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民主党の最善の負け方は「早期解散総選挙」だ
http://diamond.jp/articles/-/26764
2012年10月24日 山崎元のマルチスコープ :ダイヤモンド・オンライン
■衆院解散が一向に実現しない 三党合意の枠組みは良くない
「近いうち」とされた衆議院の解散が一向に実現しない。臨時国会は、やっと10月29日から開かれるが、特例公債法案などの懸案を質に解散を迫る自民・公明両野党と、解散時期を明示しない民主党の間で折り合いがつかず、膠着状態になっている。
大雑把に言って、総選挙では大きく負けるだろうから解散したくない民主党と、解散に追い込んで政権を取ると共に、前回落選した大量の議員を早く復活させたいのが自民・公明両党という立場だった。
さっさと国会を開いて、国会の論戦で決着を付けるのがいいと思うのだが、1つ気になるのは、民・自・公三党での党首会談をまた開こうとする動きがあることだ。
消費税率引き上げの法案を通す際に、与党である民主党内であれこれ行なわれた議論は、「三党で合意を得る」という大目的の前にほとんど無視され、法案の内容が決まり、その後、採決では党議拘束がかけられて法案は可決に至った。
政治家、官僚の別を問わず、「面倒な議論抜きに物事を決めてしまいたい」と思う向きには、この三党合意という枠組みは大変便利だ。これは、今後、政権が自民党に移ったとしてもそうだろう。
しかし、消費税のような重要な問題は、党首と幹事長といった政党幹部同士の談合で物事を決めるのではなく、国会の場でオープンに議論をして内容を決めるべきものだろう。たとえば、今後、年金制度がこのような方式で決められるとすると、由々しき事態だ。
三党合意型の談合が、今後も行なわれることがないよう、注意していきたい。
この膠着した状況下で、前原誠司国家戦略担当相が、21日、フジテレビの番組『報道2001』で、「私の感覚で言うと、年明けに解散したら『近いうち』じゃない。首相は約束を絶対に守る人だ」と述べた。年内に解散すべきだとの意見とも取れるが、この発言はどう解釈したらいいのか。
前原氏の発言は(威勢はいいが)実現しないことが多いので、今回の発言は、解散を先送りしたい民主党の願かけではないか、というのが筆者が最初に思いついた解釈だったが、もちろんこれは冗談だ。
■党内気運の反映か公明党への配慮か テレビにおける「前原発言」の真意
1つには、民主党内で「さすがに総選挙をやらなければなるまい」という機運が高まっていて、この状況を知っている前原氏が、テレビカメラの前でつい口にしてしまった、ということだ。
野田佳彦首相は、22日に会談した日本維新の会の松野頼久氏に「閣僚が解散について言うのはいかがなものか」と問われて、「私もそう思います」と応じた。前原氏にあって「口が滑った」可能性はある。
しかし、前原氏は22日にも神戸市内で「『近いうち』解散と言った(首相の)言葉は重い。自公と我々の間に大きな溝はない」と同趣旨の発言を続けている。
別の解釈の可能性としては、早期に衆院選を行ないたい公明党への配慮を見せたのだ、という可能性もある。わずかな可能性だが、将来、民主党が公明党との連携を模索する可能性はある。
ただ、総選挙の時期が早いほうがかえっていいのではないかという情勢判断に、民主党が傾く理由がいくつかある。この可能性について、少し考えてみたい。
次回の総選挙では民主党が負ける。問題は、どのくらい負けるかと、負けた後にどうなるかだ。
以上は、今や民主党の議員も含めて、国民のほとんどがそう考えている前提条件だろう。「朝日新聞」(10月22日朝刊)によると、野田内閣の支持率は18%と2割を割り込むと共に、これまでの最低を更新し、衆院比例区の投票先の問いに対しては、自民党が36%、民主党は13%という惨状だ。
1つには、野田内閣、民主党とも支持率が今後回復する公算が小さいことだ。外国人からの献金やかつての反社会的勢力との交際を指摘されて辞める田中慶秋法務大臣の問題とその対応(国会答弁を逃げて、病気を理由にこそこそ辞める)は、あまりにひどい。
政権は、この問題を追及されるだろうし、これ以外の問題でも、防戦一方に回るのではないか。これから、国会が開かれて政権の座にある限り、民主党政権はますます評価を落とす可能性が大きい。
■早く野党になって安倍政権を突く 民主党にとって早期解散が得策?
加えて、来年夏の参議院議員選挙との「間隔」の問題がある。
多くの国民は、民主党政権に失望し、「民主党を懲らしめてやりたい」という感覚の下に、次の総選挙で投票することになるだろう。解散総選挙が先に延びて、総選挙でこの気持ちが冷めないうちに、参院選を迎えることになると、参院選でも民主党が大敗することになる可能性が大きい。
また、総選挙で政権交替が行なわれると、現在の情勢では、自民党の安倍総裁が首相になって新政権ができる可能性が大きいが、政権交代後には、政権と与党の支持率が一時的に上昇するのが通例だ。「安倍政権」がフレッシュな間に参院選に臨むのは、民主党にとって得策ではない。
「早々に自民党に政権を明け渡して、今度は民主党が攻める側に回る。総選挙大敗の責任を取って野田氏は代表を降りるだろうから、看板を変えて、もともと得意の野党に徹して攻勢に転じることができる。
何ヵ月かすると、安倍政権の鮮度が落ちるし、政権の落ち度を民主党が突くことができれば、国民が『民主党はダメだったが、自民党にすっかり任せるのも危険だ』と感じて、参院選では、民主党が案外健闘する」。こうした読み筋は十分可能だと思われる。
この読み筋では、仮に、民主党が参院での勢力を保つことができれば、民主党の参院を束ねる輿石東幹事長が自身の影響力を維持することができるし、場合によっては、将来の参議院議長へと夢をつなぐことができる、というポイントもある。
もう1点のポイントは、現段階では日本維新の会の選挙体制が整っているように見えないことだ。同党は、前記の朝日新聞の調査で、政党支持率で2%、比例区の投票先に至っては前回調査の4%を下回る3%といった数字しか取れていない。
しかし、ここのところ勢いに陰りを見せていた橋下徹氏の人気は、『週刊朝日』の不適切なバッシング記事への反撃が奏功したこともあり、また回復する可能性が出てきた。また、現在「玉不足」(候補者、幹部両面で)と見える日本維新の会に、今後
有力な助っ人が現れる可能性もある。
民主党にとっては、解散総選挙を早くやった方がいい理由が増えて来たのではないか。特に、前原氏のような将来に野心のある年代とポジションで、総選挙後に「国会に帰って来る」ことができると思っている議員や、同党の参議院議員には、早期解散が得策なのではないだろうか。
■自民党を悪者にして潔さを見せる 臨時国会での早期解散はどうか
戦略を考える上では、敵方の手も読まねばならない。最大野党である自民党の利害はどうか。
現時点で、落選者を早く復活させ、早く政権を取り返したい、という大きな利害は変わっていないだろうが、来年夏の参院選が気になるのは、自民党も同じだろう。日本維新の会に勢いが出ず、野田内閣の支持率が上がる公算が小さいとあれば、今後、「じっくり攻めてもいい」という戦術に転換する可能性もあると考えるべきだろう。
そこで、民主党の立場で考えるとどうなるか。
たとえば、臨時国会の冒頭で、特例公債法案、衆院の定数是正法案、社会保障国民会議の設立法案を提出し、自・公がこれに賛成しない場合に、即座に解散に踏み切ってしまう、という手はどうだろうか。
特例公債法案などについては、民・自両党とも「どっちもどっち」なのだが、民主党から見るなら、上手く行くと、自民党を悪者にして、潔く解散に打って出た印象を演出することができるかも知れない。
もちろん、野田氏個人は通例に漏れず、「1日でも長く首相をやっていたい」という心境かも知れないが、彼がすでに一定の達成感を持っていて、仙谷氏あたりに参院選での利害を説かれた場合に、早期解散に踏み切る可能性は大いにあるのではないか。
民主党も自民党も、党首選を経て体制が変わった。また、現在の民主党は、前回総選挙のマニフェストとは「全く無関係」と言いたくなるほどかけ離れた状態にある。早期の総選挙は、国民にとっても悪い話ではない。
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