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原発一色だった東京新聞が漸くウィングを拡げた “原発新聞”と揶揄されないように
http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/548f0501befdc8b378a0081000cdcf78
2012年09月28日 世相を斬る あいば達也
ここ1年、筆者は東京新聞に目を通すようになった。原発問題では社運を懸けているのか?と思うほど力が入っていたが、流石に原発一色では、報道機関として色々支障をきたすに至ったと推測出来る。特に営業販売実績に陰りが出ていた点だ。定期購読の固定客離れが生まれていたようだ。筆者が推薦した新聞社でもあり、個人的に幾分責任を感じていた。勿論、「そうだね、あまりにも原発にのめり込んでいるね。なんなら、最近は論説と編集の論調が変わり出した朝日も悪くないかも?」等と言うようになっていた。
27日の朝刊の話だが、トップ記事見出しが「民も自も『タカ派』」。その他に「イラク帰還隊員25人自殺」(自衛隊員の自殺の実態)。【核心】では一面を引き継ぎ、安倍自民党総裁の「危うい国民とのズレ」について語っている。これは27日に限った事ではなく、最近の東京新聞の“原発新聞”不評からの脱出が試みられている感じだ。勿論、他紙よりも“原発問題”に注意深い報道機関と云う評判は維持する事も重要だろう。今後も唯一の“ニュートラルなメディア”と云う立ち位置を維持して貰いたい。最後に、27日付の中日・東京新聞の社説を載せておく。*筆者は個人的には安倍のイデオロギーを部分的には認める。必ずしも隷米体制でアメリカと対峙しない姿勢も評価する。ただ、残念な点は、安倍を支持する人々の多くが“思考なき右派”な人びとであることだ。
≪ 自民新総裁に安倍氏 表紙を変えただけでは
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012092702000103.html
自民党総裁に安倍晋三元首相が返り咲いた。野田民主党政権と対峙(たいじ)し、政権奪還を目指すが、「表紙」を変えただけでは、国民の信頼は取り戻せない。
自民党国会議員にとっては無難な選択なのかもしれない。次期衆院選や来夏の参院選の「顔」として、新鮮さはあるけれども、総裁としての力量は未知 数の石破茂氏(55)より総裁経験者の安倍氏(58)の方が適任とみたのだろう。
ただ、かつて福田赳夫元首相が「天の声」と呼んだ党員・党友票の選択と異なる結果は、自民党議員と国民感覚とのズレを象徴しているように思える。
◆現実的政策見えず
安倍氏は当選後のあいさつで政権奪還に向けた強い決意を示し、「政権奪還は私たちのためでも自民党のためでもない。日本を取り戻し、強く豊かな日 本、子どもたちが生まれたことを誇りに思える日本をつくるためだ」と述べた。
その通りだ。政治は国民の暮らしを豊かにする政策実現のためにある。一政党の私物ではない。党利党略が優先されるようなことは断じてあってはならない。
ただ残念でならないのは、今回の総裁選を通じて、行き詰まりを見せる日本の政治、外交、経済、社会をどう立て直すのか、国民の暮らしを豊かにするための現実的なシナリオが見えてこなかったことだ。
国内総生産(GDP)第三位に転落した経済の長期低迷、国と地方合わせて一千兆円に上る巨額の財政赤字、原発事故を招いた厳格さを欠く原子力行政、天下りに代表される政官業癒着と強固な官僚主導政治、沖縄県民に過重な負担を押し付けることで成り立つ日米安全保障体制、などなど。
これらは三年前、民主党政権になって突然始まったのではなく、前政権からの延長線上にある、自民党政治の「負の遺産」だ。
◆声高に叫んでも…
確かに、自民党の失政が招いた閉塞(へいそく)状況からの脱却を期待し、民主党に政権を託した国民にとっては、裏切られた三年間だった。
政治主導の政策実現は期待外れだったばかりか、国民との契約であるマニフェストに反する消費税増税を強行した。政権担当能力不足は否めず、国民の暮らしがよくなったと思える状況でない。
政権を選ぶ眼力が国民に不足していたと言われればそれまでだ。
しかし、ただ民主党政権を批判するだけでいいのだろうか。
自民党にとって今、必要なことは、政権転落の反省に立って、かつて進めた政策を総点検し、今に至る状況を打開するための現実的な解決策を国民に示して、判断を仰ぐことではないのか。
その処方箋もなく、ましてや党再生にも死力を尽くさず、ただ民主党の「敵失」で政権に返り咲いたとしても、何も解決しない。
かつて、竹下登総裁(首相)から後継就任を打診された伊東正義総務会長(いずれも当時)は「本の表紙だけ変えて、中身は変わっていないということでは駄目だ」と固辞した。総裁が代わっても、党の体質を変えなければ、政権に返り咲く資格などない。
石破氏は各地の街頭演説会で、かつての自民党政治を謙虚に反省し、民主党批判ではなく、自民党として何ができるかを示さなければならないと訴えていた。
その主張に同調し、自民党の再生が必要だと考える党員・党友が多かったことが、石破氏が地方票の過半数を制した大きな理由だろう。決選投票で敗れたとはいえ、石破氏善戦の意味を、安倍氏は謙虚に受け止めねばならない。 安倍氏は、集団的自衛権の行使容認による日米同盟強化や靖国神社への首相参拝など、「タカ派的」主張を繰り返した。
自民党本来の支持層を固める狙いがあることは想像できるが、声高に主張するだけで中韓両国など近隣諸国との関係が好転するほど国際情勢は単純では ない。 安倍氏は首相当時、靖国参拝に行くとも、行かないとも言わない「あいまい戦術」で中韓との関係改善に努めた。自民党に期待されるのは、そうした経験に裏打ちされた、老練で、したたかな外交であることを想起すべきだ。
原子力政策も同様だ。原発を推進し、甘い規制行政を許した歴代の自民党政権は、原発事故の責任から免れられない。この際、原発稼働ゼロに舵(か じ)を切ってはどうか。反対する経済界や米政府を説得できれば、面目躍如だろう。
◆健康不安の払拭を
安倍氏には五年前、持病である潰瘍性大腸炎の悪化を理由に政権を一年で投げ出した過去がある。 病歴は個人のプライバシーだが首相を目指す公人は別だ。米大統領が毎年するように、健康診断結果を公表してはどうか。それが本人の言う「ほぼ完治」を裏付け、健康不安の払拭(ふっしょく)につながる。≫(東京新聞:27日付社説)
◇
【核心】自民・安倍新総裁 危うい国民とのズレ
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2012092702000102.html
http://ameblo.jp/heiwabokenosanbutsu/entry-11365259516.html
2012年9月27日 東京新聞 :大友涼介です。
安倍晋三元首相が自民党の新総裁に選ばれた。次期衆院選での政権奪回が至上命令で、その可能性は十分あるとの見方も出ている。自民党内で屈指の保守・タカ派である安倍氏が目指すものは何か。総裁選では外交・安全保障面での強硬発言が目立つ一方、脱・原発や社会保障など国民生活に直結する政策については、多くを語っておらず、危うさを指摘する声が少なくない。 (岩田仲弘・安藤美由紀・金杉貴雄記者)
■汚名返上
「(二〇〇七年に)首相を突然辞任する結果になり、ご迷惑をお掛けした。その責任のある私に対し、この難局に自民党の先頭に立て、との使命を与えていただいた」。石破茂前政調会長との決選投票を制した安倍氏は当選後、こう声を張り上げた。
小泉純一郎総裁(当時)の後継を選ぶ〇六年秋の総裁選で勝利してから六年。あのときは〇七年夏の参院選で惨敗した上に、突然の政権投げ出しという失態を演じた。それだけに、汚名返上の舞台に辿り着いたことに感無量の思いもあたろう。
今回は大本命だった六年前の総裁選と違って、劣勢が予想され、挑戦者としての戦いを余儀なくされた。届け出前には、陣営の一部から撤退論も出たほどだ。こうした厳しい自らの状況と、領土をめぐる中国、韓国との対立が相まって、本命候補でない安倍氏は「安全運転」はせず「タカの爪」を大胆に露わにしていった。
■痛恨の極み
総裁選で安倍氏はA級戦犯が合祀されている靖国神社参拝をめぐって「首相在任中に参拝できなかったのは痛恨の極みだった」と本音を吐露。従軍慰安婦問題では、旧日本軍の強制性を認めた一九九三年の河野洋平官房長官談話について「不名誉な誤解を解くため新しい談話を出す時だ」と踏み込んだ。
沖縄県・尖閣諸島で中国との緊張が高まる中、実効支配を強化するため「公務員の常駐も含め検討すべきだ」とも主張した。
〇六年の首相就任直後に、初外遊の地に中国を選んだり、靖国参拝について「行ったか行かないかを含めて明らかにしない」と曖昧にした言動とは対照的だ。
野田政権が対中、対韓外交で活路が見出せないことを受け、陣営では、強硬路線を打ち出した方が支持を得られるとの判断もあった。だが、仮に政権をとった場合、こうした発言は自らの政権運営に重くのしかかってくることになる。自民党中堅議員は「対外的に『日本の右傾化』とみられる。日本にとって非常に危険だ」と警告する。
■関心事
一方、国民の暮らしにかかわる重大な関心事については、真正面から向き合う姿勢はみせなかった。外交・安保発言を前面に出すことで、社会保障などの争点化を避けようとした節もある。
消費税増税を含めた社会保障と税の一体改革をめぐっては、デフレが続いている場合は増税を見送る考えを示したものの、他の候補者と同様、民主、自民、公明の三党合意を守る意向だ。基本スタンスは「共助」よりも「自助・自立」で、弱者支援への具体的ビジョンは伝わってこない。
脱原発政策も、原発依存度は減らすべきだとしつつも「今原発ゼロと言えば原子力の技術を失う」と否定的。
「原発推進は間違っていなかった」との突き放した発言は、原発に不安を感じる国民感情とのズレを浮き彫りにした。
総裁選では、地方票と国会議員票の得票結果のねじれに注目が集まったが、有権者が知りたいことに真摯に答えなければ、民意との距離は縮まらない。
◆総裁選における安倍総裁の主な発言
・理念・・・私たちの美しい海や領土が脅かされようとしている。より強い国に、より豊かな国にしていこう。私は戦後レジームから脱却するという大きなテーマがある。
・憲法改正・安全保障・・・憲法改正の必要がある。今こそ橋を渡って私たちの憲法をつくる。中国は南シナ、東シナで軍事的行動をとっている。島を守るために、日米同盟の信頼関係を回復しなければならない。憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を認める。
・尖閣問題・・・公務員が住むことを含め物理的に国家管理をさらに進めていく。
・靖国神社参拝・・・首相在任中に参拝できなかったのは痛恨の極みだった。(首相になって参拝するかは)そのことから考えていただきたい。
・従軍慰安婦問題・・・(軍の関与を認めた河野談話に対し)強制的に連れ去ったことを示すものはまったくない。証言も裏付けはまったくない。新たな談話を出すべき。
・外国人参政権・・・憲法違反。国でも地方でも責任を持つのは日本国民だ。
・教育・・・新教育基本法に則った教科書が登場するはずだった。教育委員会制度を見直す。
・政権の枠組み・・・維新の会の政策は共鳴できるところもたくさんある。選挙で戦うため、選挙前にどこと組むと言ってはいけない。民主党とは政策ごとの強調は考える。
・原発・・・原発推進そのものは間違っていなかった。原発への依存度を減らしていくが、今ゼロと言えば原子力の技術を失う。手放すべきではない。今ゼロだというのは極めて無責任だ。
・消費税・・・デフレが今のように続いているままでは、税率を上げるべきではない。
・経済・・・防災のための国土強靭化の公共投資を行う。成長戦略をつくるため、「日本経済再生本部」をつくる。
・TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)・・・「聖域なき関税撤廃」を約束するのはおかしい。国益を守れない交渉はすべきではない。
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