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http://mainichi.jp/opinion/news/20121006ddm012070011000c.html
毎日新聞 2012年10月06日 東京朝刊
◇次の選挙、カギに
先日の日曜日、TBSテレビの「サンデーモーニング」をぼんやり眺めていました。日曜朝ですから、まだ十分に目覚めていない頭なんですね。でも、この人の発言にはオヨヨ、と思わずテレビ画面にくぎ付けになりました。「自民党はずいぶん幅の狭い政党になったもんですねえ。保守の中の右翼ばかりだ」
河野洋平さんが話題にしているのは自民党総裁選の5人の候補のことです。順不同で並べておくと、安倍晋三、町村信孝、石原伸晃、石破茂、林芳正の各氏です。
私が「うん、河野さん、よく言った!」と思わずひざを打ったのは、国民・有権者が今回の総裁選全体に漂う、そこはかとなきある種の空気を感じていると思っていたからです。
5人の候補はいずれも異口同音に主張しました。「集団的自衛権の行使を認めるべきだ」
安倍さんはさらに一歩踏み込んで「国防軍をつくる」と言い、確か石破さんも同様のことを発言されていたのを記憶しています。尖閣諸島の問題で日中間が険悪な状態になっている折から、なんとも勇ましく、心地よい響きになりそうで心配ですね。
河野さんがあえて“右翼”と5人の候補を断じたのも、自民党の歴史を知る者には当然に映ります。というのは50年以上にわたる自民党政権下では、憲法9条の精神に照らして「集団的自衛権は保有するが、これは行使しない」という解釈を守り通して来られたからです。もちろん、自民党の中の一部タカ派=右翼的傾向の政治家はこれに抵抗してきました。しかし、自民党政権期間中はどういう政治家が総理になってもこの「集団的自衛権は行使しない」という基本方針は守られてきました。
現実はどうでしょう。実は小泉(純一郎)政権下、日本の自衛隊はイラクの戦場に送られ、特に航空自衛隊の輸送機は米軍兵士をイラク内で運んでいました。これは立派な戦闘行為への参加です。事実上「集団的自衛権」は行使されていたのですね。
集団的自衛権の行使に日本が強い歯止めをかけたのには理由があります。過去の世界大戦の歴史を見れば、これこそが戦火拡大の最大の原因だからです。もし、自民党が再び返り咲き、安倍総理になったらどうなるのでしょう。次の選挙がカギです。
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