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新聞・テレビが絶対触れない大メディアへの復興予算流用問題
http://ameblo.jp/heiwabokenosanbutsu/entry-11379945512.html
週刊ポスト2012/10/26日号 頁:37 :大友涼介です。
※参考及びリンクはブログ主が勝手にやりました。
まさに「復興予算追及祭り」である。新聞・テレビは連日、復興予算を官僚たちが無関係の名目に流用している問題を追及している。
だが、おかしくないか。本誌がスクープしてから2ヶ月、なぜこの問題が店晒しにされていたのか。実は大メディアもまた、復興予算に巣喰うシロアリの一員だったのだ。
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2ヶ月遅れで本誌スクープの「パクリ報道祭り」の陰で〜民放には「復興支援番組」、新聞には「減災広告」
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◆増税法案成立まで沈黙
本誌が「19兆円復興予算をネコババした『泥棒シロアリ役人の悪行』〜福場ひとみ氏(ジャーナリスト)とポスト取材班」8月10日号(7月30日発売)でスクープした震災復興予算の流用問題がここにきて大騒ぎになっている。9月9日のNHKスペシャルが「追跡 復興予算19兆円」と題して報じると、朝日、読売、毎日など各紙や民放各局が10月に入って一斉に批判報道を展開し、国会にも飛び火。自民党は衆院決算行政監視委員会の閉会中審査を要求し、政権側は委員会を開かせないために民主党委員を欠席させる暴挙に出た。
あまりにも白々しい騒ぎである。
NHKなど各メディアの報道は、総額19兆円の復興予算が、東京の税務署改修や北海道・沖縄の道路建設、果ては捕鯨反対運動への対策費まで復興とは関係のない事業に役人によって流用されているという、本誌報道の丸パクリである。それもそのはず。各紙記事は衆院の決算行政監視委員会の調査をもとにしているが、そもそも調査の発端は、本誌記事に関心を持った委員の提案によるものだったからだ。
いや、パクられたことに目くじらを立てるつもりはない。
重大なのは、大メディアと国会は、本誌が8月初めにこの事実を報じてから2ヶ月以上、頬被りを決め込んでいたことにある。知らなかったとは言わせない。
当時は国会で消費増税法案の審議がヤマ場を迎えていたが、本誌が取材した自民党議員たちは「この記事は重大。国会で追及する」と意気込み、財務省は「消費増税法案が吹き飛びかねない」(主計局若手)と飛び上がって国会追及に備えた想定問答集を作成し、新聞もただちに後追い取材に取り掛かっていた。
ところが、そうした動きはピタリと立ち消えになった。コトが重大過ぎたからである。
この復興予算流用問題の本質は、財務省をはじめとするシロアリ役人と政治家が「復興のため」と国民に増税を強いながら、巻き上げた税金を被災者のためではなく、庁舎の改修やハコ物公共事業などシロアリの利権拡大に好き放題使っていた「隠し増税」の構造にある。消費増税も同じだ。国民には「社会保障のため」と説明しているが、実際は社会保障の充実には使われず、民自公3党と霞が関の間には、「増税による税収のうち毎年5兆円は防災公共事業にあてるという暗黙の合意がある」(自民党大蔵族のベテラン議員)という。
あのとき、国会追及や大メディアの報道が行われていれば、消費増税法案への批判が一層高まって廃案になる可能性があった。
だからこそ、増税推進派の大メディアと自民党は、消費増税法案成立まで黙殺し続けたのではないか。NHKスペシャルで”報道解禁”となったのは増税法案成立の1ヵ月後だった。
それなのに通常国会が閉幕してから「閉会中審査」を要求する自民党もちゃんちゃらおかしいし、「増税が決まったから安心だ」と言わんばかりの大メディアの2ヶ月遅れの追及報道は、シロアリの”パシリ”だったことを隠すアリバイに過ぎない。
当然、パシリにも分け前がある。大メディアは決して報じないが、復興予算には、総額30億円超にのぼる「新聞・テレビへの口止め料」が含まれているのだ。
◆赤坂サカスのイベントに補助金
東日本大震災から3ヵ月後の昨年7月から1ヵ月半、TBSは『夏サカス2011〜笑顔の扉〜』と題したイベントの一環で、本社のある複合商業施設・赤坂サカスで被災地の農産品を即売、『旬の食べ頃』など自社のテレビ番組とタイアップして被災地の復興を応援する企画を行った。
実は、そのイベントは農水省の「農産物等消費拡大事業」という復興予算で行われ、イベント関連に525万円、番組に2500万円の補助金が流れていた。
同社は今年9月、赤坂サカスで実施した地産地消の普及イベント(09年実施)で、農水省の補助金に補助対策外の土地使用料やスタッフの人件費などを水増し請求していたことが発覚し、2990万円を返還すると発表した。この復興支援イベントは、農水省の同じ課が担当した同じスキームの事業である。
また、TBSは今年2〜3月にかけて、BS番組『ニッポン美味しい笑顔紀行〜東日本ギョギョうま編〜』を5回にわたって放映。萩本欽一、農水省「お魚大使」のさかなクンらが石巻、気仙沼、釜石など被災地の漁港を回っておいしい魚の食べ方を紹介した。
これも農水省の「食べて応援しよう!」事業であり、復興予算から5250万円の制作・放映料が支払われている。税金丸抱えの復興支援番組である。
テレビ局がスポンサーを募り、自前で被災地支援番組を作るなら異論はない。しかし、復興予算の使い方には優先順位があるはずだ。農水省が、「被災地の魚を食べよう」という宣伝番組に復興予算を注ぎ込む一方で、岩手県大槌漁港は震災の被害が大き過ぎて再建できずに破綻した。それが被災地が切実に必要としている税金の使い方といえるだろうか。
TBSはバラエティ番組『ひるおび!』で、「ココがヘンだよ復興予算」と題して流用問題を取り上げたが、補助金水増し請求までしていた同社はシロアリの同類であり、税金の使途を批判する資格があるとは思えない。
復興予算ではほとんどのキー局で大量のテレビCMが放映された。TOKIOのメンバーが野菜を食べる「食べて応援しよう」のスポットCMは昨年夏に首都圏各局で800回、今年春には全国のテレビ局で1200回放映された。農水省がテレビ局に支払ったCM料は首都圏分で総額7860万円、全国分は8700万円だ。ちなみに、このCMに出演したTOKIOは出演料無料のボランティアだった。復興予算を当てにするばかりのメディアは爪の垢でも煎じて飲んだらどうなのか。
復興予算のメディア対策費はローカル局にも流れていた。
被災地のテレビ局、ラジオ局では復興予算で支援番組が放映されている。例えばテレビ岩手(日本テレビ系)では毎週土曜日『手を、つなごう。岩手』という約3分の内閣府提供番組を放映。番組制作費・放映料は1本80万円で、2年間の総額は4億5200万円。これは生活再建に取り組む被災者を紹介する内容だが、目的は住民支援というよりスポンサー難に苦しむローカル局支援の色合いが強い。
明らかに政権の政権の宣伝としか思えないのが官房長官や政務官が登場する『震災情報官邸発』(後に『政策情報官邸発』に変更)というラジオ番組だ。総予算は3億2000万円で、エフエム東京とTBSラジオが番組制作を受注、岩手、宮城、福島3県のFM、AM局で放送しているが、震災直後には当時の枝野幸男官房長官が登場し、「特定地域の水道水が危険だとか、医師会が特定の商品について放射能に有効だと発表したなど、こうした話も根拠がありません」と呼び掛けた。
記者会見で、「放射能はただちに健康に影響はない」と安全デマを流した枝野氏が、被災者にデマへの注意を喚起しているのは今から振り返れば背筋が寒くなるブラックジョークというほかないが、それ以外にも、この人物は税金を投じたラジオ番組で「参院の議員食堂で風評被害に悩む被災地の農家を支援しようと『被災地支援カレー』をつくった。各省庁の職員食堂にもお願いしている」といった自慢話のオンパレードだった。
野田政権になってからは、野田首相や岡田克也副総理、各大臣が交互に登場して、「これは(消費増税は)社会保障にしか使わない。そのことははっきり申し上げています」(岡田氏)と訴えるなど、いつの間にか復興予算を使った増税アピール番組になっている。
※参考 『政策情報 官邸発』http://www.gov-online.go.jp/pr/media/radio/pjoho/index.html)
ちなみに、看板番組で復興予算流用問題を追及したNHKも、復興予算の恩恵に与っている。
子会社のNHKワールド(国際放送)が総務省の復興予算8億900万円で復興番組を世界に配信する事業を受注しているほか、外務省が復興を世界に紹介するという名目で東北の伝統芸能を記録したNHKスペシャルなどのDVDを1900万円分買い上げてもらう特需があった。
復興予算流用問題の追及番組を消費増税法案の成立まで待って報じた理由が透けて見える。
日本は各国の人々から多くの義援金を貰った。その責任を果たす意味で、NHKは外務省に今回の予算流用のNスペのDVDを一緒に渡して世界に復興の現実を知らせてはどうなのか。
◆自社の編集委員が広告に登場
新聞各社にとっても「政府広報予算」はおいしい。
本誌5月18日号でジャーナリストの佐々木奎一氏と本誌取材班は政府広報をはじめ全省庁が2年間(09〜10年)に使った新聞・テレビなどへの広告料が総額155億円にのぼることを明らかにした。
(※参考「大新聞・テレビを潤す『政府広報』の全貌を初公開!」佐々木奎一氏(ジャーナリスト)と本誌取材班 週刊ポスト2012/05/18号』 http://amba.to/NrOqYz)
佐々木氏の協力のもと昨年分についてあらためて調査すると、その予算が震災関連広告に振り向けられていた。
最初の震災広告は昨年4月29日、読売、朝日、日経に掲載された<復興アクションで応援しよう。>という全面広告。「東北の花見で応援しよう」「省エネ家電で応援しよう」などと呼び掛ける内容だが、政府が払った広告料はこの1回だけで3紙分合計4600万円に達する。税金の無駄遣い以外の何ものでもない。
続いて防災の日の前日(8月30日)に読売、朝日など全国紙や各地方紙に掲載された「減災特集」の記事広告が興味深い。
政府が震災復興にあたって立ち上げた「東日本大震災復興構想会議」の委員には、”メディア界代表”として読売から橋本五郎特別編集委員、朝日は元論説委員の高成田享仙台大学教授が就任していたが、この日の減災政府広告には、読売は橋本氏、朝日は高成田氏を登場させて「減災」について語らせる記事広告となっている。
まるで広告を貰うために構想会議に送り込んだのかと見紛うばかりなのだ。
ちなみに減災広告の広告料は総額2億4641万円だった。これからは一般会計からの拠出だが、「震災復興」を口実としていることに変わりはない。
復興構想会議は提言をまとめた後、昨年11月の13回会議で廃止されたが、読売の橋本氏は最後の会議で、「提言の最後にも、政府がどうやっているのかを厳しく監視すべきであると入れている。その監視機能をちゃんとやってきたのかを私は非常に疑問に思っている」と発言した。
しかし当の読売は、本誌が事業のひとつひとつを裏付け取材して報じるまで、そうした検証取材さえしなかった。政府にとって大メディアから委員を出させたのは、チェックさせないための人質だったわけである。
現在、復興会議の後継機関として政府の復興事業を調査審議する「復興推進委員会」が設置され、読売、朝日にかわって大メディアからは吉田文和共同通信社論説委員長が委員に就任している。その吉田氏は本誌が復興予算流用問題を報じた2日後に開催された推進会議(8月1日)の席上、こう指摘した。
「復興予算は国民の大事な税金であり、復興とは無関係だったり、効果が薄かったり、無駄な使われ方をしていないか厳密に点検する必要がある」
冒頭で指摘したように、新聞もテレビも本誌報道時点で問題を十分認識しながら、結局、シロアリ官僚に復興予算の飴をしゃぶらされて黙認してきたことを裏付ける事実だろう。
復興支援番組も記事広告も「被災者のためになる」と大メディアは言うだろう。だが、それならば補助金を受けてのイベントや広告ではなく、自腹の制作費による報道で情報発信し、それで浮いた税金が被災地のために使われる方がはるかに効果があるだろう。
今になって、朝日は「復興予算 国会主導で検証せよ」(10月6日付)、読売は<復興予算「転用」被災地支援が後回しでは困る>(10月10日付)と社説で批判しているが、その意図を疑わざるを得ない。
それというのも、シロアリたちはすでに復興予算の旨味を喰い尽しつつあり、これから新たに喰いつこうと狙っているのは、より規模が大きい消費増税を当て込んだ「減災」「防災」名目の公共事業だ。国交省は「4兆円事業」といわれる首都高速道路の地中化構想をぶち上げるなど、消費税喰いの布石を打っている。
大メディアが本当にシロアリを監視するなら、次はそこをチェックすべきだ。しかし、<首都高速道路 東京再生につながる改修を>(読売社説10月7日付)と逆に、この新たな利権を推進する立場に立っている。
今の復興予算流用問題だけをクローズアップさせて消費税に踏み込もうとしない大メディアの報道姿勢そのものが、シロアリ官僚と裏で結託した「消費税流用疑惑隠し」なのである。
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「19兆円復興予算をネコババした『泥棒シロアリ役人の悪行』〜福場ひとみ氏(ジャーナリスト)とポスト取材班」週刊ポスト2012/08/10号
http://ameblo.jp/heiwabokenosanbutsu/entry-11315411375.html
http://www.asyura2.com/12/senkyo133/msg/655.html
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