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東京新聞「こちら特報部」9月29日 「日々担々」資料ブログ
自民党総裁選で石破茂幹事長は党員票でトップに立ったにもかかわらず、国会議員票が伸びず、敗北した。簡単に言ってしまえば、石破氏は自民党国会議員に好かれていないということだ。論客、政策通と言われながら、同僚、長老議員に、なぜ嫌われてしまうのか。二十八日に幹事長になった石破氏には面白くないだろうが、その原因を探る。 (佐藤圭、林啓太)
◆長老の目には「かわいげない」
石破氏に対し、頭は良さそうだが、情より理が優先し、下働きを嫌い、権力志向を隠さないガツガツした政治家と、自民党の国会議員には映る。自民党の美徳とされる「長幼の序」「和」「情」と石破氏のイメージは離れている。
特に石破氏を嫌っているのは長老議員だ。何かと相談にくる石原伸晃前幹事長に比べると、ろくにあいさつもしないとされる石破氏は「かわいげがない」と感じてしまう。
政策通の石破氏の説明能力には「論客」としての定評があるが、これも党長老や同僚議員にしてみれば、「高圧的」「人を見下した感じ」に受け取られる。石破氏の過剰に丁寧で、論を切々と説く話し方に対しても、同じ政治家は、バカにされているように聞こえてしまうようだ。
過去の離党歴なども、その時々の時流や、自分の権力志向によって平気で人を裏切る人物ではないかとの疑念を抱かせる材料になっている。
森喜朗元首相は「何度も党を変えるというのは、辛抱がないということだ」と公言してはばからない。石破氏は、森氏が幹事長だった一九九三年、政治改革をめぐって離党。新進党の結党に参加するものの、九七年、自民党に復党している。野党転落後に自民党を捨てて出て行った過去はいつまでも消えない。森氏には「(石破氏は)『こんな党にいても何もできない』とたんかを切って出て行った」と個人的な恨みが深い。
石破氏がかつて所属していた額賀派に影響力のある青木幹雄元参院議員会長らには「復党後に拾ってあげたのに感謝の気持ちがない」との感情も根強いという。
石破氏は二〇〇八年の総裁選に出馬した際、額賀派の前身である津島派の支援を受けた。ところが〇九年の政調会長就任を機に額賀派を離脱し、昨年十二月に派閥横断型の政策勉強会をつくった。石破氏は今回の総裁選で「小選挙区制で派閥の影響力が薄れていくのは必然だ」と派閥批判を展開した。
中堅クラス以上には、石破氏が復党組にもかかわらず、防衛相、農相、政調会長を歴任したことへのやっかみもある。
ある自民党関係者は「石破氏は、たいして雑巾がけもしないまま離党し、復党したら日の当たるところばかり歩いてきた」と指摘。若手の時からテレビに積極的に出演するやり方も古いタイプの政治家には快くは見えない。
石破氏のタイプに比較的近いのが、小泉純一郎元首相だが、小泉氏は若い時には国会対策などにも汗を流した経験があるし、どことなく憎めない部分もあり、長老の議員にかわいがられるところもあった。
石破氏と酒を飲んでも「冗談が言えない。言えてもおもしろくない」と不評だが、小泉氏が「下ネタ」で盛り上げるのは有名な話。
石破氏も周囲に「私は嫌われ者だ」と漏らす。側近議員は「石破氏は石原氏のようなゴマすりはしない。それで党長老に嫌われても、その生真面目さは国民に受ける。離党、復党した自民党議員はたくさんいる」とかばうが、自民党の特殊な美徳の中では石破氏のようなタイプは嫌われやすくなるのは確かだ。
「はじめての政治哲学」(講談社現代新書)などの著書がある徳山工業高専の小川仁志准教授(政治哲学)は「石破氏が嫌われる理由は意外に単純」と指摘。「自民党は高齢の政治家が目立つ。年を取れば取るほど、従来のやり方を改めたくなくなる性質がある。長老からすれば、(情より理で)前例をひっくり返すような政治家のやり方は許せないのだろう」
谷垣禎一前総裁は足元の古賀派を率いた古賀誠氏の支持を得られず、最終的に党総裁選への出馬を断念した。古賀氏は党運営や人事について谷垣氏が相談しないのに不満を持っていたとされる。小川氏は「石破氏が嫌われたのと同じ構図」と指摘する。
そんな自民党でも異色の存在だった小泉氏が総裁選で勝てたのは「前任の森政権の支持率が一けた台に突入する非常事態に見舞われ、長老も閉塞(へいそく)状況を突破するリーダーを容認した」ことがあった。
◆同タイプ小泉氏 非常事態で台頭
しかし、「自民党は今、支持率が民主党を上回り、政権を奪取しようと勢いづいている。長老には、小泉氏が首相になったころのような危機感がない」と小川氏は言う。
民間企業や組織に置き換えて考えてみよう。民間企業では自主的でリーダーシップを発揮する人材が求められる傾向がある。自民党のようにかつては協調性や組織の和が重んじられたが、最近はむしろ、「実力者」を求めている。
約三千四百社を対象にした独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査では、今後、育成、確保したい人材として挙がったのは「指示されたことだけでなく、自ら考え行動することのできる人材」が78%でトップ。次いで「リーダーシップを持ち担当部署等を引っ張っていける人材」が68%、「部下の指導や後継者の育成ができる人材」が67%。「職場でチームワークを尊重することのできる人材」は58%の四位にとどまった。
人材コンサルタントの常見陽平氏は「日本の組織では依然、職場の空気を読める人材も求められていることも確か」と指摘する一方で、和よりも個性的なリーダーが求められていると分析する。
全国で社員教育などを専門とする「インソース」(東京)の瀬倉百合子・企画開発担当は「長引く不況を生き抜くためにも、企業が主体的に決断できる人材を求める傾向が強まっている」と語る。
良いか悪いかは別にして、自民党の新総裁選びはこうしたトレンドとは大きく異なり、うるさくなく、なんとなく暴走はしないだろうという据わりのいい安倍晋三元首相をリーダーに選んだといえる。
常見氏はこうした選び方について「自民党は政権を奪い返すタイミングでリーダーシップを発揮するトップが求められていた。にもかかわらず、自民党の議員が石破氏を総裁に選べなかったのは自民党の限界を示している」と批判的だ。
小川氏は「石破氏が党員票で健闘したのは、有権者は政治に『創造的破壊』を求めているから」と分析。その上で「古い自民党のままでいるのか、新しい自民党に脱皮するか。これに気付かない限り、自民党が政権をとっても短命に終わるだろう。幹事長に処遇された石破氏が党運営で独自性を発揮できるかどうかが焦点だ」。
<デスクメモ> 二十年ほど前、九段宿舎の夜回りで話をよく聞かせてもらったが、いつも政策中心の話は専門用語の連発で何を言っているのか、半分も理解できなかった覚えがある。正直、苦手だった。無意識だろうが、自分の方が頭がいいと思わせたがる部分がある。長老議員に煙たがられるのも分からないでは…。(栗)
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