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11月8日(木) 石原慎太郎都知事の辞職と国政への影響
〔以下の論攷は、『東京革新懇ニュース』2012年11月5日付(第377号)に掲載されたものです。〕
先ずは辞職を歓迎
先ずは、めでたい。これで東京都政も少しはマシになり、オリンピック招致などという無駄もなくなる可能性が出てきた。石原慎太郎都知事の辞職を歓迎したい。
石原知事は緊急記者会見で都知事の辞職と新党の結成、国政への復帰を明らかにした。翌日には定例記者会見が予定されており、急ぐ必要がなかったにもかかわらずこの会見を開いたのは、「意外性」を強調して注目を引きつけるために周到に計算された「メディア戦略」によるものである。
国政への踏み台は身勝手
石原都知事がすでに都政に対する関心と意欲を失っていたことは、昨年春の都知事選の時から明らかであった。この時、すでに引退を考えていたが、自民党の森元首相などに懇願されて翻意し、息子の伸晃を引き立ててもらうことを条件に4選出馬を決めたという。
しかし今回、石原知事は任期を半分以上も残して辞職した。それなら、昨年の知事選挙にも立候補するべきではなかっただろう。中途で都知事の職を投げ出すのは無責任であり、それを国政に向けての踏み台にするのも身勝手である。都民の1人として抗議したい。
アナクロニズムの「新党」
「石原新党」結成の噂はこれまでも浮かんでは消えてきた。決して、意外でも唐突でもない。石原知事は息子の伸晃のために様子を見ていたが、自民党総裁選での落選で遠慮する必要がなくなり、総選挙の可能性が強まったため新党結成に踏み切ったと思われる。
また、尖閣諸島問題でも購入のための資金カンパが宙に浮いて責任を問われる恐れが出てきた。国政への復帰は、それから逃げるための口実であり、「尖閣」を「現行憲法破棄」の突破口にしようとした目論見がはずれたための「次善の策」なのであろう。
しかし、「たちあがれ日本」をはじめ、新党に参加すると予想されているメンバーを見ると、皆70歳前後から80歳の高齢者ばかりである。主張していることも「新」と言うにはあまりにも古くさい。このようなアナクロニズムの「新党」がどれだけ受け入れられるだろうか。あまり有権者を馬鹿にしてもらっては困る。
新党の国政への影響は
石原知事は五輪招致に失敗し、日の丸・君が代を強制して教育を混乱させ、教育・福祉・文化・生活の破壊と汚染した豊洲への築地市場移転などを強行してきた。これが石原都政の実態であり、それを国政レベルでも実行しようというのが今回の国政進出の意味にほかならない。
安倍自民党が右にシフトし、日本維新の会の支持者を奪った。そして、石原新党はこの安倍自民党の基盤を脅かすことになるだろう。石原都知事は現行憲法の破棄と新憲法の制定、硬直した官僚制のシャッフルを主張したが、具体的な政策は示されていない。
原発政策や消費増税、TPPへの参加などでの政策的相違もある。「第三極」を掲げて理念や政策抜きの「野合」をめざしても、もう一つの「選挙互助会」が誕生するだけである。国政に影響を与えるような力は発揮できず、また、そうさせてはならない。
(見出しは編集部)
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