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2012年10月15日 田崎史郎「ニュースの深層」 現代ビジネス
財務省幹部が説明資料を持って自民、公明両党の幹部を個別に訪ね、赤字国債の発行を可能にする特例公債法案を11月中に成立させるよう懸命に働き掛けている。「国の予算執行に必要な財源が11月末にほぼ枯渇する」からだが、自公両党が財務省の説明を受けて賛成に回るはずがない。
自公両党にとって、特例公債法案は首相・野田佳彦を年内の衆院解散に追い込む「虎の子」だ。このため、財務省が得意とする各個撃破作戦は自公両党に「特例公債法案で追い詰めていけば、首相が衆院解散に踏み切らざるを得なくなる」(公明党幹部)という自信を与え、野田政権を窮地に追い込む結果を招いている。
■民主党執行部に対する当てつけ
財務省の資料はB4版5枚から成り、カラー印刷。簡潔で分かりやすく、説得力に富む。1ページ目で、11月中に法案が成立しない場合、成立まで特例公債の発行をできなくなるだけでなく、法案が成立してもその後の発行額が大幅に増加。国債の需給バランスが崩れることなどによって、日本国債の格付けが下がる可能性があると警告を発している。
2枚目で、債券市場に与える影響を裏付ける証券会社の著名ストラテジスト4人の分析を紹介。3枚目は今年9月から予算執行抑制の対象としたもの(地方交付税、行政経費など)、4枚目はその対象としていないもの、たとえば恩給、自衛隊・海上保安庁の活動経費(修理費・燃料費など)、職員の人件費などを列挙している。対象としていないものとは言い換えれば、来月中に法案が成立しない場合、執行抑制の対象になるということだ。
この説明資料で最も重要なところは5枚目だ。「特例公債法案未成立下での財務省証券に発行について」と題し、「財務省証券は財政上、その年度の歳入により償還する必要」と特記している。
これは民主党執行部に対する当てつけだ。民主党幹事長・輿石東の周辺で、衆院解散につながる臨時国会を先送りするため「特例公債法案が成立しなければ、財務省証券を発行してしのいでいけばいい」という声がある。資料では財政法や今年9月の質問主意書に対する政府答弁書を引用し、事実上の財政法違反になると結論を導き出している。
財務省の論理は法律に基づいており、財務官僚が自公両党幹部に危機を訴えるのは当然のことだ。しかし、なんとか衆院解散・総選挙を先送りしたい民主党執行部にとっては臨時国会を開かないで済ませる「抜け道」がふさがれたことになる。
■民主党は追い詰められている
特例公債法案が成立しなければ、批判は自公両党にも向かい、「国民生活を人質に取っている」と攻撃される。しかし、法案を成立させる責任は本来、与党にあるのに加え、野田は8月8日、自公両党との党首会談で消費増税法案が成立した暁に「近いうちに国民に信を問う」に約束したことを守っていない。このため、民主党により強い批判が起きるのは必至だ。
さらに、民主党から離党者で出続けていること、離党者が出かねない政策決定ができなくなっていること、内閣改造で起用した法相・田中慶秋らの不祥事―などを重ね合わせると、「早く衆院を解散し、この政権を倒すのが国益」(自民党幹事長代行・菅義偉)という確信を抱くのは無理からぬことだ。自民党青年局長・小泉進次郎はこう言い放った。
「肉を切らせて骨を断つ」
特例公債法案が成立しないことによる批判を受けても、衆院解散・総選挙に向けて強硬戦術を取るという意味だ。この点では、公明党・創価学会も9月18日から選挙運動を全面展開しており、自公両党の歩調はぴたりと一致している。
輿石は10日に元首相・鳩山由紀夫と会い、内閣不信任案否決するため、「国民の生活が第一」代表・小沢一郎が不信任案賛成に回らないよう、働き掛けている。消費増税法案に反対した小沢らを除籍(除名)処分にしたのに、その手を借りようというのだから、驚きを通り越して嘲笑せざるを得ない。
そんな小手先の策を弄しても、特例公債法案処理では日増しに追い詰められている。こう考えると、野田政権は早晩、衆院解散を迫られるのではないか。(敬称略)
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