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検察審査会の構成メンバー
初めて選ばれた審査員及び補充員は招集状に指定された初日に、裁判官から2時間程のオリエンテーションを受ける。この中で審査員、補充員はそれぞれ「良心に従い公平誠実に職務を行うことを誓います」という「宣誓書」に署名捺印し、晴れて審査員、補充員となる。引き続き審査会が開かれる場合には、既に審査員となっている前群は午後から招集され、午後から最初の審査会が開かれている。
審査会は審査員11人が揃わなければ開催出来ないので、審査員の欠席があった場合は審査に先立ち、出席している補充員の中から審査会長(互選されるまでは事務局長が代行)が事務員立ち合いのもと、くじで臨時の審査員を選定し、11人にして審査会が開かれる。
24年4月26日のNEWS 23X追跡クロスでは第五検審の審査員だったというX氏は「審査員11人と補充員数人」で審査したと証言している。また、今西憲之氏(ジャーナリスト)の「検察審査会メンバーの告白」の中に登場する第三検審の審査員A氏も一つの検察審査会の審査員は11人で審査員が何らかの理由で欠けることを想定し、補充員が2〜3人いたと同じ内容のことを話している。これは、補充員で審査員11人にし、さらに補充員2,3人を審査会に参加させているという意味であろう。
東京弁護士会の山下幸夫弁護士は明治大学大学院の「検察・世論・冤罪V」シンポジューム(平成23年12月22日)で検察審査会制度が変わるということで東京検察審査会にヒアリングしたが、補充員もほぼ同数の人が、同時に審査に参加して議論をし、投票(開票しない)まで行っていることが分かったと話している。実際、少し話は古くなるが平成12年に東京第一検察審査会の補充員になったという人も補充員全員が審査に加わったと話している。検察審査会法の改正を契機にして審査会のやり方が変わったのであろうか。
現在は、第二十五条の二に「補充員は、検察審査会の許可を得て、検察審査会議を傍聴することができる。」となっているだけで、会議での発言については出来るとも出来ないとも書かれていない。補充員全員を議論に参加させるほうがより質の高い審査が出来ると思うのだが、なぜ変えてしまったのだろうか。とにかく、人数が少なければ、議論が特定の人の意見に引っ張られるのは間違いないだろう。
また、審査会には、審査員だけでなく、事務局の事務員が会議録作成のために同席するが、審査補助員や検察官が出席する場合がある。
審査補助員の役割
法律にはなじみのない審査員の専門的な知見を補うため、弁護士に審査補助員を委嘱することができるとされている。1回目の審査の場合、委嘱は任意であるが、2回目の審査はこの審査補助員を必ず同席させることが義務付けられている。
一回目の小沢案件については8回の審査が行われたが、審査補助員の米澤敏雄弁護士は、3回目の審査会議から参加し、その後、全ての会議に出席している。また、二回目の審査補助員としては吉田繁實弁護士が委嘱され、全部で7回、出席している。
東京には三つの弁護士会(東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会)があり、事務局で審査補助員をどの弁護士会に依頼するかを決め、依頼のあった弁護士会から推薦された弁護士に委嘱するような運用がとられている。
この第五検審の審査補助員の委嘱については、「検察・世論・冤罪V」シンポジュームで東京弁護士会の山下弁護士が次のように証言している。
「私は弁護士会で指定弁護士や審査補助員になる人を研修する立場にいた。弁護士会も依頼が来たときは、名簿の一番上に山下先生を置いていますと言っていた。しかし、小沢事件でまさに東京弁護士会にその依頼が来たとき、何故か米澤さんという別の弁護士が審査補助員になっていて、その人のもとで一回目の起訴相当議決が出たことを知って、非常にびっくりした。弁護士会の中で調べたり聞いたりしても理由がわからない。会長に聞いてもなぜそうなったかはわからないということだった。」
また、東京地検の吉田副部長が取り調べの中で石川氏に「小沢先生が不起訴になっても、検察審査会がある。そして、2回起訴相当になる。今度は弁護士によって、国民によって小沢先生は断罪される」と話している。「国民によって」というのは分かるが、この「弁護士によって」という一言には非常に違和感を覚えるのである。
審査補助員の立ち位置によって審査会での議決の方向性が決まってしまうだろうことは、容易に想像できる。そのため、検察審査会法の第三十九条の二の第五項では「その職務を行うに当たっては、検察審査会が公訴権の実行に関し、民意を反映させてその適正を図るため置かれたものであることを踏まえ、その自主的な判断を妨げるような言動をしてはならない」と規定されている。
吉田副部長の「弁護士によって」という一言と山下弁護士の話を重ね合わせれば、検察が最高裁と示し合わせて息のかかった弁護士を選んで委嘱したことが疑われ、もしそうだとすれば、それがどういう結果になるかは火をみるより明らかである。
米澤弁護士は61年に検事となりその後、裁判官に転官、大東文化大学法科大学院教授を経て平成21年4月から麻生総合法律事務所に勤務しているが、麻生総合法律事務所で平成22年3月25日に行われた40周年祝賀会へは谷垣禎一、野田毅、中井洽、みのもんたなどが出席しており、米澤敏雄弁護士と谷垣は懇意であると言われている。
また、二回目の吉田審査補助員についても、「起訴議決」があった直後の22年10月6日の読売新聞に次のように書かれている。
「審査員に法律的な助言をする審査補助員を務めた吉田繁実弁護士は、暴力団内部の共謀の成否が争点となった判例や、犯罪の実行行為者でなくても謀議に参加すれば共犯として有罪になるなどと認定した1958年の最高裁大法廷判決を審査員に示し、「暴力団や政治家という違いは考えずに、上下関係で判断して下さい」と説明した。」
わざわざ50年以上前のしかも、小沢案件に暴力団の共犯の判決を持ち出すなど、これは審査員に対する「説明」ではなく、「誘導」であり、三十九条の二第5項に違反していることは明らかである。しかし、残念ながら、審査補助員がこれに違反したときの罰則規定はないのである。
解体新書−その1− →http://www.asyura2.com/12/senkyo137/msg/243.html
解体新書−その2− →http://www.asyura2.com/12/senkyo137/msg/502.html
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