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〈新ポリティカにっぽん〉「尖閣」への対応、誤るな(朝日新聞デジタル)
■早野透(桜美林大教授、元朝日新聞コラムニスト)
9月の2大政党のトップ選びは、民主党は野田佳彦代表の再選、自民党は安倍晋三氏の「総裁再登板」という、いまひとつ新鮮味に欠ける結果で終わった。
民主党の面々は、マニフェスト違反を気にかけつつも、ここまで「消費税増税」で突き進んできたからには、ここは「野田さんで行くほかない」と開き直った気分なのだろう。次の総選挙での苦戦は予想されるけれど、ここでまた移り気に新しい「選挙向けの顔」を選んだりするよりは、ひとつの覚悟が見えたというべきかもしれない。
安倍氏の再登場は、あれれという感じである。党員投票では、石破茂氏が他の4候補の合計を上回って、過半数を得る圧勝をした。国会議員のみの決選投票でひっくり返していいものかどうか。今回、安倍氏は5年前の突然の政権投げ出しを、繰り返しおわびしていたが、来るべき総選挙でもおわびしながら、「もう一度総理大臣にさせて」と演説するのだろうか。
■「問題の存在」認めて外交交渉を
さて、2大政党のトップ選びは、中国で尖閣諸島問題をめぐる反日デモが吹き荒れるなかで行われた。野田首相は、尖閣諸島が日本の領土であることは明々白々、「領有権の問題は存在しない」と言い続けた。安倍氏もまた「領土問題は存在しない」と言い続けた。この点は、野田氏も安倍氏も変わりはなかった。
だが、これほどの騒ぎになっていて、民主党も自民党も「領土問題は存在しない」の一点張りで果たしていいのだろうか。結局はなすすべなく手をこまぬいているだけである。それに引き換え、この間、異彩を放ったのは共産党の志位和夫委員長の動きである。
9月20日、志位氏は首相官邸を訪ね、藤村修官房長官に「外交交渉による尖閣諸島問題の解決を」という提言を手渡した。その趣旨は、「領土問題は存在しない」と棒をのんだように言っているだけでは何も進展しない、中国側に尖閣諸島は日本の領土だと条理をつくした説得もできないし、国際世論に訴えることもできない、「自縄自縛」に陥っている、むしろ「領土に関わる紛争問題が存在する」ことを正面から認めたほうがいいというのである。実際、パナソニックやイオンまで襲われているのだから、「紛争問題」であることを認めて外交交渉に臨むべきだという議論は説得力がある。
志位氏はその翌日、東京の中国大使館を訪ねて、程永華(チョンヨンホワ)駐日大使と会談、「日本への批判を暴力で表すのはよくない」と申し入れるとともに、1895年に日本が「無主物先占」をして以来、中国は1970年までの75年間、一度も異議も抗議もしなかったとして、日本の尖閣諸島領有は正当と主張した。民主党と自民党が遠吠(ぼ)えしている間、共産党は外交交渉に乗り出した形である。
その後、野田首相が国連総会に出かけて「日本は国際法に則(のっと)って領土領海を守る」と演説してみたら、中国の外相は「日本は尖閣諸島を盗み取った」などと演説、これに日本の国連次席大使も反論を余儀なくされて、何のことはない、志位氏が駐日中国大使に言ったことと同じことを主張した。こんなことなら、共産党に外交を任せたほうがいいと皮肉られても仕方ないところである。
「安倍総裁が首相になって、靖国参拝や従軍慰安婦問題でまた変なことを言ってくれなければいいんだがな」と心配するのは、ほかならぬ自民党の大幹部である。中国も韓国も、日本との領土紛争を「国際法」で争えば利あらずと思っているのかもしれない。日本の侵略や植民地支配に絡む「歴史問題」として扱おうとしている。「反ファシスト戦争の勝利を否定」などと責め立てられては、「平和ニッポン」を築いてきたわれわれとしては立つ瀬がない。野田さん、安倍さん、日本側の対応によっては飛んで火にいる夏の虫になりかねないことを心していただきたい。
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