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小沢一郎裁判の原点を探る 「検察審査会メンバーの告白」(第1回)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120807-00000303-gtwo-soci
G2 8月7日(火)12時21分配信
密室での審査はこうしてねじ曲げられた。
小沢一郎裁判の原点・西松建設事件の審査を
担当した検察審査会メンバーが決意の告白。
今西憲之(ジャーナリスト)
4月26日、民主党の小沢一郎が関与したとされる陸山会事件の判決が言い渡される。小沢は、検察審査会が「起訴議決」としたことで、政治資金規正法違反容疑で強制起訴された。
判決は本稿締め切り後になされるが、その判決の如何にかかわらず、この裁判では司法の大問題が露呈している。小沢を強制起訴した「検察審査会」の存在である。
東京地検特捜部の捜査では、小沢が起訴されることはなかった。しかし、その後、小沢を告発した市民団体により不服申し立てがなされ、検察審査会で「起訴相当」の議決を経て「起訴議決」の判断がされた。その結果小沢は、強制起訴され法廷で裁きを受けることになったのである。
検察審査会制度は、選挙権を有する国民の中から抽選で選ばれた人が、嫌疑がある被疑者に対して、起訴するべきかどうかの判断を下すものだ。検察審査会法では「公訴権の実行に関し民意を反映させてその適正を図る」と記され、国民の視点に重きをおいた制度である。
検察審査会は審査会議を開き起訴、不起訴などの相当性を議決する。その中身は非公開だ。明かされるのは、議決内容の要旨や参加した検察審査員の平均年齢などに限られており、大半はベールに包まれている。
今回、私は、小沢裁判と密接な関係のある検察審議会の審査員に選ばれた人物から話を聞くことができた。周辺の関係者への取材も重ねることで、検察審査会の議決の過程が、おぼろげながらも見えてきた。
この人物・Aさんが審査員としてくじで選ばれた東京第三検察審査会は、西松建設の政治資金規正法違反事件について、2度にわたって議決を出している。
司法の一角を担う検察には、絶対的な中立が求められる。しかし、検察審査会という闇の向こうにあったのは、とうてい公平とはいえないものだった。
■検察審査員が告発を決意した理由
この人物、Aさんの手元に〈招集状〉〈出席証明書〉と題された2つの書類がある。平成21年6月16日付。「東京第三検察審査会」と記され、大きな角印も押捺されている。
「この書類がこれほど重い決断を下すものになるとは、最初は想像もしませんでした」(Aさん)
非公開で行われる検察審査会とは何か。検察審査会法は、終戦直後の昭和23年に公布・施行された。
同法により、検察官が不起訴とした事件に対して、検察審査会は3つの議決を行うことができる。検察官の不起訴は正しかったとする「不起訴相当」、不起訴は正しくないという「不起訴不当」、起訴すべきだとする「起訴相当」である。不起訴不当と起訴相当の違いがわかりにくいが、後述する「強制起訴」につながるのは「起訴相当」の議決がなされたときだけだ。
これまでは「起訴相当」と議決されたところで、その後の検察の再捜査で不起訴と判断されるケースは珍しくなかった。議決に法的な拘束力がなかったからだ。
だが、2009年5月に施行された改正検察審査会法で局面は変わる。「起訴相当」と議決された事件については、検察が3ヵ月以内に起訴しなかったり、再捜査した上で不起訴にした場合、再度、検察審査会議にかけられる。そこで2度目の「起訴相当」、つまり「起訴議決」が出ると、検察官役を務める指定弁護士により、自動的に強制起訴となる、起訴議決制度が導入されたのだ。
その一方で、従来の検察審査会の非公開原則は崩れなかった。検察審査会法第44条では、検察審査員、補充員らが検察審査会議での「評議の秘密」を漏らしたときは、6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される罰則規定まである。
それを承知で、Aさんは私に話をしてくれることを決断した。
「検察審査会に求められる役割は、法と証拠を照らしあわせて、国民が自分たちの視点を反映させることだと思います。だが、私が実際に経験した検察審査会は、検察のサジ加減で簡単に議決が左右されてしまう雰囲気があった。事務局にも、公正さに欠けるところがあるように思えました。結果として、くじで選ばれた国民が検察審査会によって、無実の人を罪に陥れる可能性がある。何らかの形で声をあげるべきではないかと思ったのです」(Aさん)
2008年11月か12月だと記憶している。
Aさんのもとに、審査員の候補に選出されたという通知が届いた。封筒の中には、アンケートが同封されており、記入して返送した。
◇
小沢一郎裁判の原点を探る 「検察審査会メンバーの告白」(第2回)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120827-00000303-gtwo-soci
G2 8月27日(月)17時11分配信
今西憲之(ジャーナリスト)
■抽選方式で選任されて
2009年4月になって、Aさんのもとに東京第三検察審査会から、検察審査会に出席を求める通知が届いた。
はじめての出席は5月19日午前10時だった。同検察審査会は、法務省の並びにある東京家庭裁判所と同じ建物に入っていた。送られてきた「招集状」を手に出向いた。
集合したのは大きな会議室。そこに、東京第一検察審査会から東京第六検察審査会までの審査員が100人ほど並んだ。
〈良心に従い公平誠実に職務を行うことを誓います〉
と印刷された宣誓書の書面に、それぞれがサインし、代表者が同じ書面を読み上げた。一つの検察審査会の審査員は、11人。審査員が何らかの理由で欠けることを想定し、補充員が2、3人いたという。
その日は、裁判とは何か、検察審査会の役割とはなどの説明を受けるガイダンスのようなもので、審査会議は開催されなかった。終了後に6000円程度の日当と交通費の支給手続きをとり、家路についた。
6月16日、2度目の招集があり、実際の審査会議が開始された。
「家裁と同じ場所だったので、裁判の法廷のようなところを想像していました。ところが、実際は長い机が三、四台に椅子がある会議室でした。ざっと見たところ、審査員の平均年齢は30代前半で、男性6割、女性4割くらいの比率でした。同じ建物に、東京第一から第六までの検察審査会が同居していました」(Aさん)
最初に挨拶をしたのは、東京第三検察審査会の担当となる、事務局の2人だった。リーダー格の男性は45歳から50歳くらい。もう1人は女性で30歳前後だった。
「男性は落ちついた感じでしたが、女性の方は最近まで裁判所にいたとかで『まだ異動して間もないので、よくわからない』とこぼしていた。素人の審査員をリードする事務方が、よくわからないって、そりゃないだろうと思いましたが……」(Aさん)
その後、審査員がそれぞれ自己紹介をしたうえで、審査員の中から審査会議の議長を選出した。といっても、事務局の男性が、
「議長は○○さん、お願いします」
と指名しただけで、自薦や他薦もなかったし、採決も行われなかった。
■「西松建設の審査をしてもらいます」
次に検察審査会議の日程を審査員で話し合い、月2回・6か月の範囲で実施することに決め、スケジュールの調整を行った。守秘義務について特別な注意はなかった。
「あまり友人とか家族には話さないでという雰囲気はありましたが、具体的な注意はありませんでした。ただし、審査員の名前だけは外部に出さないようにと言われました。しかし、不思議なことにテーブルの上にはそれぞれの名前を記した名札がありましたし、自己紹介でも名前を言っていましたからね」
ちなみに、検察審査会とよく比較されるのは、裁判員制度である。こちらは、法廷でも裁判員を番号で呼び合っている。
雰囲気が変わったのはこの注意の直後のことである。この日、Aさんは、事務局員が、なんとなくそわそわしているように感じていた。おもむろに事務局の男性が言った。
「今日は、皆さんもご存じであろうかと思いますが、あの西松建設について審査をして頂きます」
審査員たちからは「ええ」「あれっ」と小さな声はあがったが、おおむね冷静だったという。その時すでに、審査員たちの着いた長い机の上には、厚さ3センチくらいの資料が置かれていた。Aさんは、かなり分厚いと感じた。事務局から、まずはそれを読むようにと指示された。
■小沢ルートと二階ルート
小沢の陸山会事件につながっていくことになる、西松建設事件とは何か。簡単に説明しておこう。
2008年、東京地検特捜部は、西松建設の海外工事をめぐる不正経理の実態を解明すべく捜査に着手した。西松建設が海外工事で裏金を捻出し、政治家への献金に充当していた疑惑だ。
西松建設の手口はこうだった。「新政治問題研究会」「未来産業研究会」という2つのダミー政治団体を設立して、そこに同社の社員が会費という形で金を納める。この会費は会社から賞与に上乗せして社員に支払われている。国会議員は、その政治団体からの政治資金として届けていた。トンネル献金によって、西松建設という社名が表に出ることを防ぐ手口だ。
小沢は、2003年からの4年間で、2つの政治団体から計3500万円の資金提供を受けていた。小沢のみならず、自民党の森喜朗元首相、二階俊博元経産相、古賀誠元幹事長、国民新党の自見庄三郎金融担当相など、判明しているだけで20人近い議員が献金を受けている。閣僚経験のある「大物」が多くを占めたが、小沢については、悪質性がより際立って報じられた。
東京地検特捜部は、小沢と二階という2つのルートを軸に捜査を開始した。
2009年3月、小沢の政治資金管理団体「陸山会」の会計責任者で公設秘書の大久保隆規容疑者が、政治資金規正法違反容疑で東京地検特捜部に逮捕、起訴される。2つのダミー政治団体からの政治献金を西松建設のものだと知りながら、3500万円を受け取ったという容疑だ。本件では西松建設元社長の国沢幹雄容疑者も逮捕、起訴された。
一方、二階のルートは二階派の政治団体「新しい波」のパーティ券を西松建設の2つのダミー政治団体が購入したというもの。小沢ルートと異なり、二階の政治団体の会計責任者らは不起訴処分、国沢元社長は起訴猶予となった。それを不服だとして、東京第三検察審査会に申し立てがなされ、審査がまわってきたのだ。この二階ルートを審査したのが、Aさんたちだったというわけだ。
「生まれてはじめて、供述調書というものを見ました。正直、最初はなかなか理解できなかった」(Aさん)
供述調書には、「秘」という趣旨のスタンプが押されていた。多くの調書は、二階の秘書や政治資金管理団体の関係者の供述である。パーティ券を購入したのはダミーの政治団体ではなく、西松建設だと知っていたのではないかという争点に対して「知らない」「覚えていない」とはぐらかす内容が記されていたとみられる。
「うまくごまかす供述をしているという印象を受けた」(Aさん)
◇
小沢一郎裁判の原点を探る 「検察審査会メンバーの告白」(第3回)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120910-00000303-gtwo-soci
G2 9月10日(月)21時7分配信
今西憲之(ジャーナリスト)
■特捜検事の説明
分厚い資料を、悪戦苦闘して読み込んでいると、午前11時になって、事件の捜査を担当した検事が審査会に説明にやってきた。東京地検特捜部の木村匡良検事である。西松建設事件と陸山会事件、どちらも捜査の指揮を執った。
木村検事は大柄で、強面だった。
「小沢さんに似たごっつい印象の方でした」(Aさん)
木村検事の説明は、1時間が予定されていた。最初の15分ほど不起訴の理由の説明をした。
「捜査は適正に行われた。きちんと尽くしたが、起訴できなかった」
淡々と、そんな説明に終始した。
だが、供述調書を読んだ審査員の中では、本当に捜査が尽くされたのか疑問を持つ空気があったという。すでに他方の小沢ルートは立件され、元秘書である大久保被告が起訴されていたことは誰もが知っていた。なぜ二階ルートは駄目なのか。
木村検事はこう説明した。小沢ルートの場合、西松建設のダミー政治団体から直接、政治献金として現金がきている。ところが、二階ルートでは、パーティ券の購入が焦点になっており、直接的な現金の授受ではないことが、起訴に至らなかった理由の一つだというのだ。
木村検事は、同じ西松建設元社長が、小沢ルートでは起訴だったのに、二階ルートにおいて起訴猶予とした意味は、あくまで「犯罪の事実はあるが、起訴するほどの必要性がない」ことであると強調した。
質疑に入ると、同じ点に質問が集中したという。
「捜査は尽くされたのか」
そう質問されると、木村検事は、
「国沢を起訴できるだけの材料はある。しかし、国沢はすでに小沢ルートで起訴されており、二階ルートで起訴したところで、量刑に影響しない」
「国沢を起訴すると、裁判所に来てもらうことで負担もかかる」
と、国沢元社長と検察の間で「裏取引」でもあるかのような話までしたというのだ。
■なぜ自民党ルートをやらないか
そんな時、一人の女性が手を挙げた。審査員の中ではかなり若い部類に入り、30歳になるかならないかという年齢だったそうだ。その女性は木村検事に食ってかかるように言った。
「それはおかしい。民主党議員のルートだけを起訴しておいて、起訴できるのに自民党議員のルートはやらないというのは、平等ではない」
しかし、木村検事は「捜査は適正にやっています」と繰り返すばかりだった。
女性の審査員が、畳みかけるように「起訴して、裁判所で判断してもらったほうがいいのでは?」と尋ねても、答えは同じだった。
そんな木村検事にさらなる厳しい意見が飛び出した。比較的年配の審査員が、東京地検の捜査について「特捜部は巨悪を叩くイメージだが、そうではないのか?」と質問した。
すると、木村検事は「何でも起訴する訳じゃない」と返答をよこして、「法と証拠に基づいて起訴するか判断する」と話した。
そこに審査員は反応して、逆に木村検事に迫った。
「足利事件はどうなのですか。志布志事件もありましたよ。冤罪、どうでしょうか」
ムッとした表情で木村検事は「私はその事件には関与していませんから、よくわからない」とかわし、予定の1時間は終わった。
Aさんはこう思ったという。
「民主党だけやってりゃいいんだ、自民党はやらなくてもいい、審査員はごちゃごちゃ言うなやかましい、って感じに思えた。法と証拠で起訴するといいながら、一方で量刑が変わらないから起訴できるがしないという。これはすごい矛盾ですよね。司法試験に合格した頭がいい人が、こんなバカなことを言うのですね」
昼食後、午後1時に再度、集合。事務局から、午前中に渡された資料をもう一度、読むように指示があった。
「最初に資料を渡されたときは、読んでもいま一つ、ピンとこなかった。それが、木村検事の説明で、ポイントがわかってきた。説明を先にしてもらったほうが、ずっとよかった。午後に資料を読み込むと、事件の内容がどんどんと頭に入ってきた」(Aさん)
再度1時間ほど資料を読んだ後、事務局から議長に「そろそろ、審査員のご意見を」と声がかかった。
「では、審査員の皆様からご意見をうかがいましょう」と議長が言葉を発した。
審査員全員が、座っている順にそれぞれ、事件についての意見を述べた。
「検事のプレゼンのなかで『量刑が変わらない』という言葉があったが、おかしいと思った」
「証拠があるというのに、自白して反省している、ついには国沢元社長が裁判所に行くのが負担という理由だけで起訴猶予はどうか。裁判で決めるべき」
献金した国沢元社長についてはそんな意見が共通して出た。多くの審査員も頷いていた。
また、献金された側である、二階の政治資金管理団体「新しい波」の関係者についても、「本当に検察は捜査を尽くしたのか」と疑問視する発言も出たという。
木村検事の説明が印象的だったのか、それについての感想が全体的に多かった。
「審査員が木村検事の説明を『プレゼン』と表現したことが、市井の人たちの感覚がよく出ているなと感じました」(Aさん)
第4回につづく
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