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2012.11.01 極右第3極”に対抗しうる“護憲第3極”の構築が必要だ、(ハシズムの分析、その37)
〜関西から(80)〜
広原盛明 (都市計画・まちづくり研究者)
石原慎太郎氏の突如の都知事辞任が波紋を広げている。当初は首相になれなかった私怨行動の類かと思っていたが、日本維新の会とみんなの党(まで)が「小異」を捨てて「大同」につくとなると、ことは穏やかでなくなる。これは間違いなく“極右第3極”の誕生だ。石原氏がいみじくも言ったように、彼らにとっては原発も消費税も「些細な話」なのであって、大事なのは“超保守主義的国家体制”の構築だけなのである。石原氏はそのための起爆剤として“極右第3極”の結集を掲げ、政局再編に乗り出したというわけだ。
この事態は、橋下新党が国政進出しようとしているフェーズ(局面)を一段バージョンアップしたもので、もし石原・橋下新党が結成されれば本格的な極右第3極の出現として警戒しなければならない。みんなの党は、石原氏と橋下氏が手を組めば埋没することが目に見えているので止むを得ず合流するであろうが、早晩、超国家主義の流れに呑みこまれて跡形もなく消え去るだろう。残るのは、石原・橋下氏を中核とする極右集団だけだ。
しかし問題の所在は、石原・橋下新党が次の政局の支配的潮流になるかどうかということではない。彼らはあくまでも「起爆剤」であって、それ以上の存在ではないと思うからだ。問題は、民主・自民・公明など既成政党がそれによってどのような「誘導爆発」を起こすかということであり、その爆発のしかたが次の政界潮流の方向性を決めることになる。以下、幾つかのシナリオを考えてみたい。
第1シナリオは、反動化の勢いを強める安倍・石破自民党と石原・橋下新党が合流し、超保守主義政権政党が生まれることだ。だがこのシナリオは、早くもアメリカから米日同盟を揺るがしかねない兆候だとして危険信号が発せられている。安倍自民党総裁の登場をアメリカの有力紙がこぞって「右翼的潮流の台頭」と報じたのは、アメリカの核の傘から日本の自衛隊が離脱するような事態を恐れてのことだ。
このシナリオはまた、中国への経済進出を加速する日本財界にとっても「あり得ないこと」だとみなされている。少なくとも日中間の「政冷経熱」の現状を維持することが目下の財界の至上命題である以上、その戦略を真っ向から否定するような右翼ナショナリズムの台頭は「百害あって一利なし」だからである。すでに、財界は尖閣諸島問題を処理できない民主党政権に見切りをつけ、対中関係の修復に全力を挙げている。
第2シナリオは、自民・公明両党が政権に復帰するという「昔の悪夢」がよみがえることだ。おまけにシナリオのB面には、民主党が野党に転落・分裂して見る影もなくなり、それに代わって石原・橋下新党が政局を右から揺さぶる政治勢力として台頭するという「第2主題歌」までがついている。このシナリオはおそらく最もありうる事態であろうが、いま以上に政局が不安定化するので長続きしない。
そこで第2シナリオが移行して第3シナリオとなるが、アメリカや財界にとっての「決められる政治・政党」をつくりだすために、自民・公明・民主を横断する新自由主義政権政党が結成されることになるだろう。そして、これに同調できない石原・橋下新党が極右政党として対置するという「新自由主義 vs 新保守主義」という2大政党の構図ができあがるのではないか。
この政治構図は、民主党と共和党が対峙するアメリカ的政治状況のコピーとも言えるが、異なるのは日本がアメリカの「目下のパートナー」にとどまる以上、石原・橋下新党が共和党のように政権政党になる条件はない。アメリカが日本を補完勢力にして中国と世界覇権を争う以上、その間に「割って入ろう」とする石原・橋下新党は危険かつ邪魔な存在として排除される可能性が大きいからである。
しかし、これらのシナリオ・ライティングにおいて押さえておかなければならない最重要ポイントは、石原氏の肉体的・政治的寿命が「あと僅か」だという点である。「余命幾ばくもない後期高齢者」が政界に乗り出すこと自体がすでに“異常そのもの”なのに、それ以降、彼が数年にわたって連続する政界再編の嵐に耐えられることなど想像すらできない。むしろ、総選挙後程なくして「体調不良」で引退する公算が大であり、その瞬間から石原・橋下新党は存亡の危機に直面することになる。
橋下氏が“新党首”としての任に到底耐えられる人物でないことは、関西では誰もが知っていることだ。大阪では「テレビタレント=消耗品」としての橋下氏の人気は絶大だが、「政治家」として彼が尊敬に値する存在だとは誰ひとり思っていない。だから石原氏が引退する瞬間から橋下氏の没落がはじまり、程なくして石原・橋下新党は消えるだろうと言うのが、私のシニカルな見立てである。
とはいえ、このような日本政界を揺さぶる激動の時代が目の前に訪れているというのに、革新勢力の側の「落ち着き」は並大抵のものではない。政党支持率が数パーセント以下の水準で低迷しているにもかかわらず、各党はそれぞれ「独自の戦い」を進めて政界全体の変動を省みようともしない。これでは政権与党側の白熱した政権再編劇に国民の目が奪われ、革新勢力の存在意義がますます減じるのは当然というものだ。
革新勢力は“極右第3極”に対抗し得る“護憲第3極”を構築しなければならない、と言うのが私の主張である。次回にその構想を語りたい。
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