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http://mainichi.jp/select/news/20121004mog00m040043000c.html
2012年10月04日 毎日新聞
9月初めに毎日新聞社から刊行された郷原信郎氏の新著「検察崩壊 失われた正義」は、一連の「小沢事件」の中で、東京地検特捜部で起きた虚偽公文書作成事件と、その事件に対する検察の不祥事対応の拙劣さをテーマとした、対談形式のノンフィクション。発売前からツイッター、ブログ等を通じて話題となり、Amazonでも上位にランクイン、1カ月たった現在も売れ行きは好調だ。著者である郷原氏に話を聞いた。
◇なぜ「検察崩壊」がこれほど注目を集めるのか?
−−「検察崩壊」が好調な売れ行きです。
郷原 発売前からAmazonに予約が殺到しました。本の全体のランキングでも10位前後が1週間も続くという、検察問題という比較的硬いジャンルの本にしては異常な注目を集めました。今回の事態に影響しているのは、今夏に大ベストセラーとなった孫崎享さんの「戦後史の正体」ではないか。そこでは、アメリカが日本の戦後史にどのような影響を与えたのか、これまで国民に知らされてこなかった事実が明らかにされています。今、この国が全体として大変な閉塞(へいそく)状況になる中、これまで知らされていなかったことを知りたいという国民の欲求が、メディアの中でも、“真実が記された書籍”への注目という形で噴出しているのではないか。「検察崩壊」にも、検察というベールに包まれた権力集団の実態について本当のことを知りたいという読者の強い思いが向けられたのだと見るべきだと思います。
−−今回の本は、検察組織の犯罪と、それにまつわるうそを暴くという内容です。
郷原 小沢一郎氏の事件は、政治資金収支報告書の虚偽記載についての、小沢氏と秘書との共謀が事件の最大の争点です。それに関して最も重要な立場にあったのが元秘書で衆議院議員の石川知裕氏、その取り調べを行ったのが東京地検特捜部の田代政弘検事でした。田代検事が取り調べについて記した報告書に実際にはなかったやりとりを記載し、事実に反する報告書を作りました。その報告書が検察審査会に提出され、小沢氏を起訴すべきだとする起訴議決に重大な影響を与えたのが今回の事件です。
この本では、本件についての直接・間接の当事者である4人の方が対談相手として登場しています。小川敏夫・元法務大臣、石川知裕・衆院議員、大坪弘道・元大阪地検特捜部長、市民団体「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」代表の八木啓代氏です。
石川氏との対談では、石川氏が取調室に持ち込んだボイスレコーダーを起こした反訳書から田代検事の取り調べの真相が明らかになります。石川氏が一連の取り調べの最初から、「政治資金収支報告書の内容については、年末に一応おおまかな事を報告しただけで、ほとんど具体的には報告・了承を行っていない」と一貫して言っているのに、田代検事は、「それでは上司が納得しない」「この程度の調書の記載であれば小沢さんは起訴されない」とずっと言い続け、なんとかだましだまし、石川氏に調書に署名をさせた。そういった経過であることを、田代検事自身が、反訳書の中では自白しているわけです。つまり、田代検事の報告書というのは、細部どころか、その全体がデッチ上げの文書だったのです。
◇普通の市民までが、検察の捜査・処分の対象に
−−大阪地検特捜部でのFD改ざん事件に続いて起きたのが、今回の事件です。
郷原 田代検事の虚偽公文書作成を検察幹部が認識したのは、2011年1月、つまり大阪地検での不祥事を、検察が組織として受けとめ、まさに抜本的な改革に向けて動き出していた頃のこと。それにもかかわらず、市民団体からの告発を受けるまでこの問題を隠蔽(いんぺい)・放置し、さらに今回のようなごまかしだらけの不祥事対応を行った。今や、検察の信頼回復は絶望的な状況です。対談の中でも、小川氏は、「検察は今後50年間信頼を回復できない」と検察の姿勢を厳しく批判しています。また、今回のような事態にならないようにするために、国民が納得できるような徹底した捜査・処分を行うよう求める指揮権の発動を行おうとしていたと述べています。
−−今後、検察はどうなっていくでしょう。
郷原 検察は組織として、時に重要な意思決定を行います。その意思決定によっては、社会、政治、経済に対して非常に大きな影響を与えることもあり得る。ところが、今回の問題に対する検察の対応で、検察には、組織としての適切な判断、対応が全く期待できないことがあらわになった。検察内部やOBからの反応でも、「検察崩壊」を読んで初めて今回の問題の深刻さがわかったというものが実に多い。
このような状況の特捜検察は、本来の役割である政治権力を持った人、経済社会の中の中心人物に捜査を向けていくための力をなくしてしまう。そして、権力を持たない弱者、たとえば中小企業で仕事をしているような普通の市民が、検察の捜査・処分の対象にされるということもあり得る。それを端的に示す事例も最近発生しています。検察の問題は、今や日本の社会にとって極めて重大で深刻な問題。今回の本を多くの方に読んでいただき、検察の信頼の崩壊という絶望的な状況について、現状認識をしていただきたい。(インタビュー・小川 和久)
プロフィル 郷原信郎(ごうはら・のぶお) 1955年松江市生まれ。弁護士。東京地検特捜部、長崎地検次席検事、法務省法務総合研究所総括研究官などを経て、2006年弁護士登録。08年郷原総合法律事務所開設(現・郷原総合コンプライアンス法律事務所)。関西大学特別任用教授。総務省顧問、IHI社外監査役。日本における組織のコンプライアンス問題の第一人者。
◇郷原信郎さんの登場するトークイベントが開催されます。詳細は以下の通り。
毎日新聞社刊「検察崩壊」・講談社刊「四〇〇万企業が哭いている」刊行記念 郷原信郎さん・石塚健司さんトーク&サイン会
日時:2012年10月16日(火)午後7時半〜8時30分(開場:午後6時30分)
場所:八重洲ブックセンタ−本店 8階ギャラリー
参加費:無料
定員:80名(申込先着順)*定員になり次第、締め切り
お電話による申し込みは…八重洲ブックセンター:03−3281−8201
主催:八重洲ブックセンター
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