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10月31日(水) 石原知事が都知事を辞職した本当の理由
石原さんはどうして、突然、都知事の辞職を発表したのでしょうか。新党を結成して党首になるにしても、横浜市長でありながら社会党の委員長になった飛鳥田さんや、大阪市長を辞めずに新党「日本維新の会」の党首に就任している橋下さんのように、兼務することも可能だったのに。
昨年11月に「石原新党」構想を明らかにし、その後、袂を分かった亀井静香さんは、新党結成について次のように説明しています。
「あれはね、石原が橋下(徹=大阪市長)に『維新の会を全部やる』って言われて舞い上がっちゃったんだよ。『そんなこた、あるわけねーよ』って(石原に)言ったんだけどね。オレとか平沼(赳夫〈たちあがれ日本〉代表)の肩車に乗った新党じゃ新鮮味がないってんで、シロウト集めてバーンとやろうと思ったわけですよ」(山田孝男「風知草」『毎日新聞』10月29日付)
しかし、この亀井さんの説でも、都知事辞職の理由は分かりません。「維新の会を全部やる」と言ったとされる橋下さんは大阪市長のままなのですから、石原さんだって東京都知事のまま新党の党首になることは可能だったはずです。
もともと石原さんは知事職にそれほど熱心ではなく、週に3日しか都庁に出勤していなかったと言われています。このような「片手間」の知事職が、党首の職務の邪魔になるとは思われません。
それなら、どうして都知事を辞職したのでしょうか。一般には、国政進出のために新党を結成し、それに専念するための辞職と受け止められています。
私は、逆だったのではないかと思います。都知事を辞めようと考えた方が先で、国政進出や新党の結成は、そのための口実、あるいは方便にすぎなかったのではないかと。
4期目になってそれほど都知事の椅子に執着を持っていなかった石原さんは、ある時点で、その椅子から逃げ出すことにしたのではないでしょうか。その原因となったのは、尖閣諸島の国による購入だったと思われます。
4月に都による尖閣諸島の購入計画を発表した石原さんは、同時に購入のための寄付を幅広く呼びかけました。その結果、巨額の購入資金が寄せられ、その総額は10月24日までに14億8000万円になっています。
しかし、国が尖閣諸島を購入してしまったため、この寄付金の扱いが宙に浮いてしまいました。思いつきで発案し、それが図に当たって大量に集まったものの、石原さんはその扱いに困ってしまったのではないでしょうか。
船溜まりなどを作る資金にすると言っていますが、島の購入のために集められたお金を別の形で使えば目的外使用となり、裁判に訴えられるかもしれません。本来は返却すべきものですが、その作業量は膨大でそのためにお金を使えば都に大きな損害を与えることになり、その場合も行政訴訟を起こされる危険性があります。
都の責任者である限りこのようなリスクから逃れられないと考えた石原さんは、都の責任者であることを辞める道を選択したのです。つまり、逃げ出したわけです。
しかし、この14億8000万円が都の所有となっている限り、上記のような問題はいつまでも残ります。次に都知事になる人は、このお金も引き継がなければなりません。
石原さんは辞職会見で後継者として猪瀬直樹副知事の名前を挙げましたが、それはこの問題を処理する責任とリスクを猪瀬さんに押しつけたということを意味しています。猪瀬さんは、そのことを分かっているのでしょうか。
石原さんが都による尖閣諸島の購入を打ち出した狙いの一つは、国民の危機感を高めて改憲気運を醸成することにあったと思われます。中国内の反日デモの高揚と暴徒化、それによる日中両国関係の悪化、国内における「弱腰」批判とナショナリズムの高まりは、石原さんの狙い通りであったでしょう。
しかし、それは短期間に収束し、尖閣諸島の領有問題は石原さんの手を離れました。自民党の総裁選候補者に公開質問状を出して圧力をかけたものの、事態は鎮静化に向かいます。
都知事の座から逃げだそうとしていた石原さんは、直接、国政に関与することによって尖閣諸島をめぐる日中間の対立の拡大を図り、「憲法破棄」に向けての世論を高めようと考えたにちがいありません。辞職会見でも、「国自身の発意で解決してもらいたい大きな矛盾をいくつか抱えている。最たるものは、占領軍が一方的に与えた、あの醜い日本語でつづられた憲法だ。いろいろな悪い影響を日本に与えてきたし、(評論家の)吉本隆明氏ではないけれど一種の「共同幻想」を培った。絶対平和という日本人独特のパシフィズム(平和主義)を、ですね。さらに、あの憲法の非常にいびつな、権利と義務のインバランス(不均衡)が日本人に我欲を培い、国民全体がセルフィッシュ(利己的)になってきた。それに政治が迎合せざるをえない今日の状況を作った」と、真っ先に現行憲法を批判していました。
ここに、石原さんが都知事を辞職した本当の理由があるように思われます。このような「石原新党」結成をめぐる狂想曲の背後に隠されている背景と真の狙いを、きちんと見抜くことが今こそ必要なのではないでしょうか。
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