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石原 慎太郎 前東京都知事の告白「中央官僚支配を壊す」  首相が安倍氏に不快感 野田首相も?「燃え尽き症候群」の恐ろしさ
http://www.asyura2.com/12/senkyo138/msg/340.html
投稿者 MR 日時 2012 年 11 月 06 日 08:16:46: cT5Wxjlo3Xe3.
 

石原 慎太郎 前東京都知事の告白 「中央官僚支配を壊す」

2012年11月5日(月)  白壁 達久

東京都知事を4期目の途中で突如、辞任。新党を立ち上げて国政復帰を狙う。都政で感じた国への不満を解消すべく、80歳が立ち上がる。尖閣問題の引き金を引いた老政治家は次の衆院選で、台風の目となるのか。

 10月末、石原慎太郎氏は約14年間務めた東京都知事の職を辞した。80歳にして新党を立ち上げ、国政を目指す理由は何か。石原氏の真意を読み解く。(10月25日の辞任会見を基に構成)
 このたび、最後のご奉公をしようと思い東京都知事を辞任すると決めました。私は14年、正確には13年と8カ月にわたり都知事を務めてきました。ほかの県と違い、東京の問題は日本全体の問題です。(国政復帰は)東京のためだけではなく、日本のためになります。

 (都知事時代は)国の妨害に遭って苦しい思いをしてきました。新党を作ってやろうとしていることはすべて、都知事としてやってきたことの延長です。

 現在の中国共産党で国父とされている毛沢東が書いたものに「実践論・矛盾論」があります。私は学生時代にそれを手にしました。矛盾を解決するには、背後にあるもっと大きな問題を解決しなければならないという話です。私は共産主義は嫌いですが、(この言葉は)まさにその通り。

 国政で解決したい大きな矛盾がいくつかあります。最たるものが、占領軍が日本に与えた日本国憲法。絶対平和という日本人独特のパシフィズム(平和主義)を植えつけ、権利と義務のインバランス(不均衡)が我欲を培い、国民全体がセルフィッシュ(利己的)になった。それに政治が迎合せざるを得ない今日の状況を作ったのです。

憲法問題に続いて熱弁を振るったのは、国の財政問題。財政再建に向けて官僚支配の変革を訴える。
 日本の財政はピンチと言いますが、余力はある。だが、それを引き出せていないし、使えていません。中央官僚はそれを把握しながら、隠しています。国の財政にはバランスシートがありません。これで健全にできるわけがない。都は複式簿記で合理化し、財政再建の道筋を作りました。会計方式を世界基準に変えればいいのです。

官僚には発想力がない

 国家との摩擦の中で感じたことは中央官僚の独善です。官僚には発想力がない。自分で責任を持って判断し、解決しようとしません。尖閣の問題もそう。こうした通弊を変えなくてはならないのです。

 例えば文部科学省が主導した、ゆとり教育はどうなったか。たちまち学力が落ちました。その過ちを文科省が取り消しましたか。厚生労働省の保育所問題もそうです。国は「預かっている子供1人当たり1.5坪の遊び場を作れ」と言う。だけど、20〜30人の子供を預かるとして、それだけの土地を買おうとしたら、東京の地価ではべらぼうな値段になります。これでは保育所を新設できない。民間が持て余す資産で子供を遊ばせようと動いたら、猛反対を食いました。

 役人は一切、現場を見ません。そういう行政が続いているのです。私が代議士の頃から、米軍横田基地の問題があります。長い滑走路を有しながら、米軍に占領される形になっています。何で活用できないのかと官僚に聞いても、「(米国の)国防総省だけは刺激しないで」と答えるのです。

 横田基地の問題などの解決は、国民全体のためになることです。国は国民や市民を無視している。私はこれが限界に来たと考えています。中央集権を削除しないと受け入れられない問題がたくさんある。有志の方と協力して、これらの問題解決に臨みたい。

新党は政界に何をもたらすのか。石原氏は日本維新の会との合流に含みを持たせながら、今後の展開を語った。
 政策については、橋下(徹・日本維新の会代表)君と話し合ってきました。エネルギー問題などで意見が違う部分もありますが、そこは話し合えばいい。それが政党というものです。

 維新と連合を組むかどうかは(現状では)分かりませんが、自民や民主と組むつもりはない。当然、小沢(一郎・国民の生活が第一代表)とも。私は自民にいた当時、苦い思いをした人間。自民に戻らないし、戻りたくもない。

 80歳といい年ではあります。体力は落ちてきていますが、気力は年々増しています。都知事を辞任しても、政治家を辞めるわけではありません。もうちょっと違った形で、大きな形で、お国に最後のご奉公をしようと思っています。

「石原新党」見切り発車に政界困惑
 石原慎太郎氏の新党結成表明は衆院解散・総選挙をにらむ与野党各党に衝撃を与えた。「政界再編の起爆剤になる」「全国的なブームにはならない」など見方は分かれるが、各党は選挙戦略の見直しを迫られている。

 最も影響を受けそうなのが民主党だ。民主内には石原氏の政治姿勢に賛同する保守系議員が少なくない。衆院での与党の過半数割れが視野に入る中、新党に合流する議員が相次げば、内閣不信任案の可決が現実味を帯びてくる。

 石原氏の後継を選ぶ東京都知事選も民主にとってマイナス材料でしかない。政権与党として独自候補擁立を目指すのが筋だが、民主幹部は「逆風が吹き、苦戦必至の現状では慎重にならざるを得ない」と漏らす。都内選出の国会議員を擁立する案や、次善策として石原氏が名前を挙げた猪瀬直樹・都副知事を支持する構想も取り沙汰されるが、12月16日投開票の「首都決戦」に様子見ムードが漂う。

 臨時国会召集直前というタイミングでの石原氏の新党結成表明には、「年内衆院解散」への風を起こす狙いがある。民主の一部に早期解散を容認する声もあるが、民主のある閣僚は「とても都知事選と連動して衆院選を戦う雰囲気ではない。各種世論調査で、内閣支持率は一層沈んでおり、年内解散はますます遠のいた」と語る。

 自民党にも波紋が広がっている。保守色を前面に出す石原氏の政治姿勢は安倍晋三総裁の政策と重なる部分が多い。自民内では、衆院選後の石原新党との連携や連立を期待する声も上がるが、ある自民幹部は「先の話よりまずは衆院選。東京を中心にうちの支持層が石原新党に流れる可能性が大きい」と身構える。自民のあるベテラン議員は「目論見通り、自民、公明で過半数を獲得できるかどうか、分からなくなってきた。政権奪還後も不安定な政権運営が続くのではないか」と顔を曇らす。

 石原氏が唱える、橋下徹・大阪市長が率いる日本維新の会など第3極による「大連合」についても、不透明感が漂う。維新関係者によると、石原氏のこの時期の新党結成と維新との連携への意欲表明は「寝耳に水」。石原氏の動きは、維新への根回しなしの見切り発車だったというわけだ。

 実際、第3極結集には政策のすり合わせと、共倒れを防ぐための選挙区調整というハードルがある。

 例えば、次期衆院選の争点になる原子力発電所問題については、維新とみんなの党が将来の脱原発を掲げるのに対し、石原氏は必要不可欠との立場だ。石原氏が消費増税を容認する一方、維新とみんなは「消費税の地方税化」を主張し、抜本的な見直しを掲げる。石原氏周辺からは「政策の違いは大きな問題ではない。今後の話し合いで溝は埋まる」と楽観的な見方も出ているが、安易な妥協は「野合」との批判を浴びかねない。選挙区調整に関しても、石原新党とみんなはともに関東が拠点だけに困難が予想される。

 それでも自民幹部は「衆院選の構図が不明確になるほど、その後の出番があると石原さんは賭けに出たのだろう」と語る。狙い通りの“乱世”を生み出せるのか。「石原劇場」の最終章が幕を開けた。

(編集委員 安藤 毅)

白壁 達久(しらかべ・たつひさ)

日経ビジネス記者。日経BP社入社後、日経ビジネス編集部に配属。翌年日経ビジネスアソシエ編集部へ移り、若手ビジネスパーソン向け経済情報を取材・執筆する。2007年から再び日経ビジネス編集部へ。重工、中堅・中小企業を担当。近年は第一次産業や人材業界に関する取材にも注力する。趣味は幼少期から続く宝塚歌劇鑑賞(月2回の観劇はマスト)と、ハマってから6年目になる阿波踊り。今年も徳島と東京・高円寺で踊る予定。


時事深層

“ここさえ読めば毎週のニュースの本質がわかる”―ニュース連動の解説記事。日経ビジネス編集部が、景気、業界再編の動きから最新マーケティング動向やヒット商品まで幅広くウォッチ
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20121101/238912/?ST=print

【主要朝刊】NEC営業利益率5%目標、首相が安倍氏に不快感

11月6日(ブルームバーグ):各紙朝刊の主なニュースは以下の通り。
【各紙】▽トヨタ:純利益2.8倍、今期7800億円−中国苦戦、北米で補う▽米大統領選きょう投票▽ASEM首脳会議開幕−欧州財政危機、対応を協議▽首相:解散時期明示せず、「自分で判断」強調−ラオスで記者団に▽首相:うそつき批判の安倍氏に不快感▽ツアー強硬、現地任せ、邦人死者3人に−万里の長城遭難
【読売】▽オスプレイ訓練、厚木でも、今月中にも開始−米軍計画▽日米防衛指針、改定へ協議−事務レベル、年内にも
【朝日】▽トヨタ:北米・アジア順風−中国不振、なお懸念
【日経】▽JCOM:電力販売参入、東電の1割安−マンション向け▽設備投資、減税へ、中小の小売サービス業−消費税対策で政府▽スイス経済相:銀証分離構想に消極的−「組織論踏み込まず」▽パルコ:内外で出店再開−15年2月期、全体で営業益500億円へ▽日本精工:メキシコに新工場、60億円−車用軸受け生産▽NEC社長:営業利益率5%目標、財務制約−分野絞りアジア展開▽住友不:12%増益、4〜9月−新規ビルなど寄与▽ワタミ:営業益20%増−4〜9月▽太平洋セメ:経常益3.6倍、4〜9月40億円−通期上振れの公算
【毎日】▽大学設置に検討会、不認可適否も協議へ−文科省
【産経】▽内閣支持率、最低21.5%−世論調査▽前原氏団体:新聞代、不明朗な支出−区域外の販売店に
【東京】▽復興予算、被災確認せず住宅支援、追跡調査なし−国交省▽ダライ・ラマ:日中は互いに必要だ−指導者に解決訴え
記事についての記者への問い合わせ先:山村敬一 Keiichi Yamamura kyamamura@bloomberg.net
記事に関するエディターへの問い合わせ先:東京 大久保義人 Yoshito Okubo yokubo1@bloomberg.netChian-Wei Teo cwteo@bloomberg.net
更新日時: 2012/11/06 07:38 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MD1DK81A1I4H01.html


エッ、あの野田首相も? 世界中に広がる「燃え尽き症候群」の恐ろしさ

鬱病とは異なるその原因や症状を正しく理解しよう

2012年11月6日(火)  河合 薫

 野田佳彦首相が“燃え尽き症候群”? そんなウワサが民主党内に出ているのだという。

 読売新聞の記事によれば、首相は10月30日の民主党両院議員総会で「実りある国会にしたい」と語ったが、政権運営の具体的な展望には言及しなかった。それを聞いたある中堅議員が、「消費増税に向けて『不退転の決意』を強調していた頃とは別人のように感じた」と語り、29日夜に首相と懇談した衆院当選1回生からも、「首相に『これをやりたい』という前向きなエネルギーを感じなかった」という感想が漏れたという。


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 その覇気のなさは、無気力そのもの。消費増税案に、「不退転の決意で臨む」と目を輝かせていた時とはまるで別人。「もう辞めるつもりじゃないか」などという憶測まで飛び出しているという。

 燃え尽き症候群=バーンアウト――。

 ここ数年の間で急速にあちらこちらで目にしたり、耳にしたりするようになった言葉の1つ、だ。

 そもそもバーンアウトという言葉は、「ドラッグ常用者が陥る無感動、無気力の状態」を意味する俗語。1974年に米国の精神科医で心理学者のハーバート・フロインデンバーガーが、彼が勤務していた職場で熱意あふれる同僚たちが、次々と1年余り間にその熱意を失っていき、エネルギーを吸い取られるようにやる気を失っていく状態を見て、「オ〜、これはどういうことだ〜! バーンアウトに似ているぞ!」(←こんなふうに言ったかどうかは分かりませんが)と、使い始めたのが最初だという。

 その後は、バーンアウトの明確な定義を示す取り組みが始まり、フロインデンバーガーの「持続的な職務上のストレスに起因する衰弱状態により、意欲喪失と情緒荒廃、疾病に対する抵抗力の低下、対人関係の親密さ減弱、人生に対する慢性的不満と悲観、職務上能率低下と職務怠慢をもたらす症候群」という定義もさらに精査され、その状態を測定できるモノサシが世界中で使われている。

 その代表格が社会心理学者クリスティーナ・マスラークらの「マスラック・バーンアウト・インベントリー」。そこでは、「長時間にわたって人に援助する過程で、心的エネルギーが絶えず過度に要求された結果、極度の心身の疲労と感情の枯渇を示す症候群」と、定義されている。

 で、「野田総理がバーンアウト症候群か?」と聞かれたところで、正確なところは分かりやしない。ただ、テレビの画面に映し出される姿からは、「人間ってああも光を失うものなのかね〜」なんて思わずにはいられないほど、エナジーなき風貌になってしまった(あくまでも私の個人的意見であります)。

 とはいえ、ただでさえ政局の話ばかりでうんざり気味なので、一国のリーダーには申し訳ないけれども、どうでもいいと言っては、どうでもいい話でもあるわけで。野暮な駆け引きばかりをしていないで、さっさと特例公債法案やら議員定数是正やら、決めなきゃならないことを決めていただきたい。政治を進めてくれよ、という感想しか出てこない。

 というわけで、何も今回のテーマを「野田さんは燃え尽き症候群なのか?」なんてものにする気はさらさらありません。

 そうではなく、最近やたらとあちらこちらで、バーンアウトに陥る人々の話を聞くことが増えているので、そのあたりを考えてみたいと思います。

 「おい、ちょっと待て! バーンアウトっていうのは、看護師とか介護士とか、ヒューマンサービス職の方たちの話じゃないのか?」などと最初から突っ込みを入れている方もいるかもしれない。

 はい。確かにバーンアウトという概念は、ヒューマンサービス従事者に対して使われることが多かった。概念が生まれたきっかけがそれだったし、バーンアウト研究が広がった背景にも、ヒューマンサービスに携わる労働者が増加したことがある。

 しかしながら、それは単に「多かった」だけのこと。

 昨今の厳しい経済状況で、極めて高い目標設定や、時間的切迫度の高い環境、あるいは多くの職種でサービス業的側面を持ち合わせている状況などから、バーンアウト研究は職種を超えて取り上げられるようになっているし、取り上げるべきだ、と私自身考えている。

 何せ、労働者はおろか最近ではバーンアウトする大学生も増えているとの情報が、スイスから報じられているのだ。

 やる気のあった学生たちの意欲がだんだんと失われ、まさしく燃え尽きたように何もやりたくないと無気力状態に陥る学生たちが急増しているのだという。

 で、その背景として子育て環境の変化が指摘されていて、「おい!それって日本と同じジャン!」とついつい叫んでしまいそうな状況なのだ。

デキのいい人ほど燃え尽きやすい

 日本と同様にスイスでも、子供は小さいころからたくさん習い事をする代わりに、家の手伝いをしなくなった。多くの子供は家庭で責任を持たされることもなく、自分で問題解決をする必要もなく、親の絶大なるサポートの下、ぬくぬくと苦労なく育つ。

 そんな子供たちが大学に入り、「自分で何とかしなくてはならない」状況に追いやられると燃え尽きる。特に就職活動など、「どれだけやる気を出しても、思うようにならない事態」に遭遇し、つまずいた途端に無気力になる。

 特に、親からの期待に応えようとするデキのいい子ほど、あるいは勉強熱心で目標に向かってぐんぐん進んでいく学生ほど、就職難という厳しい社会状況に耐えきれずに燃え尽きることがあるのだという。

 何だかなぁ〜。

 今の日本の学生たちの状況を考えると、もはや人ごとではないわけで。加えていつの時代も、子供の世界はオトナ社会の縮図だ。より敏感なセンサーを持つ子供たちの社会で、確実にその後にオトナたちの社会が直面するだろう問題が降りかかる。

 実際に中間管理職の方たちの中にバーンアウトする人たちが多くなったという話を聞くこともあるし、インタビューさせていただいた方の中にも燃え尽き症候群特有の、無気力状態に襲われ、体調を崩したり、離職したりした人たちもいた。

 「って言うかさ、それって要するにウツなんじゃないの?」

 そう思われている方もいるかもしれない。だが、「バーンアウト=ウツ」では決してない。「バーンアウト=燃え尽き症候群」という文言が示す通り、疾病ではなく、あくまでも症候群で、「これは〇〇という病気です」という診断を下す場合の一助となる症状でしかない。言い方を変えれば、バーンアウトしたからといって、必ずしもウツになるわけではない。

 つまり、バーンアウトは、ウツを引き起こすきっかけになっている症状の1つと捉えた方がいいのである。

 安易に、という言葉が妥当かどうかは別として、無気力状態から、「ウツ」と診断されることで、ますます事態が悪い方向に向かうケースも存在する。

 大手電子機器メーカーに勤める38歳の男性も、その1人だ。

 「自分でもおかしくなっているとは気がつかなかったんです。仕事は好きだったし、どうにかしなければという気持ちの方が強くて、毎晩午前様だし週末も出社して、ほとんど休みなく働いていました。でも、そのことを1回でも『イヤだ』と思ったことはありませんでした」

 「自分も初めて管理職となって部下を持ったので、気負っていた部分もあるのかもしれません。年上の部下もいたし、ベテランの現場のスタッフもいて。うまくやらなきゃと、とにかく気を使いました。でも、自分が下からなめられるような存在だとダメだと思ったし、自分が課長なのだからって、過剰なまでに責任感を感じていたようにも思います」

 「だから自分でもリーダーシップについて学んだりもしたんです。でも、実際にはそこで書いてあることよりも、目の前のことを毎日こなしていくのに必死でした。そのうちドンドン余裕がなくなってきてしまって、ある時からどーでもよくなってきちゃたんです。特に何かきっかけがあったわけじゃないですね。う〜ん、やらなきゃって思っているつもりなんですけど、どこかでどーでもよくなっていたように思います」

倒れてうつ病と診断されたが実は違っていた

 「それで会社で倒れちゃったんです。血圧が極度に上がってしまったみたいで。よく覚えていません。それからというもの、会社に行くのも、人と会うのも億劫になって、『俺、ヤバいな』みたいな感じがしたので、病院に行きました。そしたらウツだって言われて。それで薬を処方されて。ちょうどそのころ、テレビでウツ病患者の薬が問題になっているという番組を見たことがあって、薬を飲むのを躊躇していました。で、ネットでいろいろ自分でも調べたら、『うつ病と燃え尽き症候群(=バーンアウト)は違う』という記事を見つけたんです」

 「いや〜、私はあのままウツだと思い込んでいたら、どうなっていたのか。今は、あの頃のように燃え尽きることはありません。その前にどうにかする対処法も身につけたし、人に任せられることは任そうと思えるようになりました。あ〜、でもこうやって自分のことを話すのって難しいですね」

 そう、彼は明るく話してくれたのである。

 うつ病と燃え尽き症候群は違う――。このことに気づくことは極めて重要である。

 ウツもバーンアウトも、どちらもストレスが原因で起こるストレス症状であるのだが、そこに至るまでのプロセスと、発症後の対処策が全く異なる。

 ウツが自分の置かれた状況や、遭遇した困難にうまく対処できずに疲弊することが主たる原因となって陥る状態であるのに対し、バーンアウトはいわば過剰適応。

 高い目標設定を成し遂げようと踏ん張り、いかなる試練にも真っ向勝負で立ち向かい、ひたむきに頑張り続けた結果、そのエナジーを使い果す。

 つまり、燃え尽きる、という言葉通り、正真正銘、ホントに燃え尽きた結果なのだ。

 最大の問題は、モチベーションが高いだけに、ゼロになったエナジーが数パーセントでも回復すると、再び、燃え尽きた環境に果敢に挑もうと立ち上がろうとしてしまうこと。

 「今度こそは、うまくやらなきゃ」
 「休んだ分も取り戻さなきゃ」
 「これで辞めてしまっては、責任を果たせない」

 このように、それまで以上に必死にエナジーを注ごうと必死になる。

 だが、どんなに頑張ったところで、燃え尽きた灰は灰。熱い思いとは裏腹に、銃弾が飛び交う戦場では、最後は自分までもが灰のようにへとへとになり、それがウツなどにつながる心身衰弱のネガティブスパイラルに入り込む。

 有能な人ほど、仕事のできる人ほど、仕事が好きな人ほど、企業を引っ張る力を持った人ほど、悪循環に陥り、取り返しのつかない状態になってしまう危険性をはらんでいるのである。バーンアウトは、心と身体を休めただけでどうにかなるという症状ではないのである。

バーンアウトは労働環境病という見方も

 バーンアウトがヒューマンサービスの現場で多く見受けられるのは、そういった仕事に就く人たちの多くが、「顧客を満足させたい」という強い思いから、仕事は仕事と割り切ることができず、とことん相手のために職務上の役割と、職務を離れた自分自身を同化させがちであることが一因になっている。この点は多くの調査研究から明らかになっている。

 つまり、燃え尽きた状態から回復するには、それまでの仕事へのコミットしすぎた働き方を見直し、自己イメージになかなかたどり着けないことがあっても、「これくらいでいいじゃないか?」と、自分を許す緩さも必要なのだ。

 そのためにも、生活の中に労働者としての自分と、職場を離れた生活者としての自分を切り分け、どちらにもコミットできる状態を自ら作り出さなきゃネガティブスパイラルを脱することは難しい。職業観というよりも、人生観を見直さなくちゃダメ。

 と同時に、バーンアウトは環境に起因する症状であることも分かっている。

 多くのバーンアウト研究から、一人きりで責任を背負うことのない職場、ストレスの雨が降っていることに自分が気づかない時でも、「少し休んだ方がいいぞ」とか、「俺がとことん付き合ってやるから、一人で頑張りすぎるな」とか、「ちょっと一息入れよう」などと、「雨に濡れちゃっているから、私の傘使いなよ」と傘を差し出してくれる、サポーティブな体制が必須であることが示されているのだ。

 専門家の中には、「バーンアウトを個人の問題ではない。その職場でのサポート体制の欠如が真の問題である」として、「労働環境病」と断言する人たちもいるほどである。

 燃え尽きた人には二度と燃え尽きないような対処と、彼の置かれた環境改善への取り組みが必要であり、ウツとは分けて考えなくてはならない大きな問題なのだ。

 もちろんウツの方が多い職場では職場自体にも問題があり、私がこれまで関わった調査でも、上司、部下、同僚などに主軸を置く職場風土と、そこで働く人たちの抑うつ状態との関連性も認められている。

 私はドクターではない。ドクターの診断や治療の仕方についてとやかく言う立場にもない。だが、ココロの健康を専門にする研究者の端くれとして、意見させてもらうとするなら、何らかのストレスが原因で発症したメンタル不全である場合、薬を処方するだけにとどまってはならない。ストレスの原因を見つけ、ストレスへの対処の仕方を習得し、日常生活をサポートできるような環境を作ることも大切で、生活と共存する形で治療を行っていくことが重要である。

 バーンアウトであれ、ウツであれ、ココロの問題は、身体の問題であり、個人の問題でもあり、個人を取り巻く環境の問題なのだ。

 だが、残念なことに従業員に抑うつ傾向が認められた時、職場の環境改善に積極的に取り組むことよりも、それはあくまでも個人の問題とされてしまうケースは実際に多い。

 ウツという言葉が市民権をある意味得て、ウツは決して特別な病ではなく、誰もがなる可能性のある病気として認知されるようになったにもかかわらず、「なぜ、ウツになってしまうのか?」「どういう対処をすればいいのか?」ということはあまり広まらずに、実際にウツになった人たちの中には、「周りに理解されない病状」に苦しんでいる方たちもいる。

 燃え尽き症候群、バーンアウトも、それと同じ道のりをたどらないようにしなくてはならない。

 そうしない限り問題の根本は解決しないし、何よりも理解されずに苦しむ人たちが量産される。それこそ、「自分には関係ない」と思っている人にも、いつ何時、自分の問題となるかもしれないのだ。

悪循環に陥る危険が高まっている現代社会

 何かと高い目標を突きつけられ、数字ばかりで評価される現代社会。モチベーションの高い、有能な社員ばかりに責任ある仕事が任される傾向にある状況では、意欲ある人ほどバーンアウトに陥るリスクも高まっている。そして、ウツと診断される悪循環に入り込む危険性の高い社会になってしまっている事実も少しだけ知ってもらいたいと、思った次第である。

 野田首相がバーンアウトしちゃったのか、どうかは分からない。ただ、首相の「側近中の側近」を自称していた手塚仁雄首相補佐は、先月クビになってしまっているし、民主党内のゴチャゴチャは、ずっと続いていたし、“傘”を差し出してもらえるような状況にはなかったのかもしれないなぁ、などと思うわけで。総理大臣として、あるいは政治家としての野田さんには、あまり心を寄せたくなる場面は残念ながらなかったけれども、一人の人間として野田さんを見た時には、少しばかり気の毒な気もしている。

 ただ、バーンアウトには少しばかりの緩さが求められるということを考えれば、「人生いろいろ。仕事もいろいろ」と国会で答弁したかつての総理大臣のように、どんなに責められても笑い飛ばせるくらいの器量も一国のリーダーには、求められるのかもしれませんね。


河合 薫(かわい・かおる)

博士(Ph.D.、保健学)・東京大学非常勤講師・気象予報士。千葉県生まれ。1988年、千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。2004年、東京大学大学院医学系研究科修士課程修了、2007年博士課程修了。長岡技術科学大学非常勤講師、東京大学非常勤講師、早稲田大学エクステンションセンター講師などを務める。医療・健康に関する様々な学会に所属。主な著書に『「なりたい自分」に変わる9:1の法則』(東洋経済新報社)、『上司の前で泣く女』『私が絶望しない理由』(ともにプレジデント社)、『<他人力>を使えない上司はいらない!』(PHP新書604)


河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学

上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは、上司の立場、部下の立場をふまえて、真のリーダーとは何かについて考えてみたい。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20121104/239011/?ST=print  

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コメント
 
01. 2012年11月06日 09:22:55 : lOH1A07qlI
官僚支配にはうんざりだが、かといって、中央官僚による全国統制がなくなれば日本はおしまいだ。
大事なことは悪い官僚統制か良い官僚統制かの問題であって、中央の統制がとれれば万歳なんてことはありえない妄想である。
むしろ、中央の統制がとれれば地方都市が外国(韓国、中国、ロシア、米国)と手を結んで勝手なことをやりはじめることは目に見えている。
そうなればこの小さな日本はバラバラになる。

戦後、順風満帆の成長をとげてきた日本も外国勢力の息のかかった政治家たちによってひっくり返されそうとしている。


02. 2012年11月06日 10:04:56 : t2L6l8TM7x
それが、国民のためになるか?外国人のためになるか?解りやすい世の中に
なってきました。

03. 2012年11月06日 12:52:28 : 38B2CQCdjQ
長すぎ、読んでる途中で寝てまう。

04. 2012年11月06日 13:03:14 : Y28uZ2IjEw
>03
同意。お話にならない投稿。

05. 2012年11月06日 18:04:32 : cMmnTp3vYA
そもそもこの石原慎太郎が官僚支配に対して何かができると思っている人の頭の中はお花畑か、それとも草1本生えない荒野か。

06. 2012年11月06日 20:30:38 : bfiHqt1iFQ
石原は死ぬまで馬鹿なのだろうか?馬鹿に意見は無い。

07. 2012年11月06日 22:15:30 : nthJckd5ss

03. 2012年11月06日 12:52:28 : 38B2CQCdjQ  様
04. 2012年11月06日 13:03:14 : Y28uZ2IjEw 様 同意します。

投稿者 MR 氏は調子こいて最近多数工作に励んでおられるようですがダラダラと長すぎ。

博学なのは良く判りますがコピーあんどペースト丸出しで論旨もハチャメチャですね。

もっと整理してから投稿しましょう。

殊に無責任な内容の日経がらみの記事なんぞ何の特にもならないのは業界関係者なら良くご存知のはず。

お体のご調子でも悪いのでしょうか安物の、、、w、、、工作員と同じレベル。

ご自身の頭も整理出来ないなら投稿は止めた方が良いと思う。

投稿者 MR 氏 は書きたい放題の経済ネタで煙に撒くのが唯一というかこれしかない特技のはずでしょう。

ヘタクソWwWwWw。


08. 2012年11月07日 00:21:31 : hKLyK4cc1Y
>03>04さんに同意

ゴメンナサイ、途中から文字が・・・になってしまいました。
おそらく良いことを仰ってると思いますので、一応、拍手しときました。


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