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2012年10月30日 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
◆臨時国会が10月29日午後、やっと開会され、冒頭、野田佳彦首相が所信表明演説した。駅頭での朝立ちで鍛えた演説力は、「ロボット演説」の名に相応しい。メリハリがあるように聞こえるものの、「人間の情感」というものがまったくなく、空疎であった。「明日への責任を果たしたい」などと語尾に「・・・したいのです」というフレーズを繰り返ししたのは、「総理大臣をもっと続けたいのです」という哀願に聞こえて、実に聞き苦しく、見苦しい限りであった。そのせいか、元気さが欠けていた。
それは、1つには、金融・郵政民営化担当相だった松下忠洋衆院議員(国民新党)の死去に伴う衆院鹿児島3区の補欠選挙(28日投開票)で国民新党新人の元大臣秘書官野間健氏(54)=民主推薦=が自民党元職の宮路和明元厚生労働副大臣(71)=公明推薦=に敗れたためだ。野田佳彦政権発足後初の国政選挙で「次期衆院選の前哨戦」とされる補選で敗退し、野田佳彦首相は大きな打撃を受けた。
そればかりか、もう1つは産経新聞社msn産経ニュースが10月29日午前7時5分、が10月29日付け朝刊で、前原誠司戦略担当相について「前原氏政治団体 秘書宅を事務所届け出 費用1232万円計上『実体ない住人』」という見出しをつけて、いわゆる「政治団体の事務所経費問題」を暴く報道をしていたからである。
同様の問題は、安倍晋三元首相の在任中、相次いで大臣が辞任に追い込まれた前例があり、民主党は、安倍晋三政権を盛んに追い詰めた。今度は、攻守が逆転して、会期末の11月30日まで自民党など野党から責め立てられる可能性が大であり、前原誠司戦略担当相が辞任に追い込まれることにもなりかねない。そうなると、在日韓国人女性から政治献金を受け取っていたことがバレ、「外国人による違法献金」の責任を取って、外相を辞任したのに続いて、2度目の辞任ということになる。
実は、あのときは、「外国人による違法献金」が、事件の本筋ではなく、「暴力団関係者からの不適切な政治献金」が、大問題だった。これを隠すために、「外国人による違法献金」の責任を取って辞任した経緯があると言われている。
◆何と言っても、田中慶秋前法相が、「外国人からの政治献金」と「30年前に暴力団員の結婚式で媒酌人を務めた」ことを咎められて、就任してわずか3週間で辞任に追い込まれたばかりである。このため、野田佳彦首相は、「任命責任」を問われており、臨時国会の予算委員会でも、自民党など野党は、手ぐすね引いて待っている最中、これに追い打ちをかけるかのように、前原誠司戦略担当相をめぐる事件が発覚した。
この事件の追及の最中に、「暴力団関係者からの不適切な政治献金」が、ほじくり返されると、野田佳彦首相、蓮舫元内閣府特命担当相(消費者及び食品安全、行政刷新担当、「新しい公共」担当、少子化対策担当、男女共同参画担当、公務員改革担当相、内閣総理大臣補佐官を歴任)らにも波及し、芋づる式に暴露されかねない。
時事通信が10月29日午後6時2分、「前原氏を追及へ=自民・安倍総裁」という見出しをつけて、次のように配信した。
「自民党の安倍晋三総裁は29日、前原誠司国家戦略担当相が秘書の自宅マンションの一室を自身の政治団体の『主たる事務所』として届け出て経常経費を計上していた問題に関し、国会内で記者団に『(安倍内閣当時に)今の閣僚たちも口を極めて辞職に値すると言ってきたことを、思い返すべきだ。そうしたことも念頭に追及していくことになるだろう』との考えを示した。安倍内閣では、同様の問題を指摘された松岡利勝農林水産相が自殺し、佐田玄一郎行政改革担当相や、松岡氏の後任の赤城徳彦農水相も辞任に追い込まれている。
前原氏の問題について、公明党の井上義久幹事長は『実態がどうだったのかをきっちりとたださないといけないし、説明責任を求めるのは当然だ』と記者団に述べた」
民主党内部からは、離党者が相次いでおり、臨時国会開会の当日、衆院議員2人が離党届けを提出した。離党決意組は、35人を数えているといい、小沢一郎代表の「暗黒人民裁判」の東京高裁(控訴審)で「控訴棄却判決」(11月12日)が下った瞬間、雪崩を打って離党決断者が、飛び出てくるという。これは、小沢一郎代表をはじめ気に食わない者を「排除の論理」で追い出した報いである。NHKNEWSwebは10月29日午後7時14分、「民主党 2議員の離党届を当面保留」というタイトルをつけて、こう伝えている。
「民主党は、役員会で、今月上旬に離党届を提出した杉本和巳衆議院議員を除籍とする一方で、29日離党届を提出した熊田篤嗣衆議院議員と水野智彦衆議院議員については当面、離党届の取り扱いを決めない方針を確認しました。
杉本和巳衆議院議員は、今月5日、政策が一致するみんなの党に入党したいとして、民主党に離党届を提出し、その後、みんなの党への入党が認められました。これについて、民主党の役員会で対応を協議した結果、「反党行為だ」として、離党届を受理せず、除籍とする方針を決め、30日の常任幹事会に諮ることになりました。
一方、29日に新たに離党届を提出した、熊田篤嗣衆議院議員と水野智彦衆議院議員については、安住幹事長代行が「今の臨時国会では受理せず、民主党の席に座ってもらう」と述べ、当面、離党届の取り扱いは決めない方針を確認しました。輿石幹事長は記者会見で、『臨時国会が開会した日に離党届を持ってくるのは非常識だ。もう民主党に戻ることはないだろうし、これ以上、党にとどまるようお願いすることもないだろう。ただ、そんなに急いで対応はしない』と述べました。
民主党が、熊田氏らの離党届の取り扱いを、当面決めない方針を確認した背景には、両氏が衆議院の民主党の会派を離れることになれば、与党が過半数を維持できない常任委員会が増え、国会運営に支障が出かねないという判断もあるものとみられます」
【参考引用】
産経新聞社msn産経ニュースが10月29日午前7時5分、「前原氏政治団体 秘書宅を事務所届け出 費用1232万円計上『実体ない住人』」という見出しをつけて、以下のように配信した。
「前原誠司国家戦略担当相の政治団体『まえはら誠司東京後援会』が平成16年〜22年、秘書の自宅マンション(東京都江東区)の一室を『主たる事務所』として総務省に届け出て、1200万円超の経常経費を計上していたことが28日、産経新聞の調べで分かった。この部屋に住む秘書の親族とみられる住人は取材に対し、事務所の実体がないことを証言した。かつて閣僚が相次いで辞任した事務所費をめぐるずさんな経理処理が、また浮上した。
政治資金収支報告書や官報によると、東京後援会は14年末に秘書宅を主たる事務所として総務省に届け、16年に約149万円、21年に約26万円、22年に5万円の計約180万円を事務所費として計上。人件費として19年に約138万円、20年に約259万円、21年に255万円、22年に240万円を支出していた。
16年から7年間で、事務所費と人件費に、光熱水費、備品・消耗品費を合わせた経常経費の総額は約1232万円に上る。
マンション一室には政治団体の看板はなく、収支報告書には東京後援会の連絡先として、京都市の前原氏の事務所の電話番号が記載されている。前原氏の事務所によると、部屋に会議室など専用スペースはなく、常勤職員も雇っていない。住人は産経新聞の取材に対し、『事務所として使われていない。事務機器などはなく、郵便物も届かない』と話した。
前原氏の事務所は東京後援会について、『東京で政治資金パーティーを開催することを目的とする団体。名簿整理や発送などの大量の事務が発生した際、京都事務所に委託しているため、このような収支報告となっている』と説明。『京都事務所で委託を受けた事務を処理するために使用した人件費や光熱水費を計上した。意図的に(支出を)不透明にしているものではないが、より分かりやすい報告とするよう検討する』としている。
日本大学の岩井奉信教授(政治学)は『なぜ京都の支出を東京で計上したのか理由が分からない。疑念が残る収支報告書を提出した以上、前原氏には説明責任がある』と指摘している。
事務所費問題をめぐっては、これまで佐田玄一郎元行政改革担当相のほか、松岡利勝、赤城徳彦、太田誠一の各農水相らの政治団体でも浮上。佐田氏や赤城氏は閣僚を辞任した。
■事務所費 政治団体の経常経費の一つ。家賃や修繕費のほか、電話代や切手代など事務所の維持に必要とされる経費が該当する。経常経費には他に職員らに支払う『人件費』、電気代などの『光熱水費』、文房具などに使われる『備品・消耗品費』がある」
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