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2012.10.23 「毒を以て毒を制する」、これが橋下投票行動の本質だった、「おおさか社会フォーラム2012」で議論になったこと(5)、(ハシズムの分析、その36)
〜関西から(79)〜
広原盛明(都市計画・まちづくり研究者)
松谷氏は「橋下現象=橋下氏が幅広い有権者から支持を得ていること」と規定したうえで、橋下氏に対する中高年ミドルクラスへの支持の背景を「日本社会の成熟=脱政党化」と「橋下氏のマジョリティ思想=新自由主義・新保守主義への共感」の2点から説明した。「怒れる若者」など社会的弱者の投票行動分析を軸にした「左派・リベラル的批判」だけでは、橋下支持の社会的背景は説明できないというのである。
この背景説明が一定の説得力を持っていることは否定しない。ハシズムの全容を必ずしも理解できていない若者層の一揆的投票行動に比べて、ハシズムの新自由主義的イデオロギーに共感する中間層が数多く存在することは事実だからだ。しかし、これら中間層の橋下投票行動(橋下候補への投票)を促した原因が果たしてそれだけだったのかというと、「それだけではない」というのが私の問題提起である。
前回のブログでも指摘したように、中高年ミドルクラスの橋下投票行動の直接的契機になったのは、解同の同和利権漁りや市職員の不祥事をいっこうに是正できない(しようとしない)「大阪市役所一家=市役所ムラ」への激しい怒りだった。大阪府立高校ОBである私は、かねてより数多くの同窓生からこの種の不満や憤慨を嫌というほど聞かされてきた。彼らの多くは大阪経済の中核を担う中小企業の経営者であり、大阪の政治動向を左右する自営層だ。また、その大半が自民党支持者でもある。
解同批判の急先鋒が共産党(および支持者)であることは誰でも知っているが、「自営層=真面目な自民党支持者」がそれに次ぐ批判グループであることは案外知られていない。市役所との「コネ」(癒着)だけで同和系企業に仕事を取られて自分たちのところへは回ってこない、仕事を取ろうとすれば同和系企業とジョイントを組まなければ仕事をやらないと市役所から強要される、ジョイントを組めばろくに仕事もしないで法外な下請代金を請求される(ぼられる)、こんな愚痴(ぼやき)が飲み会では山ほど出てくるのである。
橋下氏が大阪市長選挙に立候補したとき、私の友人たちのほとんどは「毒(橋下)を以て毒(解同)を制す」だとして橋下候補を応援した。また、「比叡山(市役所ムラ)を焼き討ちするには信長(橋下)しかない」とも冗談めかして言っていた。松谷氏が分析した中高年ミドルクラスの橋下支持は、このようなローカルの“大阪事情”に裏打ちされていたのではないかと私は推察している。
同じ「ミドルクラス」(中間層)と言っても、大阪では東京のように新中間層のホワイトカラー(専門・管理職)の比重がそれほど高くない。むしろその主流は、旧中間層に属する中小企業経営者(自営層)である。この人たちが橋下投票行動に走ったのは、新自由主義的イデオロギーからでもなければ、新保守主義的志向からでもない。「額に汗して働かなければまともな人間にはなれない」という真面目な職業観・人生観を持った正真正銘の保守層だったからこそ、市政を食い物にする解同が許せなかっただけのことなのだ。
だから共産党がハシズムの危険性を察知して自前候補を下し、現職候補の平松支持に回ったときも(かくいう私もこの戦術転換には大局的に賛成した)、「解同=市役所ムラ」を一気に潰したいと思っていた中間層にとっては、「平松支持=市役所一家」としか映らなかった。むしろ「共産党までが解同を野放しにしてきた平松を支持するのか」という反感が広がったほどだ。このことは投票行動を分析した各種の世論調査によっても、共産党支持者の半数近くが橋下候補に投票していたことが判明しており、如何に「解同=市役所ムラ」に対する拒否反応が強かったことを示している。
当選後の橋下市長の行動は、見ての通り“やりたい放題”である。しかし「毒を以て毒を制する」ことを期待したこれらに人たちには、解同や(解同と癒着関係にある)市労連と真面目な公務員組合との区別がつかない。だから、教員・職員に対する強権的な思想統制も政治行動の規制も「いい気味だ」ということになる。橋下人気がなかなか衰えない理由がここにあるといわなければならない。
いま必要なのは、解同や市労連自身による市民に対する心からの謝罪であり、徹底的な自己批判と体質改善であろう。しかし、いまなお彼らが記者会見を開き、公開の席上で市民に謝罪したことなど一度も聞いたことがない(期待すること自体がムダだという声さえある)。事実2か月ほど前、大阪の法曹界の仲介で労働組合関係の決起集会があったが、冒頭に報告に立った市労連書記長からは市民への謝罪はおろか一言の反省の弁も聞かれなかった。これでは、なかなか“公務員バッシング”が収まらないはずだ。
しかし見方を変えてみれば、この“大阪現象”は橋下新党が国政政党として進出しようとするときの「大きなネック」になるとの見方もできる。橋下ブームが一般的な政治不信の反映であり、二大政党下の「決められない政治」に対する反動とかする通説からすれば、維新の会が国政に進出する条件は十分あるのかもしれない。実際、全国マスメディアの橋下氏に対するこれまでの関心や評価も、もっぱら橋下新党が地域政党から国政政党へ“大化け”するか否かにあったといえる。
だが、大阪の地域事情などをさらさら知らない全国のミドルクラスにとっては、「毒を以て毒を制す」といった大阪独特の市民感情とはまったく縁がない。だとすれば、民主・自民二大政党との政策の差別化を図らなければ、橋下新党が国政政党の「第3極」として認知されるのは難しい。いま「日本維新の会」の支持率が伸び悩んでいるのは、これまでの橋下投票行動の分析が誤っていたうえに、解同出身の谷畑孝氏までが加わる既成政党国会議員の寄せ集めが「第3極政党」としてのイメージを大きく傷つけたからに他ならない。
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