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10月30日 野田首相は臨時国会を乗り切れるのか
危ないなー、この人は、と思いました。臨時国会での野田首相の所信表明演説です。
もともと、何をやるのか、何をやりたいのかが不明な人でした。参院では行われず、衆院のみという憲政史上初の異常な幕開けとなった今回の演説も、「ピントはずれ」で「次の目標や、来る衆院選に民主党が何を掲げようとしているかも伝わらなかった」(『毎日新聞』の社説「波乱の臨時国会 眼前の2課題に全力を」)と表される始末です。
この社説が指摘する「2課題」にしても、「違憲状態の衆院『1票の格差』緊急是正と特例公債法案の処理」にすぎません。野田さん本来の理念やビジョンの実行というわけではないのです。
というより、野田さんは何がやりたくて首相になったのか、首相としてどのような日本を実現したいのかが、就任後1年も経つのに一向に見えてきません。前任者の鳩山さんは「友愛革命」や「新しい公共」、菅さんだって「最小不幸社会」などの目標やビジョンを掲げていたというのに……。
首相として政治生命をかけ、「決める政治」の実現として胸を張る消費増税にしても、野田さん本人としてはもともと賛成だったわけではありません。自民党の掲げていた消費税の10%への引き上げに追随したのは菅前首相であり、野田現首相はそれを受け継いだだけです。
野田さんが首相になって実現したいと考えていた課題に消費増税は入っていませんでした。このことは、有名な「シロアリ演説」からも明らかです。
もともと賛成ではなかった政策の実現に、野田さんは政治生命をかけたことになります。それなら、首相になって実現したいと念じていた政策とは、一体、何だったのでしょうか。そのような政策などはなく、ただ、首相の座にすわりたかっただけなのでしょうか。
ビジョンもなければやりたかった政策も不明確な野田さんですが、首相の座への執着だけは人一倍強いようです。その粘り腰はなかなかのものだと言えるでしょう。
自民党の谷垣前総裁を「近いうちに」などと言ってペテンに賭け、騙された谷垣さんは総裁選挙に立候補できなくなってしまいました。可哀想に……。
今また、臨時国会が始まるに際して、自民党の安倍総裁を丸め込んで審議に引き入れ、何とか「眼前の2課題」を処理しようとしています。これに対して、安倍自民党は野田さんの所信表明演説を衆院では認めても参院では認めず、その参院でも予算委員会での審議には応ずるなど、対応は極めてチグハグです。
とはいえ、野田さんの方も、内閣支持率は20%前後になって危険水域に入り、鹿児島の衆院補選では敗北し、足下の民主党議員の離党は止まず、頼りにしている前原国家戦略担当相の事務所経費についての不正が発覚しました。このような中で、密かに「野田降ろし」のうごきも始まっているようです。
やはり、野田さんは危ない、と言うべきでしょうか。首相の首をすげ替え、副総理の岡田さんをワンポイント・リリーフとして登板させ、看板を掛け替えて選挙をやれば、この苦境を何とかしのげると考えている人がいるのかもしれません。
問題は、どのようにして野田さんを引きずり降ろすのかということです。安倍元首相のように病気での辞職もあるでしょうし、田中前法相のように病院に逃げ込むというやり方もあるでしょう。
しかし、もっと良いアイデアがあります。12月16日に予定されている東京都知事選挙への立候補です。
現職の都知事が首相をめざして辞職するという時代です。逆に、現職の首相が都知事をめざして辞職することがあっても良いのではないでしょうか。
ということで、考えてみたらどうですか、野田さん。
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