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11月2日 東京新聞「こちら特報部」
自民党の政権奪回の可能性、民主党の保守化、日本維新の会、石原新党の存在など保守勢力の動向に注目が集まる一方、共産、社民両党などのリベラル派に元気がないように見えてしまうのは気のせいか。保守化批判、脱原発、消費税など社共にも追い風はある。両党の認識、近づく衆院解散・総選挙への考えを聞くと同時に日本の保守化について考えた。 (佐藤圭、上田千秋)
「民主党による政権交代に対する失望。日本維新の会や超タカ派の石原慎太郎・前都知事はそこに付け込んで、国政進出を狙っている」。共産党の市田忠義書記局長は「こちら特報部」の取材に対して、こんな見方を示した。
自民党に加え、民主党も政権交代後、保守化。次の衆院解散・総選挙後には、どれぐらいの規模になるかは分からないが、日本維新の会、石原新党がこの流れに加わることになる。「保守のオンパレード」。そんな状況が近づいている。
市田氏は民主党の保守化を大きな原因の一つとして挙げる。「自民党化した民主党、その民主党との違いを出そうと、自民党は一層保守化して、極右になった」と、政権交代後、国政に保守的な空気が強まってしまった背景をこう分析する。
自民、民主とは異なる「第三極」としての存在を「売り物」にする日本維新の会、石原新党は当然、自民党との違いを強調するため、保守的色彩を強める。「保守さ」を競うレースのような構図があって、政治全体が結果的にどんどん保守に向かうということだ。
加えて、日中関係の悪化など国際情勢の緊張も保守勢力の一つの「エネルギー」のようになっている。社民党の福島瑞穂党首は「3・11以降、脱原発が政治のメーンテーマになっていたが、尖閣諸島などの問題が出てきてナショナリズム的な動きがぶり返した」と指摘。保守勢力の強気な安保・外交政策が支持されやすい空気が広がっている印象もある。
市田、福島両氏とも自民、民主の一部、「第三極」が連携し、憲法改正に向かうことを強く警戒する。福島氏は
「石原氏は原発、消費税はささいな問題だと発言する一方、憲法改正を公言している。自民党にとっても改憲は悲願だ。タカ派A、Bなどが憲法改正で一大結集を図ろうとしている」と強調した。
それでは、両党は保守勢力に、どう対抗しようと考えているのか。衆院の現有議席は共産党が九議席、社民党は六議席で、衆院四百八十議席のわずか3%にすぎない。
意外にも両氏とも保守勢力が強いからこそ、リベラル勢力にはチャンスがあるとの強気な見方を崩さない。
市田氏は「保守反動、右翼的な流れと、脱原発、消費税増税に対する反対運動などで閉塞(へいそく)状況を打ち破ろうとする市民との対決構図ができた」と語る。その証拠として、共産党は昨年七月以降、二万人規模で党員を増やしたことを強調。脱原発、増税反対への支持が背景で「反動的な流れは軽視してはならないが、恐るるに足りない」と自信を示した。
福島氏も「脱原発などの受け皿になっているとはいえないが、アピールしていけば、国民に分かってもらえると信じている」。保守勢力の伸長を嫌がる国民層を取り込めば、今は元気がないリベラル勢力も存在を示せると意気込む。
そもそも、「保守」と、共産、社民両党など「リベラル」との違いをどう考えたらいいか。
共産主義、社会主義へのスタンスなどで「右派・左派」、もしくは、憲法改正、集団的自衛権に対する考え方、靖国神社への参拝の是非などで「タカ派・ハト派」との分け方もあるが、最近では「保守・リベラル」がよく使用される。その議員を判断する材料が憲法やイデオロギーにとどまることなく、経済運営や原発などにも拡大したことも無関係ではない。
「保守・リベラル」という分け方について日本大学の岩井奉信教授(政治学)は「一つの政党といっても、議員によってスタンスが異なっていることを考えれば、保守か、リベラルかには、あまり意味がない」と指摘。
自民党に所属し、憲法改正を容認する一方で原発には慎重な議員もいるほか、もはや保守勢力といっても差し支えない民主党内にも、まだまだリベラルな議員がいる。かつてに比べて「ねじれ」もあり、複雑な部分があるからだ。
あくまで一定の傾向だが、「保守」は(1)憲法改正(2)市場などに対する国の権限を抑える小さな政府(3)原発容認もしくは推進、「リベラル」は(1)護憲(2)大きな政府(3)脱原発−とおおまかには分類できる。保守は企業優先、リベラルは弱者重視ともいえるだろう。
野田佳彦首相は十月三十一日の代表質問で今後の民主党のスタンスについて、「中庸」と述べた。野田首相は民主党の中でも保守的だが、自民党や石原氏と同一視されたくないし、共産、社民両党のようなリベラルとも一線を画し、新たな支持層を掘り起こしたい狙いだ。
一方、共産、社民両党などの日本のリベラルはどうなるか。市田、福島両氏は強気な見方を示したが、状況は厳しい。十月の共同通信の世論調査では共産党支持率は2・3%、社民党は1%。自民(30・4%)、民主(12・3%)、日本維新の会(10・7%)に遠く及んでいない。岩井氏は「組織がある共産党は生き残れるが、社民党は苦しい。いずれは国会議員ゼロという事態もあるかもしれない」と指摘する。
両党が訴える脱原発、消費税増税反対や保守派が強くなりすぎることへの警戒心は次の総選挙で支持拡大の材料にならないのか。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「その効果で一定の支持は集まるだろうが、それでも、両党とも現有議席プラスマイナス1議席程度」とみている。明治学院大学の川上和久教授(政治心理学)は「共産、社民両党の主張を無党派層にまで広げることは難しい」と強調。
両党の主張を評価していても、選挙では勝てない背景もある。九六年に導入した衆院選挙区の小選挙区制では大幅に得票しなければ、当選できない仕組みで、特定の労組、組織を頼む両党にとっては不利。川上氏は「共産、社会(社民)主義を標ぼうする政党が小選挙区で過半数の票を取って当選することは極めて難しい」と説明する。
イメージの問題もある。冷戦構造の崩壊によって、「共産、社会主義に対するイメージが一気に悪くなった。それに伴い、両党を支えた労働組合の加入率もどんどん下がった」(岩井氏)。鈴木氏は特に社民党が一時、連立政権に入ったことを挙げて、「社民党が主張してきた理想とは異なる結果になった。期待していた人が離れた」とも分析する。
それではどうすればいいのか。「労組などの支持をとにかく固める」(川上氏)、「反核、平和、護憲を訴えて、緑の党などと連携」(岩井氏)。九〇年総選挙で社民党(当時社会党)が百三十六議席を確保したような大きな夢は捨てて、小さくとも生き残る道を提示した。
一方、鈴木氏は地方に目を向けろと語る。「両党とも地方には一定の議員がいる。国会と地方ともに力を入れるのは、大きな政党でないと困難だ。十年もすれば地域が主権を握る世の中になる。地方に重心を置く新しい政党の形をつくるべきだ」
<デスクメモ> 原発反対の国民の世論は六割を超えている。それを訴える共産、社民両党の支持率は数パーセント。格差社会への不満はリベラル勢の追い風になるかと思ったが、さほどでもない。原因は両党のとっつきにくさじゃないかな。怒るだろうが、大手広告代理店にでもイメージ戦略を考えてもらったら? (栗)
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