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2012年11月12日 植草一秀の『知られざる真実』
NHKが各党討論会を久しぶりに実施したが、マスメディアが人気を創出したい「維新」を出演させることはできなかった。
「新党きづな」が樹立された際、NHKは「新党きづな」の出演を拒否した。国政選挙を経ていない政党を出演させることはできないとの理由だった。
この理由から「維新」を出演させることができなくなった。
NHKが長きにわたって各党討論会を実施してこなかった理由は、「維新」抜きの討論会では「維新」の宣伝ができないからであると思われる。
「国民の生活が第一」を出演させているのは、「国民の生活が第一」の規模があまりにも大きいからである。この新党を出演させなければ、視聴者からの批判が殺到する。だから、「国民の生活が第一」は出演させた。
これほどいまのNHKは腐敗している。
放送法が「政治的公平」を義務付けているのに、NHKの偏向は目に余る。
「維新」の宣伝ができないから、今後も各党討論会の開催頻度が落ちるのではないか。厳しく監視してゆく必要がある。
野田内閣が年内に衆議院を解散する可能性が高まっているとの報道が増えている。
赤字国債発行法が成立しない責任は政府にある。ねじれ国会であるなら、ねじれ国会を運営するための譲歩が必要だ。主権者国民が国会を「ねじれ」状況に置いたのは、政府に謙虚な政治、譲歩する政治を求めているからだとも言える。
自分たちの謙虚な姿勢、譲歩が欠落しているから法律が成立しないのに、その責任を野党に押し付けるのは言語道断だ。何から何まで、自己中心主義なのだ。
地方交付税の支払いをやめて、法律を成立させないと、国民生活を破壊してやるとのスタンスを示しているが、これも国民生活に責任を負う政府の姿勢として首をかしげざるを得ない。
早期解散説が取り沙汰はされているが、野田佳彦氏の口から明確な方針は語られていない。
赤字国債発行法を可決させるためにデマが流布されている可能性もある。
なにしろ、ペテンを働く政府だから、何もかもが信用できないのだ。
元参議院議員の平野貞夫氏が新著を発行された。
タイトルは、
『小沢でなければ日本は滅ぶ』
出版社はイースト・プレス社だ。
「35年にわたって小沢一郎を陰に日向に支え、「小沢一郎の知恵袋」と呼ばれた著者が、政治家として、また人間としての小沢一郎の実像″と、今後の政界戦略を明らかにする書」である。
まだ誰も知らない政界の裏話が満載である。
驚くべき秘話もふんだんに盛り込まれている。
著者の平野貞夫氏は7月に友人からイースト・プレス社を紹介され、『小沢一郎との35年』をテーマに著書を執筆することを依頼された。
9月には全体が出来上がったが、9月26日の小沢一郎氏控訴審第一回公判で11月12日判決の日程が決まったことを受け、新著の出版と裁判の判決が重なるとのことで、題名を変更することになったという。
わずか2ヵ月での執筆であり、平野氏の執筆のスピードの速さに改めて驚かされる。
しかも、これまで35年の出来事の詳細が正確に記述されている。
丹念に日記、メモを記述し、管理していなければできないことだ。
平野氏は事実を事実通りに正確に記述される。
伏魔殿のような政界の裏側には魑魅魍魎が跋扈するわけだが、平野氏はそれらの魑魅魍魎を片端から一刀両断する。
政界でこれほど嫌がられる存在はないだろう。
この夏、平野氏が前尾繁三郎元衆院議長の法事で野中広務氏に出会ったという。
政治の道の上で平野氏と野中氏は相容れる間柄ではなかった。
しかし、二人の間には言葉に尽くしがたい、いわば究極の「愛と憎しみの関係」とでも言うべき不思議なつながりがあったと平野氏は記述する。
野中氏が平野氏に会いたがっていると聞き野中氏に会うと、野中氏は特に大した話もせずに、平野氏の手を握ったり、手をさわったり、背中をさわったりする。
そのときの野中氏の雰囲気を平野氏は、
「俺はもう、やることはすべてやった。後を頼むな。もう次にいつ会えるかもわからないんだから」
と、平野氏を通じて小沢さんに語りかけてくるようだった、と記述する。
このような感慨を通して本書はまとめられたという。
小沢一郎という政治家を正しく理解するうえで、本書以上に参考になる書はないものと思われる。
2011年3月11日の大地震・大津波・原発事故の直後、超法規的非常事態対策院構想が小沢一郎氏、亀井静香氏、村上正邦氏、平野貞夫氏などの発案で検討された事実も披瀝されている。
平野貞夫氏の著作は極めて多く、そのいずれもが歴史の事実に裏付けられた、第一級の史実書であるが、いま日本の政治が混迷を極めるなか、私たちはその最大のキーマンである小沢一郎氏についてのより正確な知識を共有するべきである。
2009年9月の政権交代に私たちは大いなる希望を寄せた。
それから3年の時間が経過し、希望は粉々に粉砕されたが、ここで私たちが絶望に陥っては、私たちに未来はない。
希望のかけらを拾い集め、もう一度、理想を追求しなければならない。
11月12日には高裁判決があり、日本の政治は新しい局面を迎えることになるだろう。
そのために、平野氏の新著を購読し、知識と情報と哲学を共有する必要がある。
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