入れがたい制度だからである。この制度が導入されれば自公の選挙協力に楔が撃ち込まれる可能性がある。

　連用制は小選挙区で多数を得た政党が比例ではその分を削減されるので、中小政党が生き残れるようになっている。仮に日本で導入すると民主党や自民党は議席を激減させるが、公明党などは議席を減らすことにならず、かつては公明党が熱心に導入を主張していた。

　連用制が実現すると公明党は自民党との選挙協力がなくとも現状の議席を維持できる。そうなればキャスティングボートを握れる政党になり、状況次第で連立の相手を変えることが出来る。困るのは自民党である。公明党の協力がなくなれば自民党は小選挙区でそれぞれ３万程度の票を減らすことになる。自民党は公明党との選挙協力の結果、実は足腰の弱い政党に成り下がっている。だから自民党はかつての中選挙区制に戻りたい。３人区を作り公明党も生き残れるようにして公明党との関係を維持しようとしている。

　従って選挙制度改革での確約は民主党の連用制と自民党の中選挙区制との綱引きになる。自民党は連用制を憲法違反だとか、分かりにくいとか言っているが、中選挙区制こそ世界に例のない特殊な選挙制度で、比例代表連用制はニュージーランドやドイツなどが採用している。中小政党が生き残れることから連立の時代の政治に適していると言われる。

　違憲状態である事を承知の上で選挙に踏み切ると最高権力者が判断した事は、主権者国民から見れば挑戦状をたたきつけられたに等しい。そうであるならば１６日までにどのような確約が政党間で実現し、それが国民にどのような意味を持つのかを吟味する必要がある。そして挑戦状にもきちんと答を出さなければならない。

　特に景気後退がはっきりしてきた今、その原因が消費の減退にあると言われている今、その消費をさらに冷え込ませる消費増税を認めるのかどうか。主権者国民の知らないところで決められた３党合意に対して、ようやく国民が意思を示せる機会が訪れた。

　テレビを見ていると「どうせ政治は良くならねえ」とか「誰がやっても同じだ」など自分で自分に唾する発言を耳にするが、国民生活に最も直結する問題は消費税の導入である。それに意思表示をしなければ景気がどうなっても文句は言えない。来年夏の参議院選挙と２度にわたって意思表示ができる機会をむざむざ無駄にするのは本当に愚かである。

コメント
01. 2012年11月15日 02:42:56 : NGGayw2tSg 減税日本、太陽の党に合流へ…対等合併と河村氏 　減税日本代表の河村たかし名古屋市長は１５日未明、石原慎太郎前東京都知事が結成した太陽の党に合流する意向を明らかにした。 　石原氏と共に同日、都内で記者会見し、発表する。 　河村市長は同日未明、都内で記者団に対し、「ええ日本を作るために二つのグループが一緒になる。対等合併だ」と語った。 　政策として、「中央集権打破」や行財政改革などを掲げるとみられる。河村市長は減税政策や脱原発を掲げており、石原氏との隔たりは大きいが、「大同団結」を優先し、看板政策の「減税」を棚上げすることも検討している。 （2012年11月15日01時04分 読売新聞） http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20121115-OYT1T00099.htm
02. 2012年11月15日 05:10:45 : n9YxCr1oPs 野良豚は自らをバカ正直とほざいたが に正直であっても誠実ではない 泥棒が盗まないと言ってないじゃなかと 強弁するのとお一緒、ああいえば上祐だ 詭弁ばかりを使うペテン塾の連中や ワイドショー御用達政治ブローカーに ＮＯをつきつけないと 日本の将来は本当にない 後世の孫子に負債を残さないなどと 野良豚は既得権益のパーなペットとして お題目を唱えるが 現状を変える抜本的に行わず 既得権益者の目先の利益を死守する そんな薄っぺらな詐術しか使わない Ｖａｋａに政治をさせてはいけない まあ、予想外のいまの状況であるが ラッキーでウンだけで総理になった奴は 仲間のことも考えず国民のことも考えない 誠のない奴がいくら嘘はついていないと 強弁しても、それは噓をついているのと同様だ どちらにしても子供じみた詐欺豚を 政界から永久追放したいものだ
03. 2012年11月15日 06:29:56 : 57uSTKGRqk ノブタを落選させよう。
04. 2012年11月15日 06:44:31 : NGGayw2tSg 違憲状態のまま総選挙へ　一票の格差、無効の可能性も 2012年11月15日5時52分 　次の衆院選日程が固まったが、最高裁から違憲状態と指摘された「一票の格差」の是正は手つかずだ。民主党は１４日に衆院選挙制度改革法案を衆院に提出し、自民党と修正協議を始めた。ただ、次の衆院選はいまの区割りで行われることになり、選挙無効の判決が出る可能性もある。 　野田佳彦首相は１４日の党首討論で、自民党の安倍晋三総裁に「一票の格差の問題は違憲状態だ。一刻も早く解決しないといけない」と協力を要請。そのうえで、「我々は身を切る覚悟で定数削減を実現しなければいけない」と求めた。 　民主党が衆院選挙制度改革法案を提出したのは党首討論の直前。内容は先の通常国会で廃案になった法案と同じで、一票の格差を是正する小選挙区定数の「０増５減」と、議員定数を減らすための比例定数の「４０削減」をセットで盛り込んだ。比例定数１４０のうち３５議席分に、少数政党に有利な連用制も導入する。 　安倍氏は格差是正については「当然やるべきだ」と賛同したが、定数削減には「来年の通常国会で」との考えを示した。安倍氏の後に討論に立った公明党の山口那津男代表も「解散の後に定数削減もやる」と足並みをそろえた。首相も定数削減は来年の通常国会で実施することで譲歩し、双方は歩み寄り始めた。 　法案を審議する衆院政治倫理確立・公選法改正特別委員会は１５日午前の開会が決まった。民主、自民の筆頭理事は１４日夜に修正協議をスタート。１６日の衆院解散までに成立して「０増５減」が決まれば、２０１０年の国勢調査に当てはめれば一票の格差は１．７９倍になり、２倍以内に収まる。 　ただ、実現するには衆院議員選挙区画定審議会による新たな区割りの勧告を待たなければならない。「５減」の対象は山梨、福井、徳島、高知、佐賀の各県で、新たな選挙区の線引きは時間を要する。有権者への周知も考えると、法案成立後、なお数カ月の期間が必要だ。１２月１６日投開票の衆院選では間に合わない。 　与野党内には「０増５減が成立すれば国会の努力が認められ、選挙無効は避けられる」との意見もある。一方で、選挙無効の判決を回避する根拠としては不十分との見方もある。 　岡田克也副総理は１４日夕、違憲状態で選挙戦に入ることについて、記者団にこう語った。「望ましくはないが、やむをえない。あとは、最高裁の判断だ」 　　　　　◇ 　〈「一票の格差」をめぐる判決〉　２００９年衆院選で、有権者数が最多の千葉４区と最少の高知３区の「一票の格差」は２．３０倍。高知３区の有権者１人が１票を持つのに、千葉４区の有権者は２．３人で１票を持つ計算だ。最高裁は昨年３月、この格差を「違憲状態」と判断し、地方に議席を手厚く配分するため全都道府県にまず１議席を割り振る「１人別枠方式」廃止を求めた。違憲かどうかの目安は、各地の高裁判決などから２倍以上と指摘されている。 http://www.asahi.com/politics/update2/1115/TKY201211141093.html
05. 2012年11月15日 08:57:15 : fFLvKxJQm2 いよいよ木更津に行って、 元締めにお願いするしかないか。
06. 2012年11月15日 09:01:46 : PDa31KAumM この一票で消費税の行方が決まるわけだから国民の生活が第一を中心とした国民連合しか投票先はないわな。
07. 2012年11月15日 09:14:53 : p75dV2wG02 格差是正をした条件で選挙しないかぎり、是正を条件なんてまったく意味ないとしか思えないのだが、 マスコミを含めて何を考えているのか。
08. 2012年11月15日 11:12:21 : hxwZKoQ772 野田が国会で解散を実行まではどこか信用できない。
09. 2012年11月15日 12:25:00 : suDIRIhN8o つーか、この野田だけは現役首相の落選という大恥をかかせてやりたいんだが。 千葉で大物のライバルが立つ予定はないのか？
10. 2012年11月15日 13:16:51 : n8usGiH2gg 　＜国民生活に最も直結する問題は消費税の導入である。＞ 　 田中良紹氏の評論はいつも明快で、参考にさせてもらっています。 しかし今度の選挙争点は、消費税と同じ重みかそれ以上に、「原発」があると思うのです。原発事故を経験した今こそ、その視点からの政治参加の大切さを伝えてもらいたいと思います。

11. 2012年11月15日 17:33:13 : TvGRkXl8k6 >>10 原発はすぐに効果が出ない。すぐに効果の出るものは消費税の問題なのだよ。 国民はすぐに効果の出るものを求めるから仕方が無いと思う。
12. 2012年11月15日 18:58:44 : BhoF2AQA6w マスゴミが野田首相を「正直者」とほめ始めたぞ。 あっはっは、だ。 さらに民主党はコマーシャルを流すらしい。これでテレビ局に金が流れる。 まだマスコミの正体がわからない人は少しは自分で考えること。
13. 2012年11月15日 22:45:00 : isURR5w5Wk 「違憲総選挙」 こんなでたらめな選挙は、差し止め出来ないのでしょうか。弁護士さんの方々、選挙差し止めの訴えを至急検討していただけませんか？ 野田と自民公明の（多分裏に隠れた米国の）連中の今回の慌てふためいた解散・総選挙の愚挙は、彼らが追い詰められたことを示していると思います。 東京都知事選挙での結果を心底恐れたのではないでしょうか。私見ですがこれが権力者達の愚挙の理由だと思います。脱原発の市民団体から宇都宮健児先生が立候補されましたが、都知事選だけの選挙では、脱原発の都民の声が宇都宮さんに集まって、圧勝するという事態となった時、日本の民意のあり方が明確になり、政治の方向が決まってしまうのです。それを恐れて、慌てて総選挙をぶつけた。 小沢一郎さんに対する検察の愚挙を通していろんなことが、日本の政治支配の醜い実態が浮き彫りにされてきていますが、今回もまた、裏の権力者（アメリカ直属財務省？）が多分そんな程度の浅知恵で、こんなシナリオを描いたのでしょう。 私たちは、ここまで権力を追い詰めて来たのです。自信を持って、活動を強め、戦い抜きましょう。
14. 2012年11月16日 08:23:33 : VeD8WJU3YE 1票の格差是正せず選挙やっていいのか？
15. 懐疑人 2012年11月21日 20:29:26 : tXzT85Z./HoOs : EXkoiZzh6M 憲法違反をし、マニフェスト違反をし、平気な連中が今度は執行部の示した政策に従えない人は公認しないだと。総理大臣が憲法違反を平気で犯す国家って法治国家？マスコミはもちろんこれを報道しません。この国の統治は最早狂ってる。

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