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アジア欧州会議(ASEM)49ケ国首脳会議が閉幕した。野田首相と温家宝首相は言葉も交わさず、議場では所謂“尖閣”をめくって激しい火花を散らした。それを見つめるASEAN諸国と欧州諸国首脳が感じたものは何であったのか容易に想像できる。
この日に備えて一月前に玄葉外相が仏、英、独を訪問して島嶼問題での日本支持取り付けを訴えたが、三国ともに玄葉に面と向かって、支持しなかった。
中国包囲同盟国の頼みとする国は豪州、インドネシア、ベトナム、フィリピンのはずであったが、日本外務省はユドヨノ・インドネシア大統領によるASEAN意見統一に向けての説得の成果を見ていない。また、それに対する中国政府の具体的協力姿勢も情報取集していない。
ASEANは中国と貿易インフラ及び商業貿易システムの構築を開始している。その協調関係は広範囲で、ASEAN各国と中国の自由往来を前提にして、様々な問題の予測とその国際協調による解決を具体化させている。
それは犯罪の共同捜査にまで及んでおり、既に中国人殺害事件捜査を中国公安と泰警察が共同捜査しラオス人犯人を逮捕している。その公判はTVで全時間が中国からASEAN諸国にライヴ中継され、そろそろ判決の段階と報じられている。
また、ベトナム戦争中の南ベトナム政権と交戦までした南中国海の島嶼問題も、小康状態で日米が騒ぐような海上交易路問題は全くない。中国はASEAN関係国にその状態を今後も維持し海洋資源の共同開発を提案し、協議を積み重ねている。
9月9日に閉幕したAPECウラジオストック・サミットは今回の49ケ国首脳によるASEMを完全に予測させるものであった。私は野田が座敷牢状態だったと思う。
同盟国と頼んだベトナムは中国と三日間びっしりと通商会議を行って、経済交流の具体的な施策とくに食料品貿易のインフラ(高速道路建設と貿易会社機構の整備)を決めたと言う。南中国海島嶼問題に対して日越共同で中国を牽制したい日本の提案は事前に冷たくあしらわれていた。
野田政権の期待する中国軍事包囲網の同盟国は、韓国、台湾、フィリピン、ベトナム、インドネシア、豪州、印度、カザフスタンを予定していた。野田外交は1年間それだけに集中した観あり。しかし、中国はASEANとの経済共同体に向けて実務的協議を積み重ねて実績を上げていた。
野田政権にとって残された同盟国候補は、インドと豪州とフィリピンの三国だけとなった。
豪州とは軍事「物品役務相互提供協定(ACSA)」を締結し、自衛隊が軍事物資の提供義務を負った。しかし日豪は同床異夢であった。先月中国と豪州が共同演習を実施している。豪州はあくまで避難民救助や海賊対策だけが目的であった。ここでも野田政権の軍事外交戦略は破綻した。
また、インドとは原発輸出とセットにした核利用協定と軍事交流協定を結ぼうとしたが、拒否されていた。そして9月に中国の国防大臣がインドを訪問し、両国軍の直接交流と共同演習の再開が約束された。
ベトナムやインドの対日姿勢の変化は、インドネシアのユドヨノ大統領によるASEAN-中国共同体に向けての提案と説得が結実したことが影響している。
これで、野田の中国軍事包囲網は完全に崩壊した。石原慎太郎はそれに対する“さや当て”として、「国民の鬱屈した感情を火薬に用いる危険極まりない火遊びに手を出そうとするなんて、実に勇敢で粗忽」(大藤理子さん週刊金曜日)なる実力行使に及んだ。
最後に残された同盟国候補フィリピン。今回の議長国はフィリピンで、日本から出された議題提案「海洋法遵守決議」に対して『今回は経済協力問題であり、そういう島嶼問題の場ではない』とフィリピン外相は拒否していた。その拒否は外務省にとって晴天の霹靂。
中古巡視船7隻を供与し、黄岩環礁で中比対立を起こさせ、中国が事実上の禁輸と観光渡航の禁止を行うと、フィリピンでは20万人の失業者が出た。日本政府は中国向けだったバナナを買い取らせ、失業対策として在中国日本企業にフィリピンへの工場移動を薦めたのにである。
そして今回のASEMを迎えた。「(国際海洋法を蹂躙している国があるから)国際法によって厳正なる解決を目指すべきだ」と言う主旨の野田発言を各国首脳がどう理解するかは、自明である。
またもや喧嘩を仕掛けた野田。そういうことは議題に無い。欧州とアジアの経済協力を深め、特にEUの財政危機支援策会議を野田が壊した。
日本政府は「中国名指しを避けた」“配慮”で中国政府が感謝すると勘違いしていた。愚か。問題の中心が何であるか全く理解していない。
ASEM49ケ国首脳を前にした野田の醜態。それは野田政権が国際的に孤立し切ったことを示す。「経済・金融分野の協力を強化=尖閣、南シナ海言及せず−ASEM閉幕」時事http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012110600969
参照)
日中政府関係は最悪の泥沼@
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012110601027
日中政府間は最悪の泥沼A
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012110601015
野田政権は日豪軍事協力−「物品役務相互提供協定(ACSA)」を締結しており、自衛隊は軍事物資の提供義務を負った。それを今になって国内法を提案した。http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012110600817
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- 追加2: ASEM(欧亜49ケ国首脳会議)閉幕、日本の国際的孤立が鮮明 SukiyakiSong 2012/11/07 18:12:04
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- 意見追加: ASEM(欧亜49ケ国首脳会議)閉幕、日本の国際的孤立が鮮明 SukiyakiSong 2012/11/07 04:06:25
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