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2012年10月03日 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
◆「眞紀子節は賞味期限切れ、もう聞きたくもない」と言いつつ、「怖いもの見たさ」の心理に取りつかれたマスメディアが、田中眞紀子文部科学相を盛んに追いかけ回している。早くも出始めた内閣不一致の不規則発言に冷や冷やしながら、田中眞紀子文科相を抜擢した野田佳彦首相は、次期総選挙まで大過なく時間が過ぎることをひたすら願っている様子だ。
というのは、この人事の最大の目的が、「眞紀子節」の発信力と起爆力を次期総選挙で使うことにあり、野田佳彦首相は、文科相として活躍することなど、ちっとも期待していないからだ。
いまや支持率が回復基調にある野党第1党の自民党、これに対して、「落ち目の勘太郎」ならぬ消滅寸前の民主党は、守りの姿勢にあり、攻め手を欠いている。そこで、せめてもの攻撃の武器として、「眞紀子節」を使おうと考えた。
自民党の小泉進次郎青年局長が、弱冠31歳のイケメン若武者のうえ、父親・小泉純一郎元首相譲りの歯切れの良い、さわやかな演説力で、全国各地の女性群の心をつかんで、人気絶頂の最中にあり、自民党の支持率アップに貢献している。このまま行けば、民主党は沈没するばかりである。
要するに、田中眞紀子文科相を小泉進次郎青年局長にぶっつけて、その発信力と起爆力により、小泉進次郎青年局長を圧倒して、民主党への支持率アップと当選者の増加を図ろうという戦略戦術である。早稲田大学政経学部卒の野田佳彦首相は、早稲田大学文学部卒の大先輩である田中眞紀子文科相に同窓の誼から頼ったのである。
◆「68歳、田中眞紀子文科相VS31歳、小泉進次郎青年局長」の戦いは、果たしてどちらが勝つか。2001年4月の自民党総裁選挙で、田中眞紀子文科相は、小泉純一郎候補を担ぎ上げて、選挙資金提供を含めて物心ともに全面支援し、「小泉純一郎首相の生みの母」となった。その論功行賞により、外務大臣のポストを射止めることができたのである。
ところが、自業自得とはいえ、小泉純一郎首相にあっさりと首を切られてしまう。以後、「眞紀子節」は、「恨み節」へと変わった。
怨念を抱き続けて早や10年になる。この小泉純一郎首相に対する恨みを総選挙戦場で晴らすチャンスを得た。相まみえる相手は、小泉純一郎首相の愛児である二男の小泉進次郎青年局長である。年齢差は、37歳。文字通り、親子のような関係である。それだけに、恨み骨髄の相手の息子との戦いに、怪しげな情念をメラメラと燃やしているのだ。
◆さて、この勝負は、果たしてどちらが勝つか。答は、決まっている。「小泉進次郎青年局長」である。確かに、眞紀子節は、大きな起爆力を持って炸裂するに違いない。だが、国民有権者の多くが覚えているように、面白、おかしく相手の人格を攻撃して、徹底的にこき下ろし、打ちのめそうとして、口汚く罵る。はっきり言って、下品である。
私は1994年11月、「ズバリ眞紀子節―田中眞紀子は、父・角栄を超えられるか」(こう書房刊)を上梓した。このなかで田中眞紀子文科相の発言録を掲載した。その後も、盛んに舌鋒鋭く毒気のある言葉を吐き続けた。たとえば、以下のような具合である。
「軍人、変人、凡人」「人間には、敵か、家族か、使用人の3種類しかいない」「何も知らないお姫様が神輿に担がれて選挙している」「そんな家柄の悪いのはダメ!」「スカートを踏んづけられていたので、後ろを振り返ってみると、言っている本人(小泉)だった」
「小泉首相はいつまでもリチャード・ギアとダンスでも踊ってりゃいいのよ」「本当にあの人(小泉首相)はアメリカ大好き」「『もなか』だか『おなか』だか」 「静かじゃない人」「蜃気楼」
これに対して、小泉進次郎青年局長は、青年らしく、さわやかな弁舌で、政策を語り、日本の進むべき道を示して、多くの聴衆を魅了していく。そのなかから、「小泉進次郎追っかけファン」が続出する。たとえ政敵であろうと、相手を口汚く批判することはしない。しっかりと礼節を守っている。こうした姿勢が、好感をもたれるのである。この積み重ねにより、自民党の党勢は、回復し伸長し続けていく。
この結果、次期総選挙では、小泉進次郎青年局長に軍配が上がることになる。その光景は、すでに目に見えている。野田佳彦首相が、「ミスキャストだった」と気づいたときは、もはや手遅れになっていることだろう。
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