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http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE89302K20121004
[東京 4日 ロイター]
複数の関係者によると、石原慎太郎東京都知事は、尖閣諸島(中国名・釣魚島)の購入代金として東京都に集まった寄付金を尖閣諸島の施設建設に充てるための動きを強めている。すでに自民党などに接触しており、実際に動き出せば日中関係の新たな火種になる可能性がある。
尖閣諸島の購入代金として東京都に集まった個人などからの資金は総額約15億円にのぼる。国が尖閣諸島を地権者から購入したため、これらの資金は残されたままだ。東京都ではこれらの資金を尖閣諸島が有効に活用されるための施設に充当する考えをすでに示している。
しかし、野田政権は新たな施設の建設には慎重だ。尖閣諸島購入に際しても「長期にわたる平穏かつ安定的な維持管理を図る」(藤村修官房長官)としており、現時点でそのような施設を設置する考えは示していない。玄葉光一郎外相も、島に施設を作ることに関する政府の考えを聞かれ「平穏かつ安定的な維持管理を現時点で行っていると考えている、というのが私の答えだ」と述べるにとどめている。
これに対して、石原知事は9月、尖閣購入の寄付金に関して、こうした国民の志に応える政権であればその資金を託すとして、自民党総裁選の立候補者に尖閣諸島についての公開質問状を送り、所見を求めた。
安倍晋三候補(当時)は尖閣諸島への船溜まりなどの施設建設について「零細漁民のための船だまりの設置などを検討する」と回答。石破茂候補(同)も「まず地元漁業者からの要望の多い無線中継基地、船だまりなどを設置し、安定的で安全な漁業活動を支援することが考えられる」としている。
その際、猪瀬直樹副知事はロイターに対し「石破あるいは安倍政権となれば、その時に船だまりの費用をこちらから出す。電波塔や灯台もそのお金を使う」と語っている。
複数の関係者によると、石原知事側は、自民党に接触し、尖閣諸島購入・活用資金として寄付を受けた15億円で電波塔や灯台建設などの資金に充当してもらうことについて協議した。石原知事は先月、「政権は変わるだろう。新政権がインフラを造る決心をしたら基金として渡す」と述べている。
自民党の山東昭子参議院議員は、石原知事が野田首相と二人で会った際、尖閣諸島で漁民の利益になるような建設プロジェクトをしたらどうかと問いかけたが、野田氏は何も答えることができなかった、とした。そのうえで、同議員は、自民党が政権を取ることが前提だが「安倍氏も石破氏も考え方は石原氏(都知事)に近く、心は一つだと思う」と述べた。
自民党の政調関係者は「領土問題についても、総裁になった安倍氏の考えが党の政策に反映されていくだろう」と話している。
政策研究大学院大学の道下徳成准教授は「(尖閣に)灯台を建てたらまた今回のような状態になるおそれがある。中国が強く反応して、デモなどが起こり、また日本企業が襲われたりする恐れもある」と指摘している。
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