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日中関係は相変わらず冷え込んでいますが、関係改善の動きも水面下で進んでいます。観光地では中国人観光客が激減して打撃を被っていますが、20日に熊本県八代市に1500人もの中国人団体客が豪華客船で押し寄せ、これがちょっとした話題になっています。
東京新聞は、本日付でこう報じています。
(http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2012102402000126.html)
日本旅行 罪か権利か 中国人１５００人 熊本訪問賛否
【北京＝渡部圭】沖縄県・尖閣諸島の問題で日中関係が悪化する中、中国メディアで日本旅行の是非をめぐる議論が起きている。ネット上では、日本を訪れた中国人を批判する声が上がる一方で、共産主義青年団（共青団）が主管する２３日付の中国青年報は「日本旅行は罪ではなく国民の権利。国家利益を損ねるとは言えない」と冷静な意見を掲載した。共青団は胡錦濤国家主席の出身母体。反日一色のメディアに現れたこうした論調は、対日関係改善に向けたメッセージの可能性もある。
千五百人の中国人団体客が豪華客船で二十日、上海から韓国済州島経由で熊本県八代市を訪れ花火大会などを見学。現地で歓迎されたことが報じられるとネットには「売国奴」などと罵倒する声があふれた。「金持ち上海人が日本を助けるのか」と経済格差をねたむような声もあった。
これに対し、中国青年報は「他人に日本を恨むよう強制する言行は、他人の権利を尊重せず、社会の規則を順守しない極端な利己主義だ」と断じたほか、「中日関係の悪化が続くのは中国経済の損害も大きい」と指摘。八代市関係者が「旅行が（緊張関係の）雪解けの機会となれば」と述べたことを引用し、「両国の経済関係を発展させることは、わが国にも有利」と論じた。
ネットの検索サイトには二十三日、中国青年報と同様の主張をするコラム欄も出現。同紙の論調を擁護する声と批判する声が交錯している。背後には共産党大会を前にした対日融和派と強硬派、改革派と保守派の党内の抗争も見え隠れする。九月の尖閣国有化以降、日本製品ボイコットで中国の日系企業は減産を強いられるなど苦戦。日本への団体旅行取り消しも相次ぎ、日本政府観光局によると、九月に訪日した中国人は東日本大震災前の二〇一〇年九月比で約一割減った。＊＊＊＊＊
共青団系の中国青年報の論調は興味深いものがあります。中国共産党内の権力闘争は胡錦濤一派が勝利し、次期国家主席と見做されている習近平も胡錦濤らと手を結んだようなので、来月の共産党大会が終われば日中関係は次第に修復すると思われます。日中が対立しても、両国に益するところはありません。米国が喜ぶだけです。早く旧に復することを望みますが、尖閣が現状のままだと中国政府も簡単に引き下がることはできません。我国政府も何らかの妥協が必要でしょう。
尖閣国有化で中国では反日デモが広がり、それが暴徒化したわけですが、そういうことをするのは金で雇われたヤクザ者か、碌に教育も受けていない無知な人たちと見られています。中国人の大半は、尖閣騒動を仕掛けたのは米国だと見ていますから、そこまでやらないはずです。
このことを裏付ける記事が、昨日の東京新聞に掲載されています。
(http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2012102302000097.html)
中国国歌 歌えぬ愛国者
【北京＝渡部圭】中国広東省深圳市で起きた反日デモで、警察車両を壊して拘束された男（29）が二十一日の中央テレビの番組に出演。デモ参加の動機を「愛国の熱情にかられた」と語る一方、中国国歌も反日スローガンの内容も分からず、周囲の雰囲気にのまれて過激な破壊行為をしていたことを明かした。深圳市では先月十六日、デモ隊が地方政府の庁舎や警官を襲うなど中国政府への怒りも爆発。社会に不満を持つ若者らが群集心理で興奮し、「反日」が「反政府・反共産党」へと容易に転換する危うさを露呈させた。
この男は河南省の農村出身で、自動車販売店で警備員のアルバイトをしていた。友人から携帯メールで誘われて反日デモに加わったが、小学校で習った国歌の歌詞は忘れ、「日本製品ボイコット」「日本人は出て行け」といったスローガンも大声では叫べなかった。だが、暴動鎮圧の警察車両が現れたことに、ほかのデモ参加者が怒るのを見て、車両をけったり、棒でたたいたりしたという。男は昨年離婚し、弟は重い病気を患っていた。新聞に載った手配写真を見て自首したが、警察に拘束されたため職を失っている＊＊＊＊。
この男は、「中国国歌も反日スローガンの内容も分からず、周囲の雰囲気にのまれて過激な破壊行為をしていた」そうで、暴徒の大半はこういう人たちではないかと見られます。中国の国家体制が生み出した犠牲者と言えるかも知れません。中国の識字率は90％とされていて、1割の人たちは文盲です。文盲=無知とは言えないでしょうが、情勢判断する上でハンディがあることは否定できません。中国の人口が13億だとして、我国の人口に匹敵する人たちが文盲のわけですから、政府の扇動に踊らされてしまう人たちがたくさんいることが判ります。
反日暴動の後始末がどうなっているか、後追い報道がないので判りませんが、恐らく進捗しておらず、日系企業は殆ど独力で再建を図っているものと思われます。破壊行為は犯罪ですが、こうした無知な人たちの仕業となれば、半ば諦めざるを得ません。中国は、米国から覇権を奪うことを狙っていると言われています。しかし今回の騒ぎで、前近代的な国家であることが露呈しました。現状のままでは覇権を狙うどころではなく、世界から孤立するだけです。13億の人間を統治するのは至難の業ですが、清朝の版図を無理やり引き継いだ時点で困難は覚悟の上だったはずです。中国政府は早く民主化を進め、東アジアの安定に努めてもらいたいと思います。
http://yokodo999.blog104.fc2.com/blog-entry-786.html
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