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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2012100802000078.html
2012年10月8日 東京新聞
日本の官僚は本当に賢い。もちろん、その前に「ずる」という接頭語がつくのではあるが。一見、分かりにくい法律や行政文書の中に書かれた短い文言を拡大解釈することなど、朝飯前だろう
▼被災地の再建とは無関係の事業まで、復興予算が使われた実態が次々に明らかになってきた。核融合エネルギーの研究費に約四十二億円、調査捕鯨事業に二十三億円、東京の国立競技場の補修に三億三千万円…。被災地以外の官庁の庁舎改修にも、巨額の費用が投じられたという
▼これは、政府が昨年七月にまとめた復興基本方針に「豊かで活力ある日本全体の再生を実現する」などと書き加えられた成果だ。政治サイドの要求らしいが、復興予算は各省庁が分捕り合戦をする草刈り場と化した
▼被災した中小企業を支援する補助金の交付を求めたグループの約63%が「国の予算が足りない」などの理由で申請を却下された、と本紙が報じている。本当に必要な資金が被災地に回らずして、何のための復興予算なのか。本末転倒である
▼二十五年間に及ぶ増税を国民が許容したのは、予算が震災復興に限って使われると信じていたからだ。官僚は「政府方針の通り」の一点張り。誠実さのかけらもない
▼国の役人に誠実さを求めるのは、八百屋で魚を求めるようなものかもしれない。官僚のやり放題を許している政治の責任は重い。
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