http://www.asyura2.com/12/senkyo136/msg/742.html
Tweet |
(回答先: 遺族・慶田城さんに聞く 政治に利用される尖閣戦没者(朝日新聞) 投稿者 gataro 日時 2012 年 10 月 05 日 22:25:26)
http://digital.asahi.com/articles/TKY201210020550.html
死者を領土主張に絡める危うさ 哲学者・高橋哲哉さん(朝日新聞)
死者の追悼は、常に政治的に利用される可能性があります。とりわけ戦争の死者については、集団的、公共的に追悼することによってナショナリズムを高め、国民統合をはかる手段として使われてきた。「英霊の死を無駄にするな」という掛け声のもと、人びとを戦争に駆り立てていくことは洋の東西を問わず古くからあり、日本の場合は、その中心に靖国神社が存在してきました。
靖国神社に祀(まつ)られているのはほとんどが軍人、軍属ですが、沖縄戦の死者は例外です。沖縄戦では膨大な数の民間人が亡くなっていますが、その中には集団自決を強いられた人など、むしろ日本軍の被害者と言っていい人たちも存在します。しかし政府は、戦闘参加者として申請すれば援護金を出すし、靖国神社にも祀られますよという形で、どんどん「英霊化」を進めていった。そうすることによって、沖縄戦で民間人が被った悲劇もまた、「英霊の死を無駄にするな」という国家主義的な主張の礎となり得るわけです。
それと似た構図が、今回の尖閣沖での慰霊祭にみて取れます。尖閣諸島で戦争中に悲惨な出来事があったことを、私を含め本土のほとんどの人は知らなかったでしょう。ところが石原慎太郎都知事が尖閣諸島を購入する意向を示したことをきっかけに、にわかに注目され、魚釣島で慰霊祭をやるべきだと声高に言う人たちが出てきた。尖閣諸島は日本の領土であると主張するために、死者が英霊化されようとしていると言っていいと思います。
戦死者の記憶と領土問題を重ねるという、これまで戦争の口実に使われてきた論理をそのまま使い、危険なナショナリズムの政治に足を踏み出している。非常に憂慮されるべき事態です。しかし在京メディアを見る限り、慰霊祭が政治的に利用されているのではないかということは等閑視され、香港の活動家が8月15日に魚釣島に上陸した、これに対抗して日本側も上陸して反撃したのだ、という図式で報道していた。一部には喝采すらにじんでいたように感じます。
もともと戦争の死者は聖域化されやすい。だからこそメディアがひとつひとつ批判的に検証し、政治利用の歯止めとならなければならないのに、その役割を果たせていない。現状のままでは、あおられる中国脅威論と中国官民の強い反発を前に、国内のナショナリスティックな空気はさらに強まっていくと思います。(構成・高橋純子)
◇
たかはし・てつや 56年生まれ。東京大教授。著書に「戦後責任論」「靖国問題」「犠牲のシステム 福島・沖縄」など。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK136掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。