http://www.asyura2.com/12/senkyo137/msg/573.html
Tweet |
ここ最近、メディアではナショナリズムが吹き荒れている。しかし、ナショナリズムを煽ったところで、領土を守ることにはつながらない。ナショナリズムはむしろ、領土を遠ざけることにしかならない。
ここでは、亀井静香議員によるナショナリズム批判を紹介する。インタビュー内では石原慎太郎批判も行われており、亀井氏が石原氏と行動を共にすることはもはやないと見ていいだろう。
『月刊日本』11月号より
http://gekkan-nippon.com/?p=4456
石原慎太郎氏は過激な論を控えるべきだ!
―― 尖閣諸島をめぐる日中の対立が激しくなっている。領土問題は国家にとって極めて重大な問題だが、最近のマスコミ論調には、国民の愛国心を過剰に煽るようなものが目につく。
【亀井】 動物が縄張り争いをするのが本能的なものであるのと同様、人間の場合も、領土を守るのは本能的なものだが、人間はそこに知恵を出さなければいけない。
たとえやっかいな隣国があるからといって、国は引っ越しすることなどできない。お互いにずっと隣国として生きていかなければならない。
隣の家の木が伸びて、自分の家に枝が垂れてきて、枯葉が庭に落ちたとしよう。このとき、隣の家に怒鳴り込んだらどうなる。隣の家との関係は悪くなる。枯葉が落ちたからといって、いがみ合うより、お互いに相手の木を褒め合うような気持ちを持ってこそ、隣同士は仲良くできるのだ。国家間の関係だって同じことだ。領土をめぐる対立があったとしても、うまく共存することを考えなければならない。人間はそれくらいの知恵を出すべきものだ。
―― 他国の間違った主張に反論し、わが国の主張を唱えることはもちろん必要だ。しかし、好戦的、排外的な主張をすることが果たして愛国なのか。弊誌は創刊の辞において、「偏狭なナショナリズム」を戒めたが、自国に対する誇りを噛み締め、尊敬される国になるべきことを説く愛国心こそが求められているのではないか。
【亀井】 国を愛するというのは、当たり前のことだ。誰もが持っている感情であり、いちいち取り立てて言うようなことじゃないし、一部の保守派言論人たちだけが独占するようなものじゃない。
自分たちの郷土を素晴らしいところにしていくために努力することが愛国だ。「国の中身」をどうするかが最も大切だ。国は器。中身のない空っぽの器には意味がない。ナンセンスだ。
「愛国心だ、愛国心だ」と、ことさらに強調されるときには、何かよこしまな意図がある場合が多い。かつて、日本は愛国心を煽り、理性的な思考を停止してしまった。戦前の政府は、愛国という、誰も抵抗できない言葉でその政策を正当化、美化し、人びとを戦争に駆り立てた。政府に従わない人間に「あいつは愛国心がない」と批判した。
―― 対外強硬論を煽るマスコミは、「政府は弱腰だ」と批判して国民の強硬論を煽った。
【亀井】 一九〇五年九月、日露戦争後の講和条約締結の際、マスコミは対露強硬論を煽り、講和条約に調印した小村寿太郎外相を弱腰と批判した。『朝日新聞』(一九〇五年九月一日付)は「小村許し難し」とまで書いた。九月五日に日比谷公園で行われた集会をきっかけに、暴徒化した民衆は内務大臣官邸などを襲い、小村邸には石が投げ込まれた。一度ナショナリズムに火がつくと、理性的な判断ができなくなる。
政治家がマスコミの強硬論に乗ることは簡単なことだ。しかし、国家の指導者たるものは常に冷静に知恵を出していかなければいけない。ところが現在、指導者自らがお互いの国内事情でナショナリズムを煽りまくっている。
石原慎太郎都知事も過激で極端な論を展開するのは控えるべきである。
オスプレイ配備を強行した森本防衛相は間違っている
―― 今回の問題は、訪米中の石原都知事が四月十七日にヘリテージ財団での講演で、尖閣の一部を都が買い取る意向を示したことから始まっている。結局、政府は九月十日に魚釣島、南小島、北小島の三島を地権者から購入し正式に国有化する方針を決定、日中両国の対立が激しさを増した。
【亀井】 本来、尖閣諸島は、十分な時間をかけて、実効支配すべきであった。そうした努力をしないで、短兵急に一挙にやろうとしたところが間違いだった。急激に物事を進めれば、強い摩擦が生じる。だから私は、石原氏には国に投げてしまえと言ってきた。結局、石原氏の顔がつぶれないように、国が国有化に動いた。
―― 日中関係が悪化すると、自主防衛という議論ではなく、アメリカに頼らなければいけないという議論ばかりが強まる。こうした中で、六月四日に発足した野田第二次改造内閣で、森本敏氏が防衛大臣に就任し、オスプレイ配備が強行された。
【亀井】 オスプレイは、火事場泥棒的に強引に配備された。米軍は七月二十三日に、オスプレイ十二機を岩国基地に搬入、十月に入って普天間飛行場に配備、すでに訓練飛行を始めている。オスプレイは、尖閣諸島の防衛にも寄与するなどと主張されているが、それは全くナンセンスだ。オスプレイ配備を正当化しようとしているに過ぎない。
日本の「防衛オタク」たちは、アメリカの機嫌をとることしか考えていない。オスプレイが本当に役立つというのなら、アメリカで徹底的に訓練してから来い。
―― オスプレイは四月に北アフリカのモロッコで、六月に米フロリダ州で墜落事故を起こしている。米軍は、ニューメキシコ州でのオスプレイ低空飛行訓練を住民の反対で延期し、ハワイ州でも住民に配慮して着陸訓練を控えている。
【亀井】 森本防衛相は、このような状態にあるにもかかわらず、沖縄県民の反対の声を無視して、日本への配備を強行した。全くイカレている。事故原因について、森本氏は、人為的ミスだから、安全性に問題はないなどと、ふざけたことを言っている。自動車を例にとれば、レーサー並みの運転技術を備えていないと事故を起こす可能性のある自動車を走らせていいのかということだ。(以下略)
亀井静香議員に関する書籍:
高橋清隆(著)『亀井静香―最後の戦いだ』
http://www.amazon.co.jp/%E4%BA%80%E4%BA%95%E9%9D%99%E9%A6%99%E2%80%95%E6%9C%80%E5%BE%8C%E3%81%AE%E6%88%A6%E3%81%84%E3%81%A0%E3%80%82-%E9%AB%98%E6%A9%8B-%E6%B8%85%E9%9A%86/dp/4906674445/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1350955654&sr=1-1
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK137掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。