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2012年10月09日 世相を斬る あいば達也
以下の日経BP・田原総一朗の尖閣問題コラムは「野田は稚拙で安倍に期待」と云うコラムなのだが、一部当たりで、一部ハズレと言えるだろう。
たしかに、第一の理由、胡錦濤国家主席のメンツを潰したのは事実だ。その点に異論を挟む人は少ないだろう。石原やネトウヨは別問題だ。外交なのだから、双方の指導者のメンツを重んじる事になるのが筋だが、今回は危ういバランスを揺さぶったのが、日本側にある事実は認めざるを得ない。
そもそも論ではないが、尖閣問題が急浮上したキッカケは前原誠司の毅然たる態度の中国人船長逮捕、起訴である。この問題の解決が腰砕けに終わった事に起因する。危ういバランスにある領土問題においては、理屈は抜きにして、過去の手法を踏襲するのが常識である。仮に、外交の継続原則を破るのであれば、それなりに、重大な決意が伴わなければならない。前原は、そのような準備もせずに、異例の処置を取ったのである。尚且つ、その手柄を持って、クリントン国務長官と会い、こっぴどく怒られ?最終的には、笑い話のような、沖縄地検の不起訴と云う、どうにもならない事態を惹き起した。
その前原の熟考なき振舞いが、行動が伴わない騒乱右翼石原慎太郎の感情に火をつけた。その動きに呼応したのが米国のジャパンハンドラーズに類する勢力である。ここで注意すべきは、筆者もジャパンハンドラーズ=共和党・戦争屋と云うイメージで捉えがちだが、アーミテージは共和党だが、ナイ教授は民主党であることである。つまり、米国の政府中枢においては、日本属国支配は共有する常識であり、共和党も民主党も区別はないのである。
そこで、石原の尖閣東京都買い取と云う珍宣言が生まれたわけだ。ここで田原は、石原の珍宣言を引き取る形で動き出した野田佳彦に、石原と共同謀議するほどの器量はないと断じている。たしかに、謀議と云うより口先介入右翼である石原にグチャグチャにされるのは拙いと云う、外務省の防御姿勢が前面に出てきたわけだ。野田が石原と謀議を計ったかどうか判らないが、石原の珍宣言に、己のプチ帝国主義的思想が刺激された可能性はかなりある。
つまり、野田はその後、政府内の尖閣買い取りによる処理において、実効支配を一段と明確にするために電灯のLED化したい意向だったと漏れ聞く。外交と云うもの、相手国の誤解が原因であると云う主張は、お互いに通用しない次元である。如何に相手に誤解を与えない戦略をとるか、疑惑を持たれる言動を慎みながら、一定の国益を保持するのが常である。その意味では、野田の「国有化」と云う言葉は、中国を刺激し、疑念又は誤解を与えたわけで、野田の、前原に継ぐ失態である。
民間所有からの賃貸と云う図式が、尖閣実効支配と云う事実を曖昧にしてきたわけだが、日本国所有となると、実効支配の構図は明らかに変わって行く。何を構築しようが、すべて政府が決定権を持つ。田原は、安倍が総理になれば、対中関係の打開にも可能になるのではないか、と期待しているが、中国側の受けとめは、そんな単純ではないだろう。危ういうバランスは、既に壊れてしまったわけだし、以前の日中関係に戻るのは容易ではない。だからといって、時間を巻き戻し、閣議決定した国有化の尖閣をチャラにする事も出来ない。アメリカに売り払えれば良いのだが、買う筈もない(笑)。
逆に、中国の誤解であろうがなかろうが、日本への疑念は、なし崩しドミノ現象が起きるに違いないと云う図式だ。連想ゲームのようなものだが、電気設備を改修する。次に緊急漁船避難港を作る。沖縄県警の駐在所が出来る。何らかの加工等々の作業をする。海上自衛隊の巡廻が恒常化する等々に考えが至る。外交は、相手国に、このような杞憂に満ちた連想ゲームをさせないことである。
中国から見ると、自民党政府の方がマシだったのは過去であり、次期政権が自民党に戻っても、ことが改善とは行かないだろうと云う読みに至っている。同一党内で、180度政策が変わるのだから、党が変われば、何が起きるかわからない。まして、安倍がウヤムヤ政策を取ったとして、その次が何をするか判らない。ここは、如何にしても尖閣領土問題は棚から落ちたと理解し行動するのが賢明と云う選択になる。こんな道筋で考えてみると、ちょっとやそっとでは、問題は解決しないだろう。
まぁ、パネッタ国防長官が日中両国に「戦争だけはやめておけよ」と釘を刺したわけだが、日中に領土問題が存在する程度の認識はリップサービスしたに違いない。台湾も、この日本の阿呆行動に便乗する形で、中国に恩を売り、対米においてもプレゼンスを発揮できた。結局、尖閣騒動で利を得ているのは、現状を見る限り、米国と台湾である。利を得たところが仕掛け人と云う理屈で行くと、真犯人はアメリカにと云う結論になるのだが、今回の事象がそうであるかは、今ひとつ判らない。ただ、米国産軍複合体にとっては、商機が増えた事は事実であり、米軍沖縄基地のプレゼンスの価値を、日本人に強く印象づけたのは言うまでもない。蛇足になるが、安倍自民党総裁に期待するは、田原一流の次期有力首相候補へのゴマスリだろう、いつまでもイヤラシイ奴だ。
≪ 民主党政府が理解していない「中国が怒る三つの理由」
先日、ある中国人経営コンサルタントと尖閣諸島をめぐる日中の対立について対談した。彼が語る内容は私の考えと共通する点が多く、とても納得のいくものだった。
■メンツをつぶされた怒り
彼によると、中国政府が尖閣問題について激しく怒っている理由は三つあるという。
一つは、胡錦濤国家主席のメンツが野田佳彦首相によって完全につぶされたこと。二つめは中国を挑発した石原慎太郎東京都知事と野田首相による完全な「共同謀議」であったこと。そして三つめが、「国有化」という言葉の問題である。
第一の理由について、その怒りは私も理解できる。9月9日、ロシア・ウラジオストクで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の会合前 に、野田首相は胡錦濤国家主席と立ち話をした。
野田首相が「日中関係については大局的観点から対応したい」と話しかけると、胡錦濤氏は「中国は(日本が)島を購入することに断固反対する」と怒りをあらわにしたとされる。
ところが、その2日後の11日、政府は尖閣諸島の「国有化」を閣議決定した。APECでの立ち話は一体何だったのか。発言が無視された胡錦濤氏のメンツ は、丸つぶれとなったのである。
■胡錦濤国家主席に情報が伝わらなかった
実は8月31日、山口壯外務副大臣(当時)が中国へ飛んでいる。中国の外交を統括する戴秉国(たいへいこく)国務委員と会い、石原都知事の尖閣購入についての政府見解と国有化方針を説明したとされる。山口副大臣は十分に説明し、戴秉国氏は了解した。それを前提として、野田首相は胡錦濤氏に国有化の話をしたのだ――という説がある。
もしそうだとするならば、なぜ胡錦濤氏は怒ったのか。
その解釈はこうだ。山口外務副大臣は確かに戴秉国氏に会った。しかし、石原都知事の尖閣購入についての政府見解と国有化方針を言ったかどうかは定かではない。言ったとしても、その内容は戴秉国氏から胡錦濤氏にきちんと伝わらなかったのではないか……。
私も同じように見ている。野田首相がAPECで胡錦濤氏と立ち話をしたとき、中国共産党大会の日程すら決められないほど共産党上層部は混乱していた。4 月に失脚した前重慶市トップ・薄熙来氏の処分をめぐり意見の対立があったとされ、それどころではなかったのだ。その混乱のなかで、山口外務副大臣の話は戴秉国氏から胡錦濤氏に伝えられなかった可能性があると思う。
問題は、胡錦濤氏が怒りを表明したにもかかわらず、政府が2日後に閣議決定してしまったことだ。胡錦濤氏の怒りの意味を理解できない民主党政府の稚拙さがそこにある。しかし、こうした問題はよく起きており、民主党政府の情報伝達はずさんとしか言いようがない。
■石原都知事と野田首相の「共同謀議」は買いかぶり
第二の石原都知事と野田首相の「共同謀議」については、中国の明らかな誤解だと私は思っている。石原都知事と野田首相は8月19日に極秘会談を行っている。二人による共同謀議、つまり戦略が緻密に練られたと中国側は見ているようだが、幸か不幸か、野田首相にはそんな戦略を練る能力もなければ度胸もない。 共同謀議という解釈は、中国の日本への「過大評価」ではないか。
中国側はこの共同謀議によって日本が平和外交から戦前の帝国主義外交に転じたと受け取っているのである。
さらに、野田首相は無知だったと言ってもいい。国有化決定の1週間後の9月18日がどのような日か知らなかったのだ。
1931年の9月18日、柳条湖事件が起こり、満州事変の発端となった。満州鉄道の線路が爆破されたのは中国軍の仕業だとされたが、実は関東軍の謀略だった。中国にとって歴史上の重要な日であり、毎年9月18日にはデモが起きている。
その日が近づいていたにもかかわらず、日本政府が国有化を宣言したのは、中国側にしてみれば日本の挑発としか映らない。これは、日頃から中国をシナと呼ぶ石原慎太郎氏の挑発的行為を受けた「共同謀議」に違いない。中国はそう受け止めたというのである。
第三の「国有化」という言葉の捉え方だが、これは日本語と中国語では意味が異なるという。国有化と言うと中国語では「国営化」の意味になり、日本が尖閣諸島で何か事業を行うという意味に捉えたのだという。
■都市と地方の格差は警察力にも表れていた
私は中国人経営コンサルタントに聞いてみた。「それにしても、なぜあんなに激しい反日デモが起きるのか」。日系企業の工場は破壊され、スーパーマーケットやコンビニなどにも甚大な被害が出た。明らかに暴力行為である。
この問題について、彼は、中国の国民は中国共産党の一党支配に対して大きな不満を持っているのだと言う。他の国々では大統領や首相といったトップは選挙によって選ばれるのに、中国の最高指導者はそうではない。だから何か事があれば、不満を爆発させたい。つまり反日デモは、半分は「反政府デモ」なのだというのである。
北京の日本大使館前ですさまじい反日デモが起きたが、中国の人々は本当は天安門広場でデモを行いたかったという。しかし、公安当局は天安門広場でデモをすれば全員逮捕すると言い、日本大使館前では自由にデモをさせた。公安当局が激しい反日デモを誘導したと言ってもよい。
彼によれば、「デモ隊の暴力行為は地方で多く起きている」という。日系企業の工場やスーパーマーケットなどが破壊されたのもすべて地方都市だ。つまり、 地方の警察力がそれほど劣っているということだ。 都市と地方の格差は警察力にも表れており、「それは嘆かわしいことだ。いかに中国の発展が遅れているかの証拠」と彼は語っていた。
■中国は日本企業の撤退を恐れている
9月18日を境にして反日デモは鎮静化したが、これはどう見るべきか。
一つは共産党上層部の内部葛藤、つまり薄熙来事件をめぐる処分がほぼ決着したことが影響していると思われる。中国共産党中央政治局は9月28日に薄熙来氏を最も重い処分の党籍剥奪とすることを決定し、身柄を司法機関に送ることを明らかにした。
もう一つは、反日デモが続くことによって中国経済が受ける損失は大きいと中国政府が判断したことだ。もし日系企業が対中投資を抑制したり、生産や販売の拠点を引き揚げるようなことになったら、中国は大打撃を受ける。日系企業で働いている中国人も失業し、大きな雇用問題になる。中国経済が減速しているいま、明らかにマイナスだ。
中国では労働者の賃金が上昇し、ストライキも多い。日系企業は中国を徐々に引き揚げ、インドネシアやタイ、ベトナム、マレーシアといった東南アジアに拠点を移すことを考え始めている。
中国政府もそれをわかっており、今回の反日デモをきっかけに日本企業の撤退が加速するのを恐れているのである。
■日中関係の改善は安倍晋三氏に期待する
問題は、かつてないほど悪化した日中関係を今後どう改善するかである。私は、自民党総裁に選ばれた安倍晋三氏に期待したい。安倍さんはタカ派だと言われる。「右翼」とも言われるが、それは安倍さんの「趣味」だと私は思っている。
2006年に安倍さんが首相になったとき、私は「趣味はやめなさい」と安倍さんに言った。首相になったらまず中国を訪問し、胡錦濤氏に会うように助言し た。「胡錦濤氏に会うまでは靖国参拝をしないように」とも助言した。
安倍さんはそれを守った。責任あるポストに就いたら「趣味」を捨てるくらいの自覚は持っており、バランス感覚のある政治家だと私は見ている。
安倍さんが2006年10月に訪中・訪韓した後、中国の温家宝首相が2007年4月に「氷を溶かす旅」と言って来日した。つまり、小泉政権で悪化した日中関係を改善したのは安倍さんなのである。
日中両国は対立をやめ、双方が利益を得る戦略的互恵関係を築かなければならない。次期衆院選で自民党が勝ち、安倍政権が誕生したら、日中間に横たわる問題の解決は再び安部さんが行うことになる。安倍さんにはその自覚を持ってもらいたい。 ≫ (日経BPnet:企業経営:田原総一朗の政財界「ここだけの話」)
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