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「橋下維新 大失速の真相」
http://ameblo.jp/heiwabokenosanbutsu/entry-11373118209.html
週刊ポスト2012/10/19号 :大友涼介です。
お祭り騒ぎの民自ダブル党首選と内閣改造ショーの裏で、橋下徹大阪市長率いる「日本維新の会」に異変が起きていた。世論調査では支持率を減らし、党内不和ばかりが報道され、国民が抱いたあの期待感はどこかへ消えてしまったかのようだ。これが総選挙の”台風の目”の実力なのか。「大失速」で見えてきたその「弱さ」と、今こそ問われる「強さ」をレポートする。
◆「真逆を行く橋下と松井」〜ブレーン離反、内部崩壊も
飛ぶ鳥落とす勢いだった橋下維新が急失速している。大メディアは、<維新 人気に陰り>(読売)、<「日本維新」支持率が急落>(産経)など大喜びで報じているが、国政政党『日本維新の会』を立ち上げて参院選準備を進める維新内部に、ここにきて国民の期待に疑問を抱かせる”異変”が起きていることは間違いない。
国民の目には維新の3つの危機が映っている。
1つ目の危機は政治路線の変質だ。
橋下徹大阪市長は「既得権を液状化させる」と公務員労組に支配されていた大阪市政に新風を吹き込み、「大阪から日本を変える」と民自公中心の既成政党に挑戦状を叩きつけた。国民は、既成政党と対決する新しい政治勢力の中核として維新の役割を期待していた。
ところが、維新は同じ「官僚主義政治の打破」を掲げるみんなの党と合流はできないと決別し、改革派首長仲間の河村たかし名古屋市長が率いる減税日本には、「政策が違う。連携できない」(松井一郎大阪府知事)と突き放した。他の改革勢力や地方政党連合とは組まない独自路線を取ったのである。
選挙戦略としてなら、第3極が別々に選挙を戦う選択はあるだろう。が、一方で、橋下氏や松井知事らはこの間、水面下で安倍晋三元首相に「自民党を離党して維新に来て欲しい」と、”党首”にスカウトしようとするなど、自民党勢力との接近を強めてきた。安倍氏は維新入りの打診を断って総裁に返り咲いたが、そうした経緯から、
「橋下維新が既得権擁護の権化ともいえる自民党と組んで改革ができるのだろうか」(みんなの党幹部)
という疑問が出されるのは当然だろう。
民自公という既成政党の対立軸という維新の原点が揺らいでいるように見える。
それが”異変”の始まりだった。
次の危機は政策面の変質である。
「脱原発」は橋下維新の政策の柱だが、突然、脱原発路線を支えてきた大阪府市統合本部のエネルギー戦略会議が「条例の不備」を理由に休止に追い込まれた。
背景には、「維新の国政進出にあたって経済界にも気配りをしておきたい松井知事が、強硬な反原発論者揃いの戦略会議に経済界を怒らせるようなエネルギー戦略を策定されては困るから、口実をつけて休止させようとした」(維新関係者)という脱原発路線の”骨抜き”の思惑があるとされる。橋下市長も「行政である以上、『法律を守らない』とはいえない。だから議会で環境整備する」と、次の定例議会で戦略会議の設置条例を制定するまで休止を受け入れた。
これに同会議の委員である経産省OBの古賀茂明氏や環境学者の飯田哲也氏ら有力な橋下ブレーンたちが「官僚は本当に喜んでいる」(古賀氏のメルマガ)と猛反発して内紛が生じていることは前号で報じた通りだ。
赴任先のロンドンからテレビ電話を通じて戦略会議に参加してきた座長代理、大島堅一立命館大学国際関係学部教授は本誌の取材にこう語った。
「そもそもこの会議は11月頃までに戦略をまとめるために集まった。脱原発ありきではなく、府民や市民の安全のため、安定したエネルギー供給をどうするかを真剣に話し合ってきたわけです。それを知事の判断か、事務局が決めたのかは知らないが、休止だとポーンと投げつけてきた。
橋下さんが休止決定にどこまでかかわっているのかはわからない。しかし、私はともかく、これだけの人材が集まっているのに休止はもったいないと思います。このまま放っておくわけにはいかないから、手弁当でも自主的に会議を続けて、戦略を決定する必要がある。委員たちの労力は大変なことですよ。私だって時差があるのでロンドンからは夜中に参加している。一体、どういうことなんだという思います」
橋下氏の武器は、周囲に改革姿勢と実行力に共鳴した有力なブレーンたちが集まって霞が関に対抗する知恵を出し、改革の推進力となっていることだ。そのブレーンたちが維新の改革姿勢に疑問を抱き、離反の動きさえ見せていることは橋下氏にとって大きな武器を失いかねない危機である。
3つ目は、維新が国政政党化にあたって、民主、自民など既成政党から議員を引き抜き、「落選しそうな議員の救命ボート政党」と見られていることだ。
国会議員の参加を機に、維新内部では不協和音が大きくなっている。大阪維新の会の旗揚げから参加した大阪府議はこう言う。
「大阪維新の会は大阪を変えるために結成した地域政党です。政権を取りたいとか、国政に出るのが目的ではなく、それはあくまで大阪の改革のための手段に過ぎない。橋下市長や松井知事ら執行部にも意思疎通ができていなかったことを反省してもらった」
橋下氏も「国政進出は大阪都構想を実現するため」と維新の府議団、市議団に説明した。だが、それなら維新に参加した松野頼久氏(熊本1区)や石関貴史氏(群馬2区)など大阪以外の国会議員を含めて、維新が全選挙区に擁立する候補者たちは、全国の有権者に「大阪都実現」を訴えるのか。
何のために全国政党を目指すのかという”綱領”が実にわかり難い。
そうした維新の変質の背後に見え隠れするのが、橋下氏と松井知事の方向性の違いだ。自民党寄りの政治路線への転換やエネルギー戦略会議の休止を主導し、さらに衆院選準備の指揮を執っているのも松井氏だ。
維新の地方議員が語る。
「橋下さんは党首で看板だが、いまや組織を握っているのは幹事長の松井氏だ。自民党の府議だった松井氏は安倍総裁に近く、総選挙後には自民党との連立を視野に入れている。だから、反自民のみんなの党や減税日本とは組みたくない。
衆院選の候補者選びでも、2人の方向性は明らかに逆。橋下さんは『国会議員が地元の盆踊りや葬式ばかりに行っている』と定数半減を掲げ、イギリスのように各選挙区に地縁、血縁のない落下傘候補を立て、選挙区への利益誘導政治を排除する理想を持っている。しかし、松井氏は議席拡大のためには各選挙区で一定の地盤を持つ地方議員たちを優先させたいという現実路線で、これまで複数の地方議員をスカウトしてきた」
維新がこのまま理想の旗を降ろし、現実路線に転じるなら、既成政党との違いはなくなる。
◆「”風頼み”の候補者たち」〜人気上昇とともに生まれた「小欲」
そもそも橋下氏の真骨頂は、捨て身の打たれ強さだった。
それを見せつけたのが昨年の大阪W選挙だ。選挙戦の最中にメディアから、「父親が元暴力団員」などと並みの政治家ならそれだけで潰れそうなスキャンダル攻勢を掛けられながら、この”素人政治家”は街頭演説で、
「改革は坊ちゃんやお嬢ちゃんじゃできない。実の父親が暴力団員。結構毛だらけ!実の父親がガス自殺、結構毛だらけ!」
と訴え、圧倒的支持を受けて当選すると、「今の日本の政治で一番重要なのは独裁」といって公務員制度改革や教育制度改革を短期間で実行していったのは記憶に新しい。
あるいは、「コスプレ不倫報道」には、「妻ですか?そらもう相当、怒っていますよ。僕は妻と子どもに謝り続けるしかない」とすぐに謝罪して火を消すしたたかさをみせた。
永田町には全くいないタイプであり、これまでスキャンダルを流すことで都合の悪い政治家を潰したり、または弱みを握ることで操ってきた霞が関にとっても、橋下氏の存在そのものが脅威になったのである。
国政での手腕が未知数な橋下維新がブームを起こしたのは、そうした橋下氏の捨て身の突破力がこの国の閉塞した政治を変えると期待されたからだ。
しかし、維新の人気が上がり、国政進出準備のために組織化を図るにつれて幹部たちには、多くの議席を得て国政で影響力を持ち、権力に近づきたいという「小欲」が生まれた。脱原発の政策を弱めて経済界を含めて多くの支持を取り付けたいし、衆院候補者も政治の素人より「盆踊り」で票を集めてきた地方議員を立てた方が手っ取り早く議席を得ることができる。候補者たちも所詮は維新の看板に引き寄せられた議員希望者だ。それが橋下維新から強さを奪い、弱さをもたらしたのではないか。
事実、維新の失速によって、候補者公募に応じた維新政治塾の塾生たちには大きな動揺が広がっている。
大阪出身の若手塾生はこう悲鳴を上げる。
「早く公募の結果を決めて欲しい。維新に風が吹いているうちにというのもあるし、何よりもどの選挙区から出馬するかを決めてもらわないと準備できない。それに、橋下さんが出馬しなくて戦えるのかという不安も大きい。維新に合流した国会議員たちでは頼りない。われわれ塾生から見ると、あの議員たちは、ホンマは選挙に負けるから維新の看板が欲しくて合流したのが丸見え。本気で維新の改革理念を共有しているとは思えない」
日本維新の会に合流した国会議員をそう批判するが、維新人気をアテにしてバッジをつけたいという打算は塾生たちも変わらない。
40代の地方議員は、公認を得ようと維新の議員団や橋下ブレーンの政治家たちから推薦状を何通も集めて出馬の準備を進めてきた。それが水の泡になりかねないと焦っている。
「維新の会の勢いが失速気味なのは事実。肌で感じる。結局、橋下さんは国政進出にあたって領土問題などで大風呂敷を広げ過ぎて、引っ込みがつかなくなっているんでしょう。それが原因。だから選挙はもっと先の方がいい。橋下さんのことだから、それまでには反転攻勢をかけてくれると思う。なんとかもう一度風を呼び戻して欲しい」
そう藁にもすがる言い方をしたが、「このまま風が止まればどうするか」と質問すると、「公募辞退も考えます。維新の政治能力や戦略に期待して応募したのだから、その能力が中途半端だったら見切りをつけるしかない」という。
維新の公認も決まっていないのに「維新の人気が落ちているところに紙爆弾をやられたらどうしよう」と戦々恐々としている元地方議員や、「会社を辞めてまで公募に応じたのに今、選挙をやらなければ落ちてしまう」と焦りを隠さない塾生もいる。
現職地方議員の30代の塾生は、さらに生々しく本音を語った。
「維新塾には政治の素人とわれわれのような地方議員がいるが、やはり地方議員の方が現実をドライに見ている。たとえば公認をもらっても、維新がこけた場合、『維新を信じられなくなった』と辞退して無所属で出るか、参院選や東京などから都議会選挙に回る選択肢がある。選挙資金も自前だから放り出すのは簡単。国会議員もそうですが、ある程度政治をわかっている地方議員はメリットがないとわかればいつでも逃げ出すことを考えている」
「勇将の下に弱卒なし」というが、候補者たちが風に一喜一憂する弱卒ばかりでは、国政に議席を得たとしても、橋下氏の号令一下、改革に邁進するとは思えないのである。
◆「橋下が狙う”2段階作戦”」〜府政と国政の間での「迷い」
橋下氏の持ち味はそのスピード。方向性を誤ったと判断した時の軌道修正も早い。世論の動きをつかむことに敏感な橋下氏が維新の危機に気付いていないはずがないが、この人らしいアクションが出てこないのである。このところの橋下氏は全く独裁者らしくない。なぜなのか。
大阪市の職員天下りの是非を審査する人事監察委員会委員で、橋下ご意見番の一人、評論家の屋山太郎氏は維新失速の真の原因をこう指摘する。
「橋下氏は戦略を間違えた。維新ブームは橋下自らが引っ張ることに国民は期待したから盛り上がった。ところが、維新がとった戦略は、橋下と松井は国政選挙に出ない代わりに、国会議員団を橋下が市長のまま絶対的な決定権を持ってコントロールするという中途半端なやり方だった。
出てきた議員たちの顔ぶれもみすぼらしい。松野は鳩山側近だったのに、離党して維新に入るなど何を考えているのかわからん。松浪健太は無名。あとはもっと無名。総選挙では東国原英夫が目玉候補というが、東国原なんて(宮崎の)マンゴーを売っただけだろう。政策討論会でも目を見張るような意見を言う者はいなかった。せめて60〜70人の国会議員から選ぶならそれなりの人材が集まるだろうが、現在の10人足らずの国会議員団が橋下の遠隔操作で国政を変えると言われても、国民は注目しない。失速は当然です」
橋下氏は一貫して衆院選出馬を否定してきたが、出馬したくても決断できない事情があるという。
「橋下氏が国政に出馬すれば、反橋下勢力は後継市長選に平松邦夫前市長を立てて巻き返しに出てくるはずだ。大阪の改革はまだ道半ばだから、橋下路線を引き継いで平松に勝てる強力な後継者がいることが橋下氏が国政に出る絶対条件になるが、それが見当たらない。”大阪城”の本丸を奪われたら都構想は実現できない。だから府議団や市議団は橋下国政出馬を認めない。橋下氏は今では自身の国政出馬は大阪改革で実績を挙げてからでいいと2段階戦略に傾いているようだ」(ブレーンの1人)
しがらみに囚われてしまったのか。
前出の屋山氏が続ける。
「国政取りに動き始めてから橋下の持ち味の改革のスピード感が見えなくなった。この状態からどうやって態勢を立て直し、挽回していくか。橋下の真価が問われるといえるでしょう」
◆「既成政党とメディアの”結託”」〜「上げて落とす」が常套手段
しかしながら、橋下維新の失速は、国民が総選挙で民自公に代わる第3極の大きな選択肢を失うことにつながる。
それこそが大メディアや既成政党、霞が関の狙いだ。
大メディアの失速報道の根拠は支持率調査だが、一連の報道には露骨とも言える世論捜査が行われていた。維新の会の快進撃を最初に報じたのは読売新聞だった。
<比例投票先、維新2位 本社世論調査に衝撃>(8月14日付)
という見出しで次期衆院選の比例代表の投票先で維新が16%を取り、自民党(21%)に次ぐ2位に浮上したことを報じた。
産経新聞は9月はじめのFNNとの合同世論調査で追撃した。
<維新の勢い全国に 比例5ブロックで単独首位>(9月4日付)
こちらは比例の投票先で維新が23・8%と自民を上回り、地盤の近畿ブロックだけではなく、北海道や東北、東海、四国で”第一党”となったことを報じている。
しかし、これをピークに、民主党と自民党のW党首選に注目が集まると、維新が支持率を落とした。新聞・テレビでW党首選を書き立てたのだから、維新への関心が霞むのは当然なのだが、興味深いのは読売の論調だ。
同紙は、9月30日付紙面でいきなり<維新 人気に陰り>と打った。ところが、同紙の9月調査(15〜17日)では比例投票先では維新が16%の2位のままで「衝撃」と報じた8月調査と変わっていない。
なぜ、読売は「人気に陰り」と報じたのか。
その根拠は記事ではこう書かれている。
<一部報道機関の9月の調査では、「維新の会に期待する」との回答が前月から15ポイント近く下落。特に首都圏での支持の伸び悩みを示す調査結果も公表された。こうした「陰り」の原因は、政策にあるとの見方が出ている>として、消費税の地方税化や衆院議員定数半減という維新の衆院公約を「地方偏重」、「人気取り」で「実現性に乏しい」と批判した。
実は、読売が10月の全国世論調査を実施したのは、この報道翌日の10月1日と2日。その結果、維新の支持(比例投票先)は13%と、9月調査に比べて3ポイント下がっている。
世論調査前日に、わざわざ他紙(9月26、27日に調査した日経と思われる)の調査を引用して「人気に陰り」と読者に先入観を植え付けるのは、世論誘導そのものではないか。よほど維新旋風を止めたかったのだろう。
読売は10月3日付紙面で、件の調査を基に<民・自に党首選効果>と野田内閣と民主党、自民党の支持率が揃って上昇したという既成政党が小躍りする結果を報じた。が、両党の内実は全く違う。
民主党では離党者が相次いでおり、あと9人減ると野田政権は衆院過半数割れとなり、「不信任案可決 → 政権崩壊」が秒読みとなる。そのため、維新からの議員引き抜きを恐れ、内閣改造では選挙に弱いベテランを大臣に並べ、比例復活当選組や離党予備軍を副大臣、政務官に起用して離党食い止めに躍起になっている。
「これから年末に掛けて離党や新党結成が相次ぐと見られている。執行部はそれを防ごうと議員に配る支部交付金や活動費の増額を検討している。最後はカネでつなぎとめようというわけだ」(反執行部派議員)
自民党も事情は似ている。政党支持率は上がったとはいえ、世論調査では安倍新総裁に「期待しない」という声が54%(朝日)、53%(読売)といずれも過半数だ。こちらも落選中の元職や新人が維新に入党したがっている。
「安倍さんの不支持率が高過ぎる。これで新総裁就任のご祝儀がなくなれば、総裁効果で上がった政党支持率もガタ落ちする。安倍さんの賞味期限が切れる前に、維新の勢いを止めておく必要がある」(選対幹部)
維新への鞍替え予備軍を抱える民主党や自民党の幹部たちは異口同音に、「維新人気はピークを超えた。あとは下がる一方だから、維新に走った連中はバカを見る」と大メディアの維新支持率急落報道を援軍にして党内引き締めをはかっているのだ。まさにメディアと民自が一体となってW党首選を盛り上げ、維新の支持を減らして既成政党を守っている光景である。
BS11報道局の鈴木哲夫氏は一連の維新報道についてこう指摘する。
「権力監視を免罪符にして世論調査で持ち上げ、その後、突き落とすのはメディアの常套手段です。橋下維新に一時ほどの勢いがなくなっているのは、国民が離れたのではなく、維新が自民党など既成政党に近づき過ぎたことにお灸を据えたのではないか」
では、維新が国民の期待を再び高めるには何が必要なのか。
◆「橋下出馬」なら100議席 〜まずは維新の会の”独裁者”に
問われるのは一にも二にも橋下氏自身の覚悟である。
前出の屋山氏は直言する。
「橋下には強い反撃力がある。彼自身が出て論争すれば、負けたことがない。ここは、覚悟を決めて本人が先頭に立つべきではないか」
橋下氏が迷いを振り切って国政に出馬し、大阪市政改革で示したように、あくまで既成勢力と対決し、この国の統治機構を改革するという原点をはっきりさせる。橋下改革を変質させる幹部や地方議員、国会議員に「ついて来られないならついて来なくて結構だ」と迫って、捨て身で改革に投じるメンバーだけを引き連れて国政に挑む。橋下氏自身が「この国には独裁者が必要」と語ったように、維新を完全掌握する独裁党首になれない政治家が、この国の統治機構の改革に取り組めるはずがないのである。
総選挙での維新の議席やその後の影響力も、橋下氏が出馬する場合としない場合では大きく違ってくる。
選挙情勢分析に定評のある政治ジャーナリスト野上忠興氏はこう読む。
「橋下氏が出馬しない場合、維新がたとえ全国に候補者を擁立しても、勢力圏は近畿ブロックを中心とする限定的な地方政党にとどまるはずです。大阪市長が党首の政党が、大阪改革のために票をくれといっても、東京をはじめ全国の有権者はかえって失望する。議席もせいぜい30〜40議席にとどまるのではないか」
逆に橋下氏が大阪を飛び出せばどうなるか。
「経済の地盤沈下が著しいという課題は大阪だけではなく、どの地方も直面している。橋下氏の大阪都構想の実験は、現在の中央集権の統治機構を改革し、地方が権限を持って独自に地域の浮揚をはかる分権国家の発想です。大阪のためではなく、改革を全国に広げるために総理大臣になるのだと前面に出せば、相当な共感を呼ぶ可能性がある。維新の個別の候補者の力がどうであれ、橋下氏個人の決意ひとつで、維新は100議席を超えて政界のキャスティングボードを握る可能性は十分にあると分析している」(野上氏)
維新八策を掲げて全国に候補者を擁立すると豪語した橋下氏は、国民の期待に応える責任がある。もはや「自分の出番は次の次。国政改革は国会議員団に任せる」という逃げは通用しないのだ。
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