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それは民主主義の否定だ この国を昔の全体主義へ戻す気なのか
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2012/10/11 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
民自公の3党党首会談を開いて「決められる政治」をやれという大新聞の恐るべき主張
臨時国会を開かず、逃げ回っている民主党政権に対し、安倍自民が批判を強めている。なにしろ、野田は党首会談にも応じる気がないからだ。
国会は開かない、話し合いにも応じない。“門前払い”みたいな対応に安倍は「(会談に)応じるのは当たり前だ」とイラ立っている。
そうしたら、大新聞も一緒になって「3党党首会談を早くやれ」と“安倍応援団”に回っている。
朝日新聞は6日の社説で、「首相が選ぶ道はひとつしかない」と断言、「譲るべきは譲って3党の協力体制を改めて確認する。そして早期の臨時国会で懸案を片づけることだ」と主張した。
読売は「野田首相が掲げる『決断する政治』に、明らかに逆行している」と批判、「会談の打診さえしていないのは、政権党の自覚を欠いているのではないか」(6日社説)と切り込んだ。
日経も「党首会談を開き、3党合意を再確認し、懸案処理に取り組む。そうしなければ『決められない政治』に逆戻りだ」(7日社説)と野田をガンガン批判している。
さっさと3党党首会談をやって、特例公債法案や衆院の定数是正について合意しろ。そうやって臨時国会で懸案をどんどん処理しろ。それが「決められる政治」ではないか、と言うのだが、これは恐ろしいことだ。3党で密室談合しろ、と言っているのと同じだからだ。つまり、民主主義の否定である。そんなことを大メディアが大合唱するなんて、異様な光景と言うしかない。
◆密室談合政治を焚きつけるデタラメ
筑波大名誉教授の小林弥六氏はこう言った。
「多くの国民はいったい何のための政権交代だったのかという思いでしょう。3年前の衆院選で、国民は自民ではなく民主を選んだ。ところが、気がついたら、民主と自民で談合政治をやっている。メディアはそれを批判するどころか、安倍新体制になっても3党合意をやれやれ、という。全体主義、翼賛体制を奨励しているようなものですよ。民意を無視して、選挙を争った3党が密室で『決める政治』なんて、民主主義ではありません。戦後の日本を守ってきたのは、国民主権ですが、大マスコミは、その生命線を侵そうとしているのです」
党首会談から逃げて、国会も開こうとしない野田もヒドイが、それと「3党合意で決める政治をやれ」というのは別の話だ。この国の政治と報道は完全に錯乱、倒錯しつつある。何が正しくて、何をやっちゃいけないのか。民主主義の基本をないがしろにしていいわけがない。
◆官僚主導の大連立に戻すことが大新聞のホンネだ
大マスコミがこうなった理由は見えている。何だかんだ言って与野党大連立に持っていきたいのだ。朝日なんてロコツで、「重要なのは、衆参で多数派が異なっても合意形成ができる国会のルールづくりだ」なんて臆面もなく提言している。議会での論戦も選挙による民意も度外視し、談合政治のルールづくりを急げ、と焚(た)きつけているわけだ。トチ狂っているとしか思えないが、これは今に始まったことではない。
消費増税法案の時も、大マスコミは3党合意を評価し、「決められる政治」を大絶賛した。ありもしない解散話で大騒ぎし、アホな自民党をその気にさせ、まんまと天下の悪法、増税法案を可決、成立させてしまった。メディアが民主主義を破壊したようなもので、自己否定のような愚行だが、財務省の毒が回っている彼らは気づかない。揚げ句、この期に及んでも「早く3党合意を!」とけしかけるわけだ。
政治評論家の本澤二郎氏が呆れて言う。
「密室談合が民主主義の否定であるだけではありません。この国の政党は民・自・公だけではないんです。国会も開かず、3党で物事を決めてもいいのか。少数政党の意見、声は聞かないのか。こちらも民主主義の否定で、許されない行為です。大マスコミの主張の裏には、何だかんだ言って自民主導の連立政権に持っていこうという伏線が見え隠れする。野田民主も安倍自民も官僚主導という点では同じ。だったら、さっさとくっついて物事を進めろ、ということでしょう。その物事とは増税であり、原発再稼働であり、TPPになるのでしょうが、国民をバカにするのもほどがあります」
この国のメディアは骨の髄まで腐ってしまった。
◆戦前とまったく変わらない大マスコミの体質
いったん、決まった方向に動き出すと絶対に軌道修正も後戻りもしない。それがこの国の大マスコミの恐ろしいところだ。財務省にマインドコントロールされている彼らは、消費増税をすべし、と書いてきた。だから、それをやる野田を評価する。いくら国民が反対しようが、経済が落ち込もうが見て見ぬフリ。民意否定のデタラメ談合をやっても、「よくやった」となる。一度そうやって談合を評価したものだから、「今度はやるな」ともう言えない。またまた談合政治を「やれやれ」と言う。
検察とグルになって突っ走った小沢事件もそうだった。冤罪と分かっても、小沢叩きを続け、謝罪も検証もしようとしない。ケチなプライドというか、ご都合主義というか、とんでもない無責任体質だ。これがこの国をどれだけ狂わしてきたのか。
政治評論家の森田実氏はこう言った。
「ジャーナリズムとは本来、国民の側に立って、真実を報道するのが基本姿勢なのに、大新聞大テレビは政治権力や官僚機構、アメリカにしっぽを振って、自らも権力の傘に入ろうとしている。大マスコミの堕落、腐敗こそ、今日の日本の最大の恥と言っても過言ではありません」
戦前戦中も、大新聞は翼賛体制を後押しし、勝てっこない戦争を焚きつけ、日本を破滅に導いた。しかし、その反省も口先だけ。だから、いま再び、同じ過ちを繰り返そうとしているのだ。
「大マスコミは、いまや世論を誘導するだけではありません。『早く党首会談をやれ』なんて、政治も自分たちの都合で動かそうとしている。先の大戦の関東軍の役割をメディアが自ら演じているようなものですよ。当時の大新聞も政府や軍部と結びつき、地位や特権を手に入れ、甘い汁を吸っていた。ファシズムを煽(あお)り、好戦的な記事を書けば新聞が売れるという事情もあった。結局、国民のため、社会のためではなく、我欲のために動いているのが、日本の新聞社なんです。そうした体質がちっとも変わっていない。そこが怖くなります」(小林弥六氏=前出)
このままでは、日本はいつか来た道へ逆戻り。その懸念を痛切に感じている国民は増えている。
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