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2012年10月27日 東京新聞「こちら特報部」
東京都の石原慎太郎知事の辞職表明と国政復帰・新党結成宣言は沈滞した政界を大きく揺さぶった。しかし、威勢のいい二十五日の記者会見での発言も、よくよく聞いてみると、弁解がましく、開き直りとしか感じられない部分も。石原氏自らが高齢であることや、新党の難しさを認識している結果、こうした独特な言い回しになったのではないか。石原流レトリックを分析した。 (佐藤圭、中山洋子)
◆高齢問題
「何でオレがこんなことをやらなくてはならないのか。若いやつ、しっかりしろよ」−。記者会見の最後に出たぼやきだが、象徴的なレトリックといえる。石原氏は八十歳。今期限りでの引退を表明している民主党の渡部恒三最高顧問と同じで、次の衆院解散・総選挙で当選すれば、間違いなくトップクラスの高齢議員となる。
石原氏自身も高齢を意識している。もちろん、高齢者が政治に適さないわけではないが、政治の低迷を打破するほどの「元気さ」があるのかという疑問を国民に持たれるのは確か。久々の国政復帰に対しては「今さら…」との指摘もある。
「何でオレが…」の発言はこうした声をにらんでいる。自分で望んだわけではない。しかし、若い政治家がだらしないので、高齢であっても自分がやらなくてはならないと弁解し、アピールしているといえる。
記者会見での「最後のご奉公」「ワンポイントピッチャー」というのも高齢批判を回避する効果を狙っている。長々とやるつもりはなく、高齢の自分の「最後のお願い」であり、理解してくれというのが本音。「(健康への不安は)ないない、さんざんチェックした」ことを強調。「(国民の生活が第一の)小沢(一郎代表)がバカなので」「ゆとり教育どうなったか。ゆとり教育バカ」と「バカ」を連発したのも、元気さや、歯切れの良さを見せたがっている。
ただ、一連のこうしたレトリックがどこまで効果があるか。政治家の発言を分析している名古屋外国語大の高瀬淳一教授(情報政治学)は「計算ではなく直感で口にしていると思うが、非常に効果的だ」と指摘。石原氏を支持する高齢者には「自分たちの思いを言ってくれた、と感じさせることに成功している」と、政治的に巧みな言い方とみる。
「自己抑制できない高齢者に共通する現象だ」。逆に石原氏と同世代でもある政治評論家の森田実氏はこう分析。「若いやつはだめだと思っても、次の世代にバトンタッチし、助けていくのが本来の姿だろう」と石原氏の弁解だと批判した。
政治アナリストの伊藤惇夫氏も「若いやつがだめとの発言には、説得力がない。自分がやりたいからやると言った方がいい」と同じ見方を示した。伊藤氏は「最後のご奉公」についても「石原氏は都知事選の四選出馬に際しても最後のご奉公と言っている。最後のご奉公が二度もあるのか」と皮肉った。
「若い世代に責任を転嫁し、(失敗した場合の)言い訳を用意している」(女性団体「石原都知事の女性差別発言を許さず、公人による性差別をなくす会」の永井よし子氏)、「バカを連発していたが、この品のなさはどうか。きちんと議論する忍耐力がない」(放送プロデューサーのデーブ・スペクター氏)などの厳しい声も。
もともと石原氏は「好き、嫌いがはっきり分かれる政治家」(たちあがれ日本幹部)とはいえ、石原氏の透けて見える弁解は通用していない。
◆都政投げ出し
高齢問題以上に、石原氏が神経を使ったのは、国政への転出によって都政を投げ出してしまうことをどう理解してもらうかだった。
「放り出すわけではない。東京のために良いことをやらなくてはならない」「(政策を実行するに当たって)国の妨害にあい、非常に苦しい目にあってきた」「国会議員になって(政策実現を)督促したい」−。石原氏が考えたのは国が悪いから、自分が国政に出て、国を良くしなければ、都民の利益にならないという論理だった。都民のために国政に出るということになるが、かなり苦しい。
そうであれば、国会議員を辞めてその後、都知事選に出馬したことへの説明が難しくなるし、そもそも、都民のために国政へ出るのかということになってしまう。
伊藤氏は「四年間の任期を全うするのが、都民との約束だったはずだ」と強調。都民のために国政へという主張にも「国政は都民のためだけではなく、国民全体のためにある」と論理破たんしていると指摘する。
森田氏はこうした無理な言い方は持ち出すべきではなかったと言う。「『任期途中で辞職する。わがままで申し訳ない』と都民に対して謝罪すべきだった。これはただの開き直りにほかならない」という見方を示した。
逆に都民は、石原氏の言い方をある程度、理解するとみるのは高瀬教授。その理由は「もともと石原氏は東京から国を変えると公言してきた政治家。尖閣諸島問題など、都政とは直接関係のないことに取り組んできた経緯もあって、都民のために国政へ転出するとの発言にさほど驚きはないのでは」と語る。しかし、実際はどうだろうか。
◆自民党との関係
石原氏は自民、民主ではない「第三極」勢力の結集を図りたい考えだが、その実、石原氏の出身や考え方などで石原新党は「自民党の補完勢力になる」(民主党ベテラン)との見方は消えない。
これを石原氏は明らかに嫌がっている。石原新党がそう見られれば、次の総選挙で議席は伸びないからで、石原氏はこれを意識して、自民党についても複雑な言い方をしている。
「自民党との連立は考えていない」「私は自民党を辞めた人間だから、戻るつもりはないし、今の自民党はそんなに評価できない」。一見すると、自民党の「悪口」のようだが、伊藤氏は記者会見で石原氏が例えば、「自民党と決別するとは言っていない」ことに着目。悪口を言いながらその実、総選挙後の連携や閣外協力の可能性も残しているとみる。
◆橋下氏との連携
橋下徹大阪市長との関係をめぐる発言でも石原氏はいろいろ計算している。高瀬教授は「石原新党は橋下氏の日本維新の会が組んでくれなければ、それこそ、老人の党になる」と指摘した上で、「だからこそ、野田(佳彦首相)、前原(誠司経済財政担当相)と呼び捨てにしたが、橋下君と言った」と分析した。
こうした一方、石原氏は「(橋下氏との意見の違いがあれば)こちらも乗り込んで異議を唱える」と強調。石原新党が橋下氏頼みではない印象を見せるなど、ここでも「弱点」を見せないように微妙な言い方を使っている。
<デスクメモ> 「若いやつ、しっかりしろよ」という発言は理解できないでもない。高齢批判を意識した単なる言い回しではなく、石原氏はたぶん心の底からそう思っているのだろう。だったら「なんでオレが…」は余計。照れもあったのだろうが、ウソっぽい。とにかく国政でやりたいと正直に言えばよかったのに。 (栗)
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