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日本はこれまで、ロシアに対して北方領土四島の返還を求めてきた。しかし、日本の四島に対する立場は必ずしも一貫したものではない。実際、日本政府は当初、サンフランシスコ平和条約において国後島と択捉島を放棄したという立場をとっていた。
それゆえ、日本がかねてより四島“一括”返還を国是としてきたという主張はマヤカシである。それは一部のナショナリストによる妄想にすぎない。
現在、かつてほどの力を持っていないプーチンは、大きなリスクを背負って日ロ関係を進展させようとしている。日本としてもその気持ちに答え、四島“一括”返還ではなく、柔軟な姿勢で北方領土外交に挑む必要がある。
『月刊日本』編集部ブログより一部抜粋
http://ameblo.jp/gekkannippon/entry-11365925926.html
『月刊日本』9月号
元公安調査庁・菅沼光弘「領土紛争はアメリカが仕掛けた」より
アメリカの意に添う四島一括返還論
【菅沼】 北方領土問題や竹島問題、尖閣問題などの淵源を探っていくと、全ては、1951年に調印されたサンフランシスコ講和条約と日米安保条約をめぐるアメリカとの政治的取引きに行き着く。
最初に北方領土問題から見ていこう。
そもそもロシアは何を根拠として北方領土における領有権を主張しているのか。7月28日に行われた玄葉外相とロシアのラブロフ外相との会談において、ラブロフ外相は「北方四島が自国領になったのは、第二次世界大戦の結果だ。これこそが法と正義の原則だ」と主張した。すなわち、ロシアにとって北方領土は第二次世界大戦の結果得た「戦利品」なのだ。
それでは、なぜ当時のソ連は第二次世界大戦で対日参戦したのか。それは、1945年2月にアメリカとイギリス、ソ連の間で結ばれた「ヤルタ秘密協定」のためである。ここで、ソ連が千島列島を獲得することと引き換えに、日ソ中立条約を破棄して対日参戦するという密約が結ばれた。
密約であろうが協定は協定だ。アメリカとイギリスの与えたこの約束が、今日まで続く北方領土問題の出発点となっている。
1951年、日本はサンフランシスコ講和条約に調印し、「クリールアイランズ」(千島列島)を放棄することになった。そのため、この「クリールアイランズ」に北方領土が含まれるかどうかが問題となった。
日本政府は当初、この中に国後島と択捉島が含まれるという見解をとっていた。調印直後の国会では、当時の西村熊雄条約局長などが、放棄した千島列島には北千島と南千島の両者が含まれると答弁している。ここでいう南千島とは国後島と択捉島のことである。
もっとも、ソ連はサンフランシスコ講和条約に調印することを拒否したため、必ずしも国後島と択捉島がソ連に帰属する、と認められたわけではなかった。そのため、領土問題は未解決のまま残されることになり、我が国はソ連と常に紛争の種を持つことになったのだ。
日本政府はその後も、領土問題を解決することを前提に、ソ連と平和条約交渉を行っていった。そこには、強大な力を持つソ連と出来るだけ早く手を打つことが日本の国益にかなう、というリアリズムが働いていた。
1956年、当時の鳩山一郎首相は訪ソし、日本が国後島と択捉島を含む千島列島を放棄し、色丹島と歯舞群島の返還によってソ連と平和条約を締結しようとした。だが、その時アメリカが横やりを入れてきた。ダレス国務長官が重光葵外相に対して、「日本が二島返還で決着させるなら、沖縄は永久に返還しない」と言い放ったのだ。いわゆる「ダレスの恫喝」である。
ダレスの目的は明確である。日本の周辺諸国、つまりアジアとの関係を分断し、軍事的にも、経済的にもアメリカに強く結びつけること、これが目的だった。以後、日本外務省は、アメリカの意向を忖度して、一貫して、四島一括返還を主張するようになった。その結果、今日に至るも、日ロ平和条約は締結されていない。
このように、北方領土問題は主としてアメリカの策略によってもたらされた。こうした歴史を踏まえず、いたずらに四島一括返還を主張しても、日ロ間の対立が深刻化するだけだ。四島一括返還要求は、アメリカを利することにしかならない。
北方領土問題を解決するためには新たなアプローチが必要である。かつてのソ連にとって、北方領土はアメリカに対する軍事戦略上重要な意味を持っていた。しかし、今日ではそこに新たな意味が加わりつつある。
地球温暖化は北極海の氷を溶かし、オホーツク海からベーリング海峡を抜け、北極海を通ってヨーロッパへ向かう新たな航路を生み出した。この航路を通る船の多くがロシア管轄の海域を通る。その航路の安全を確保するために、オホーツク海を取り囲む北方領土はロシアにとって極めて重要な拠点なのだ。
しかし、ロシアは海洋国家ではない。航路の安全を確保する上で、海洋国家である日本の協力は不可欠である。北方領土問題を考える上ではこうした視点も考慮したアプローチが必要となるだろう。(以下略)
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