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2012年10月29日 植草一秀の『知られざる真実』
第181国会が召集され、野田佳彦氏が所信表明演説を行った。
「明日の安心、明日への責任」を繰り返したが、心に響く言葉は皆無だった。
「分厚い中間層に支えられた、温もりあふれる社会の実現に向けて」
「誰もがやらなければならないことを徒(いたずら)に政局と結び付け、権力闘争に果てしないエネルギーが注がれてしまうような政治をいつまでも繰り返していてよいはずがありません」
「政局」第一の不毛な党派対立の政治に逆戻りしてしまうのか。それとも、政策本位で論戦を戦わせ、やらなければならないことにきちんと結論を出すことができるのか」
と言うが、ずいぶんと身勝手な言い分ではないか。
「分厚い中間層に支えられた、温もりあふれる社会の実現」
を目指すのは良いだろう。しかし、具体的な政策が何ひとつ示されていない。
99%運動に象徴されるように、現代日本の最大の特徴は、ごく一握りの富裕層と大多数の新しい貧困層という二極化の極みにある。
野田佳彦氏が進めていることは、財務省の路線であり、社会から温もりをなくすための社会保障支出の切り込みと低所得者層の生活を破壊する消費税大増税の政策でしかない。
言葉の上ではいかなることも表現できる。しかし、その言葉を実現する具体策を示し、実行しない限り、単なる美辞麗句でしかない。
振り返ってみれば、野田佳彦氏の行動様式は、まさに
「巧言令色鮮し仁」
というものだ。
「シロアリを退治しないで消費税を上げるのはおかしい」
「シロアリを退治して働きアリの政治を実現する」
「天下りとわたりの根絶に取り組まない麻生政権は不信任に値する」
などの言葉は、いずれももっともなものだった。
言葉の上では良い政治だ。
しかし、実行が伴わない。
伴わないどころか、正反対なのだ。
主権者に約束したことを平気で破る。
主権者を騙す行為を働きながら、謝罪の言葉もない。
あげくの果ては、正論を主張する敵対者を攻撃する。
「厚顔無恥」という言葉は野田佳彦氏のためにあるものといえる。
衆議院議員定数の是正と赤字国債発行法案の成立は、政権を担う者が実行しなければならない責務である。
その責務を果たせない責任を他人に転嫁することは卑怯な対応だ。
衆参ねじれは2010年7月の参院選で民主党政権が主権者国民から不信任を突き付けられた結果として生じた事態である。
衆参ねじれということは、政権が主権者国民から全面信託されてはいないことを意味している。
参院の賛同を得なければならない問題については、政権が参院の了解を取り付けて初めて成案を得ることができる。
このとき、政権を担う政治勢力は、政権としての責務を果たすために、参院の同意を得る必要がある。
それは、主権者国民の意思による試練なのだ。
「誰もがやらなければならないことを徒(いたずら)に政局と結び付け、権力闘争に果てしないエネルギーが注がれてしまうような政治」
と野田佳彦氏は発言したが、問題のすり替えも甚だしい。
自分の思い通りにならないことは何でもかんでも「政局第一」の不当な対応だと批判するのは身勝手千万である。
国会が混乱しているそもそもの原因は、野田佳彦氏が民主主義の根本ルールを踏みにじって、私利私欲優先で財務省の言いなりになる政策運営を行っていることにある。
自分の根本的な誤りを棚の上に置いて、他者を非難するところに、この人物の「歪み」が象徴的に表れている。
主権者国民を騙して巨大な増税を決定するなど、刑法の「詐欺罪」を適用してもおかしくないような暴政である。
菅内閣以来、消費増税問題について最終的に判断するのは国民であるということは、繰り返し主張されてきた。
野田内閣は主権者国民の意思を踏みにじって消費増税を国会で可決したが、肝心要の主権者国民による判断が示されるのはこれからだ。
何よりも重要なこの点について、野田氏はひとことも触れていないではないか。
このことが原因で国会が混乱しているのだ。
自分の不正義は振り返ろうともせず、他者の正当な抗議は「政局優先」と非難する。こんな横暴な論を振りかざして国を治めることなどできるわけがない。
国民のほとんどだれも支持していない野田佳彦氏は、一秒でも早くに舞台から退散するべきである。
私たちは肝に銘じなければならない。
歪んだ首相でも、首相の椅子に居座ると、簡単には排除できないことを。
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