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中盤の序盤の締めくくり
http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2012/09/post_316.html
2012年9月28日 01:03 田中良紹の「国会探検」
来年夏の参議院選挙までを一区切りとする大政局は、中盤の序盤の締めくくりとなる自民党総裁選挙が終了した。結果は安倍晋三氏の総裁返り咲きとなったが、投票の結果に自民党の現状が浮き彫りになった
地方票で投票数の55%を獲得しトップとなった石破茂氏が、国会議員票では17.3%しか獲得できずに第三位。一方、国会議員票で29.4%を獲得しトップとなった石原伸晃氏が、地方票では12.7%しか取れずに第三位と対照的な得票結果を見せた。つまり自民党は中央と地方が見事なほどにねじれた。
そして中央と地方の双方で二位の座にあった安倍氏が総裁に選ばれた。しかし決選投票で上乗せされた議員票は石破氏より安倍氏が1票少ない。自民党の期待を担って選ばれたとは言い難い選挙結果である。波乱の種が至る所に播かれているように見える。
そもそも総裁続投に意欲を見せていた谷垣禎一氏を引きずり下ろして自民党総裁選挙は始まった。引きずり下ろした勢力は「選挙の顔」として石原伸晃氏を総裁に据えようとしていた。3党合意の延長上に大連立を志向するためである。それが地方の自民党員から嫌われた。2年間も自民党幹事長を務めたにもかかわらず、石原氏は全体の1割程度の地方票しか集められなかった。
その原因として、谷垣総裁を支える立場にある者が引きずりおろす側に回った「明智光秀」のイメージ、また「福島原発第一サティアン」など問題発言を繰り返す軽佻浮薄さ、そして保守の陣営からは石原東京都知事が火をつけた尖閣購入が、その裏で息子を自民党総裁に据え野田民主党との大連立を図る仕掛けではないかと見られたことが挙げられる。
最後の部分は少し説明を要するが、石原都知事の尖閣購入に賛同して寄付を行った人の中から、知事が野田総理と「極秘会談」を行って国有化を認めた事に批判が出ており、それが息子を自民党総裁にして民主党との大連立を目指す動きではないかと見られた。右派勢力は石原伸晃氏の総裁実現を認めず安倍総裁実現に力を入れた。
そのため当初は「石破対石原の戦い」と見られた総裁選挙が、安倍氏も交えた三つ巴の戦いとなり、最後は地方の自民党員や保守陣営に嫌われた石原氏と、党の長老グループから嫌われた石破氏の「嫌われ石・石」が脱落して安倍氏の返り咲きとなった。
これまでの自民党なら過半数の党員票を獲得した候補を決選投票で打ち負かす事はやらない。党員の声を尊重して2位の候補は決選投票を辞退するのが通例である。しかし安倍氏は辞退せず決選投票に臨んで逆転勝利を得た。一回目の投票で石原氏に投票した額賀派が結束して安倍氏に入れたことが大きい。
この選挙結果に地方から不満の声があがった。自民党秋田県連の4役は「民意が反映されていない」と役職を辞する意向を表明した。自民党の中央と地方のねじれは、野党に転落した自民党が反省するどころか何も変わっていない印象を国民に与え、さらに5年前の参議院選挙で自民党を惨敗させた「顔」を再び党の総裁に戻したのである。
安倍氏は石破氏を幹事長に起用したが、地方の不満を抑えて党運営を行うには「選挙の顔」を石破氏に託すしか方法はない。このため安倍―石破の総幹コンビがどれだけ共同歩調をとれるかに自民党の今後はかかっている。
二人は安全保障問題などでタカ派の似た者同士と見られているが、石破氏が民主党との対決色を抑制する考えを打ち出しているのに対し、安倍氏は対決色を打ち出すタイプである。特に右派陣営から強く支持されているだけに民主党との宥和路線は取りにくい。
それが野田内閣を解散総選挙に追い込む戦略にどう影響するか。安倍氏が幹事長代行に側近の菅義偉氏を起用したあたり石破氏に党運営のすべてを任せる考えではないようだ。その菅氏は通常国会で野党6党が提出した野田内閣不信任案に対し自民党の方針に造反して賛成した。つまり3党合意に反対したのである。これまでより野田政権との対決姿勢は強まる事が考えられる。
民主党と協力する3党合意と民主党と対立する解散の両方を同時に進めなければならない政局で、谷垣前総裁は最後に矛盾した行動にはまり込み、野田内閣を解散に追い込むどころか総裁選に出馬する事が出来なくなった。谷垣氏は野田氏との政局に敗れた事になる。それでは安倍氏は野田氏との政局に勝つことが出来るだろうか。
硬軟両様を使い分けなければならない政局で、民主党との対決色を強めれば「何も決められない政治」が再来し、自民党に逆風が吹く可能性がある。また提携が噂される大阪維新の会との関係でも、主張が近ければ近いほど、選挙では同じ支持層を食い合う事になり、組織の末端で近親憎悪が激しくなる。活路を切り開くのはそれほど容易ではない。
これで大政局の中盤の序盤は自民党も民主党も「選挙の顔」ではないリーダーが党を率いる事になった。「選挙の顔」にならない党首の誕生というのも妙な話だが、それで選挙が「近いうち」と言われるのもまた妙な話である。
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