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次期衆院選:第三極 石原氏が大連合を呼び掛け
毎日新聞 2012年10月27日 01時17分(最終更新 10月27日 01時45分)
会談後、握手を交わす日本維新の会の松井一郎幹事長(左から2人目)とみんなの党の江田憲司幹事長(同3人目)。左端は日本維新の会の浅田均政調会長。右端はみんなの党の浅尾慶一郎政調会長=大阪市浪速区で2012年10月26日、大西岳彦撮影
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次期衆院選をにらんだ「第三極」をめぐる動きが活発化している。新党結成を表明した石原慎太郎東京都知事は第三極の結集を呼びかけ、第三極の核と目される日本維新の会はみんなの党との政策協議を開始した。維新がまとめた次期衆院選に向けた公約素案にも、他党との連携を意識した内容が盛り込まれた。
新党結成を表明した石原氏は26日の記者会見で「なんで大連合を考えないのか。選挙を一緒にやったらいい」と述べ、選挙協力を含めて維新やみんなの党などとの連携を目指す考えを表明した。一方、維新とみんなの党は同日、幹事長・政調会長会談を大阪市内のホテルで開き、次期衆院選での連携を視野に11月中に共通政策の取りまとめを目指すことで合意した。「第三極」の主導権争いは、三つどもえの綱引きの様相を呈している。
会談で、維新幹事長の松井一郎大阪府知事は「維新とみんなの政治スタンスは一緒だ。『何をやるか』を中心にしている」と政策を重視する考えを強調。みんなの江田憲司幹事長は「誰が組むのかばかり騒がれるが、維新とはこれまでも政策を議論してきた」と連携に積極姿勢を示した。
政策協議入りは15日、維新代表の橋下徹大阪市長がみんなの渡辺喜美代表との会談で合意した。一時は「第1党もあり得る」との見方もあった維新は、国会議員の合流と前後して支持率が急落。「全国津々浦々で戦う」(橋下氏)としていた拡大路線も見直さざるを得ない情勢だ。
みんなも支持率低下に悩んでいる。渡辺氏は26日の会見で「維新とはアジェンダ(政策課題)がほとんど一致する。政策協議が整えば、次はどういう選挙協力ができるかという段階に移る」と、連携強化に期待を表明。返す刀で石原新党を「消費増税を容認するなら話にならない」と強くけん制した。
ただ、いったん連携に消極的になりながら、支持率低下後に積極姿勢を示す維新に、みんな内には不満がくすぶる。維新内にも、維新に移った参院議員3人の会派離脱を認めないみんなに批判がある。
一方、石原氏は26日、「私はもちろん橋下氏とやるつもりだ。(たちあがれ日本が)反対なら私1人でやる」と強調。さらに、「この政策が違うとか、あいつと一緒は嫌だとか、そんなことで大きな連帯ができるわけがない」と述べ、渡辺氏とも会談する意向を示した。原発政策などで維新やみんなとの距離があるため、石原新党置き去りの連携強化を警戒したものだ。新党の母体となるたちあがれ日本は所属議員5人で支持率も低く、維新との連携は新党の行方を左右する。
連携のカギを握る維新の橋下氏は26日、大阪市役所で記者団に「政策協議はどことでもやる。合うなら合う。それだけだ」と、両にらみの姿勢を示した。【平野光芳、福岡静哉】
◇維新の公約素案「自立」「自助」強調
日本維新の会が次期衆院選で掲げる公約素案は、集団的自衛権の行使など「自立する国家」を打ち出し、高齢者と現役世代の医療費の自己負担割合を一律にするなど「自助」も強調する内容になった。「自助・自立」の重視は次期衆院選で第1党となる可能性が高い自民党とも親和性がある。基本理念には維新八策になかった「保守」も新たに盛り込まれた。
素案は社会保障制度改革について「真の弱者支援に徹する」と強調。また「現物支給中心の最低生活保障制度を創設」するとして公的年金の現金給付の抑制なども掲げ、社会保障費の支出を抑制する「自助」に比重を置いた内容になっている。
外交安保の分野では「国土と国民を自力で守る」と掲げる。集団的自衛権の行使容認は自民党総裁選でも立候補者全員が訴えた内容で、石原新党も重視しており、この分野が起点となった協力・連携につながる可能性もある。
また新たに基本理念とされた「保守」の項目では、歴史と伝統の尊重や、家族の絆の復活なども盛り込んだ。これらは自民党の安倍晋三総裁の保守色を意識したとみられる。
ただ「自助・自立」の強調は、「弱者切り捨て」との批判を受けかねない側面もある。政調会長レベルの素案の原案では高齢者医療費負担は「3割負担」が数値目標とされていたが、国会議員団の指摘で削除された。また、2045年を目標とした外国軍の駐留全廃については、日米同盟を重視する自民党が不安視するのは必至だ。橋下徹氏は26日、記者団に「表現がつたない。慎重に考えないといけない」と述べ、修正する考えを示した。
一方で、維新八策で既成政党から「非現実的」と批判された、首相公選制や参院廃止などの統治機構改革の部分は維持した。国会での議論が停滞している国会議員定数削減については、衆院議員定数(480)を半減すると数値目標に踏み込み、既成政党との差異を強調している。【木下訓明】
◇日本維新の会の公約素案内容
◆統治機構改革
任期4年の首相公選制▽参院廃止も視野▽改憲発議要件の緩和▽道州制導入▽消費税の地方税化▽地方交付税の廃止
◆行財政改革
衆院定数(480)半減▽議員歳費、政党交付金の3割削減▽企業・団体献金の禁止▽キャリア官僚の40歳定年制(以降は政治任用か民間に再就職)▽公務員の強固な身分保障の廃止
◆外交・防衛
2045年をめどに外国軍の日本駐留を全廃▽集団的自衛権を禁じた憲法解釈の変更
◆経済
環太平洋パートナーシップ協定(TPP)参加▽法人税率を20%に半減
◆社会保障
20歳以上の医療費自己負担を一律に▽年金は積み立て方式に移行▽現物支給中心の生活保護▽国民総背番号制
◆農業政策
農協への独占禁止法適用除外の見直し▽戸別所得補償制度は専業農家に限定
◆エネルギー
既存原発は2030年代までに全廃▽最高水準の原発は輸出可能▽東京電力の会社更生手続きの開始
◆教育
日本の歴史と伝統に誇りを持てる歴史教育▽教育委員会の廃止▽学校選択の保障
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新党「日本維新の会」代表の橋下徹大阪市長は26日、同党の国会議員団らがまとめた次期衆院選の公約原案について「たたき台中のたたき台。『おや』というところもある」と述べ、大幅に修正する考えを示した。
「外国軍の日本駐留全廃」を「表現の仕方がちょっと稚拙だ」と指摘、沖縄県の尖閣諸島を巡る日中対立に関し、国際司法裁判所(ICJ)の活用に触れなかった点にも不満を表明した。
(2012年10月26日23時57分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/news/20121026-OYT1T01223.htm?from=main1
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