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2012年10月21日 天木直人のブログ
丹羽宇一郎駐中国大使が一時帰国をして、20日に母校の名古屋大学
で講演したらしい。
その内容の一部がきょう10月21日の各紙で報じられている。
それを読んで私は驚き、失望した。
日中関係の悪化はこれまでとはまったく次元の違う深刻さだなどと言う。
自分は中国国民から「泥棒の親分」扱いをされていると自虐する。
18日に野田首相と会ってこうした「危機感」を伝えたことを明らかに
したという。
今頃になって何を言っているのだろうか。
そのような事態を招いた責任の一端は大使にもあったのではないか。
いまさら日中関係の悪化を危機的だと言い募り、それを野田首相に伝える
などと他人事のように言う。
しかもそれを大学の講演で評論家のように話す。
しかし私が丹羽大使の講演に関する記事を読んで注目したのは彼の発言
内容そのものではない。
丹羽大使の講演を伝える10月21日の朝日新聞の記事の中で次のよう
な記述を見つけた。そこに私は注目した。
「・・・丹羽大使は9月に交代が決まったが、後任の(西宮大使の)急死や、
その後任の(木寺大使の)起用に中国政府の同意が出ず、(丹羽大使はいま
だに)大使職を続けている・・・」
そう言われれば丹羽大使は更迭後は前駐中国大使と呼称されていたが今
では駐中国大使という現職の呼称に戻っている。名古屋での講演も、任期を
終えて帰って来る「帰朝」での講演ではなく、「一時帰国」の際の講演となって
いる。
何よりも驚いたのは木寺新駐中国大使の人事について中国政府からの
同意(アグレマン)がいまだ下りていないと朝日の記事が書いているところだ。
これは明らかに外務省筋から得たスクープ情報に違いない。
どうやら中国政府は本気で日本政府との関係を制限しようとしているの
かもしれない・・・
◇
丹羽大使「国交40年が水泡」 講演で日中関係に警鐘
http://www.asahi.com/special/t_right/intro/TKY201210200613.html
2012年10月21日0時28分 朝日新聞
一時帰国中の丹羽宇一郎駐中国大使が20日、母校の名古屋大で講演し、尖閣諸島をめぐる日中関係について「(国交正常化後の)40年間の何十人という首相の努力が水泡に帰すかもしれない。40年以上前に戻ってしまう」と強く警鐘を鳴らした。政府が存在を否定する「領土問題」という言葉も用いて早期解決を訴えた。
丹羽氏は今の日中関係悪化をこれまでと比べて「まったく次元が違う」と強調。自身が中国国民から「泥棒の親分」のような扱いをされていると例えた。
尖閣国有化後の中国国内の状況について「日本の国旗と私の顔写真がいつもテレビに出る。『日本は中国の国土を盗んだ』とわかりやすい。小学生でさえ国旗、泥棒、顔写真が結びつく」と説明。自らへの反応も「国旗をつけて(公用車が)信号で止まると、みんなじろじろ見る。公道を走っている時は車を寄せてくることもある」と語った。
「中国政府だけでなく、こういう(一般の)方々にまで問題が染みこみつつあることが問題」と指摘。18日に野田佳彦首相と会い、こうした「危機感」を伝えたことを明かした。
尖閣問題で「主権を譲る必要はないが、外交上の係争がある」とし、独仏の国境紛争を引き合いに「領土問題の解決には両国の首脳の指導力、政局の安定、信頼関係が重要だ」と主張。「11月にできる習近平(シーチンピン)体制と何らかの関係が生まれないか」と、中国の体制移行に伴う関係改善を求めた。
丹羽氏は9月に交代が決まったが、後任の急死や、その後任となる木寺昌人内閣官房副長官補の起用にまだ中国政府の同意が出ず、大使職を続けている。
◇
丹羽宇一郎・駐中国大使が20日、母校の名古屋大で行った講演のうち、尖閣諸島問題に関する部分の概要は次の通り。
小泉首相時代の靖国神社参拝問題や尖閣沖での漁船衝突の問題と、いまの尖閣諸島にかかわる外交上の係争はまったく次元が違うことを、まず日本側が認識する必要がある。(前者は、中国からみて)核心的利益というか、国土、領土主権にかかわる問題ではない。
今回、領土の争いは日本側はないとしている。主権が日本側にあるのは間違いない。歴史的に私もそう確信している。中国側が何を言おうと、日本国はその立場を譲る必要はまったくない。領土問題の主権についてはその考えでよろしい。
しかし、外交上の係争が起きていることは世界的にも疑いがない。玄葉外相も外交上の係争があると(訪問先の)欧州各国に説明してきているはずだ。
この深刻さを、なかなか日本の政府、国民は感じておられないのではないか。私は日本に一時帰国し、明朝北京に戻るが、大変に緊張した雰囲気が北京にはある。日本に帰り、やはり違うなという感じがした。
9月11日の尖閣の国有化以来、日本の国旗と私の顔写真がいつも中国全土でテレビに出る。歴史的な事実とか両国政府の立場とか、こういう難しい話は本来関係がない方々にとっても、この尖閣問題と日本の国旗が結びついている。
(テレビで)簡単な言葉で、日本は泥棒だ、中国の国土を盗んでいったと。これは分かりやすい。小学生も中学生も高校生も、毎日のように日本の国旗と、泥棒と、私の顔写真が結びつく。私は泥棒の親分のような感じなんです。
中国には(日本の)ボランティアが多いが、JICA(国際協力機構)の支援で20代、30代前半の日本語の先生や介護士が中国全土に協力隊で行っている。9月11日以来、大変緊張感をもって生活を続けていると報告を聞いた。私が中国に行って以来初めてだ。
私の車から国旗を降ろせという要望があるが、北京市内で国旗をつけて走っている。テレビで日本の国旗がいまや(中国で)一番有名になった。信号で止まるとみんなじろじろ見る。今までそんなことはなかった。公道を走っていると車を寄せてくることもある。
尖閣よりも明日の給料や生活用品の値段の方がずっと関心があったのが、今やそういう状況にある。テレビ、新聞などで日本人は盗っ人、泥棒だと。いくら説明しても説明はどうでもいいんだと。大変憂えている。何とか止めなければいけない。ところが理屈を述べても理屈を聞く耳がない。こういう方々にまでこの問題が染みこみつつあることが問題だ。
これをどう早く解決するか。先日18日にか、野田総理にお会いして、ほとんどの政府要人にもお会いして、それを言ってきた。でも、なかなか現場のそういう感覚は(伝わらない)。
人間というのは悲しいものですね。いつもの現場の環境に相当影響される。この平和な日本にいるみなさんに話しても難しいんじゃないかなと思う。
しかしこのまま放っておくと本当に大変なことになる。元に戻すことは本当に大変だ。(国交正常化後)40年間の何十人という総理が努力してきたことが水泡に帰すかもしれない。
1972年の周恩来と田中首相、大平外相、二階堂官房長官(による国交正常化)当時以前に戻ってしまう。大変なことだ。再度構築するには大変なエネルギーがいる。本当に難しい。
そういうことを起こしてはいけないと怒るべきだ。起こしたら(関係修復まで)40年以上の歳月がまたかかるだろう。周恩来の言うように、争いは両方に傷がつく。経済も文化も芸術も、いろんな面で障害が出る。一刻も早く、どこかで止めなければいけない。いま苦心をしている。
世界的にも領土問題は話し合いで解決することはほとんどない。過去の歴史を見ると、400年近く前にアルザス・ロレーヌ地方をめぐる三十年戦争があり、第1次世界大戦などがあり、独仏間で領土主権が行ったり来たりした。
それが今のように平和な関係になった。西ドイツの初代(アデナウアー)首相とドゴール仏大統領の信頼関係、両国の政局の安定もあり、(1963年に)独仏協力条約が締結された。両国首脳の指導力、両国の政局の安定、信頼関係がやはり重要という一例だ。
日中関係でそういう状況を作り出さなければいけない。いまの日本はどうか。中国は11月8日からの共産党大会でおそらく習近平体制ができる。何らかの関係が生まれないか。そうは妙薬はない。地道な努力を継続する以外にない。
外交の背景にあるのはやはり国力だ。特に領土問題は二国間の問題で、他の国は話は聞いても手を出すことはない。国力は経済力と政治力の総合だ。中心を占めるのは経済力だ。
チャイナリスク(中国と経済関係を深める危険性)は高まっているが、日本にもリスクはある。為替も東北大震災もある。ほかの国にもある。様々な要因を考えて経済界は進出を考えている。声高にチャイナだけにリスクがあるというのは間違っている。この市場を失うことは大変なリスクだ。そういうことをよく考えないといけない。
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