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「日米対中国」と考える愚かさ(田中良紹)
http://www.asyura2.com/12/senkyo136/msg/216.html
投稿者 判官びいき 日時 2012 年 9 月 23 日 17:44:09: wiJQFJOyM8OJo
 

尖閣諸島の国有化を巡り、日中が衝突すればアメリカは日本の側につくと考える日本人が多いようだ。アメリカがその地域を「日米安保の適用範囲」と発言しているからである。しかしだからと言ってアメリカが日本の側につくとは限らない。アメリカは自らの国益を考えて利益のある方につく。それが国際政治の現実である。

まず現在の日本の領土がどのように確定されたかを考える。確定させたのは1951年に締結されたサンフランシスコ講和条約である。第二次世界大戦で連合軍に無条件降伏した日本は領土についてすべての権利を放棄し処分権を連合国に委ねた。そこで日本が支配していた朝鮮半島をはじめ日清、日露、第一次大戦で領有した台湾、澎湖諸島、南樺太、千島列島、南洋諸島、南沙諸島のすべての権利を放棄させられた。また北緯30度以南の南西諸島や小笠原諸島はアメリカの信託統治領となった。その南西諸島の中に尖閣諸島はある。

一方、サンフランシスコ講和条約と同時に日米は安保条約を締結し、米軍が日本国内の基地に駐留する事になった。領土問題とは言えないが日本国家の主権が及ばない米軍基地が首都近郊を含め日本の至る所に作られた。現在日本が抱える領土問題の相手国は、北方領土がロシア、尖閣諸島が中国、竹島が韓国といずれも第二次大戦の戦勝国か戦勝国の側である。そして今回の竹島への韓国大統領上陸と尖閣諸島への香港活動家の上陸は、日本が敗戦国である事を思い出させる8月に決行された。

中国の習近平国家副主席がアメリカのパネッタ国防長官との共同記者会見で、日本の尖閣諸島国有化を「第二次世界大戦以降の戦後秩序に対する挑戦」と発言したのは、まさに日本は敗戦国、中国とアメリカが戦勝国である事を指摘し、領土問題で米中は同じ側に立つことを強調したのである。 

これに対してパネッタ長官が「日米安保の適用範囲」と言うのは、サンフランシスコ講和条約から1972年までその地域をアメリカが統治し、その後日本に返還したのだから当然である。しかしそれはこの問題でアメリカが日本の側に立つことを意味しない。なぜならアジア地域でのアメリカの基本戦略は日本に近隣諸国と手を組ませないようにする事だからである。日本がアメリカだけを頼るようにしないとアメリカの国益にならない。そうした事例を列挙する。

アメリカはまず北方領土問題で日ソ間に平和条約を結ばせないようにした。そもそも北方領土問題を作ったのはアメリカである。真珠湾攻撃の翌年からアメリカはソ連に対日参戦を要求し、その見返りとして日露戦争で日本に奪われた南樺太と千島列島を返還する密約をした。サンフランシスコ講和条約で領土が確定された時点での日本政府の認識は千島列島に国後、択捉島を含めており、日本領と考えていたのは歯舞、色丹の2島だった。従って2島返還で日ソ両国は妥協する可能性があった。
 
ところが米ソ冷戦下にあるアメリカのダレス国務長官はこれを認めず、4島返還を要求しなければアメリカは沖縄を永久に返さないと日本に通告した。これに日本は屈し4島返還を要求するようになり日ソは妥協する事が出来なくなった。小泉政権の日朝国交正常化に横やりを入れたのもアメリカである。日本は200億ドルともいわれる援助の見返りに北朝鮮と国交を結ぼうとしたが、アメリカのブッシュ大統領はこれを認めなかった。国交正常化の可能性ありと見て金正日総書記がいったんは認めた拉致問題もそれから進展が難しくなった。

韓国の李明博大統領がしきりに持ち出す従軍慰安婦問題にもアメリカの影がある。2007年にアメリカ下院はこの問題で日本政府に謝罪を要求する決議を行った。中東のメディアは「アメリカは日本と中国、韓国の間にわざとトラブルを起こさせようとしている」と解説した。

日本がアメリカの戦略に反した唯一の例が日中国交正常化である。中ソの領土紛争を見て分断を図れると考えたアメリカは、中国と手を組めば泥沼のベトナム戦争からも撤退できると考え電撃的なニクソン訪中を実現させた。しかし台湾との関係をどうするかで国交正常化に手間取る隙に、先に中国との国交正常化を成し遂げたのが日本の田中角栄総理である。中国と極秘交渉を行ってきたキッシンジャー国務長官は激怒したと言われる。それがロッキード事件の田中逮捕につながったとの解説もある。

アメリカは中国に対し日米安保は日本を自立させない「ビンのふた」であると説明し、中国もこれを是として米中関係はスタートした。従って尖閣周辺の海で米中が軍事的に睨み合う形になったとしても、それは日本のためにではなく、米中双方の利益のために何が最適かを導き出すための行動になる。

ところでパネッタ長官の訪中は米中の軍事交流を深めるのが目的である。その一方でアメリカは日本に対し中国の軍事力の脅威を宣伝し、オスプレイの配備など日本領土の基地機能強化を進めている。アメリカは中国の脅威を言いながら中国と軍事交流を深めているのである。小泉政権時代の外務大臣が米中軍事交流に抗議するとアメリカから「そういう事はもう一度戦争に勝ってから言え」と言われたと言う。

領土問題は力の強いものが勝つ。それが国際政治の現実である。話し合いで解決するにしても力の強い方に有利になる。力とは軍事力だけを意味しない。むしろ経済力、外交力、そして国民の意思の力が重要である。ところが「日米安保の適用範囲」という言葉にしがみつく日本人は何の保証もないアメリカの軍事力にしがみついている。それは日本が経済力、外交力、国民力に自信がないことを露呈しているに過ぎない。
http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2012/09/post_315.html#more
 

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コメント
 
01. 2012年9月23日 18:19:03 : EIvbKAl1nF
おおむね賛成だが、最後のところに瑕疵がある。

>日本人は何の保証もないアメリカの軍事力にしがみついている。それは日本が経済力、外交力、国民力に自信がないことを露呈しているに過ぎない。


外交力はともかく、経済力・国民力が外国より劣るとは日本人も思っていない。そうじゃなく、日米安保自体が力を弱めているのである。日米安保が病気の大元なのだ。


02. 2012年9月23日 18:25:02 : n9YxCr1oPs
田中さんの解説が
ゴミメディアに無視されていることが
日本人にとっての不幸である
この視点からみれば
藪にらみのオタク元防衛大臣が
アメリカの代弁者か
チン太郎が隷米売国者かよくわかる

03. 2012年9月23日 18:26:07 : drXDCfhKGA
一般の国民はそんなことどうでもよい。
今日、明日の飯のタネが心配なのです。
国があるから国民があるのではなく、民がいるから国が成り立つのです。

04. 2012年9月23日 18:36:40 : o57HqTYj2U
国民の明日の飯のタネが、ねこそぎ米国に持ってゆかれているのですね
日本人の売国奴と米国の戦争屋に、好き勝手にされてます。
その尖兵たるマスゴミ各社の活躍も、目覚しい限りですね

05. 2012年9月23日 18:57:12 : XVPJ8MG0Qk
 みなさん 01さんにレスは止めましょう。
>日米安保が病気の大元なのだ。
何が言いたいのか分からん。

このレス投稿者は例の〇〇の道さん?


06. 2012年9月23日 19:09:25 : eS5CPZpets
いや、日米安保体制が問題だろ。条約そのものというより、それによって
出来上がった歪な日米関係が最大の問題。

07. 2012年9月23日 20:00:03 : OTOSIyOeKE
>日本がアメリカだけを頼るようにしないとアメリカの国益にならない。

 日本はアメリカのポチであることがアメリカの国益。これに相乗りする政治家は・・・


08. 2012年9月24日 16:18:48 : rfcCuFHQZE
尖閣諸島問題で石原都知事ら日本のタカ派による尖閣戦争の挑発に、中国は乗らないと見ています。理由は@日米軍事評論家の予想では自衛隊の邀撃だけで中国軍は殲滅されるか降伏する」。と有ります。A孫子の兵法。毛沢東。ケ小平の教えから言つても、日米に100%勝てる海空軍の核戦力{原潜や空母」を整備するまでは戦争はしないと断定出来ます。{日本軍が得意戦略の奇襲攻撃先制に出た場合は別だが」Bアメリカは、日、中がいずれ{野良犬のかみ合い」で共倒れしてくれれば大もうけで、言うことなしでしょう。「漁夫の利」です。C石原都知事らタカ派の狙いは戦争のできる旧体制{天皇制と軍国主義と国家主義}復活です。{現憲法の即時廃棄宣言}や{日本の核武装」を来年中に実現しようとするでしょう。「君が代斉唱強制」を実行し「徴兵制」や{単独でも戦争のできる国」とテレビで言つた{右翼革命評議会}とも言うべき橋下{日本維新の会党首」らが自。公。民タカ派らと組んで対外{中、ロ?」戦争の準備をするでしょう。D核武装して核戦争で核ミサイルを先制で相手国へぶちこむも選択肢と言うタカ派の日本軍国主義者の本を読みました。「世界で唯一の{一億玉砕}戦法」で核戦争に際して相手国へ先制核ミサイルをぶち込むと言う、著名なタカ派の戦略シュミレーション本です。Eワシントンポストが{日本の右傾化」を一面に掲載したというが、やつと、アメリカも日本軍国主義者の恐ろしい長期戦略に気がついたかと思います。F太平洋戦争、は日本が勝つた」という{勝ち組」本が出るぐらい日本のタカ派は高揚しているようです。

09. 2012年9月24日 16:32:09 : Fb5rEW91f6
この人は本当にバランス感覚の優れた意見を堂々と書くね。
どんな新聞記事よりTV報道よりも読んでいて腑に落ちるんだな。

10. 2012年9月24日 17:12:21 : xEZ51jtWB2
この頃のアホ新聞の社説主幹も、「判官びいき」氏の爪の垢でも煎じて飲むべき。

言い記事、分析だ!すばらしい!


11. 2012年9月24日 18:26:30 : AY2TXqAARY
中国は、日本の尖閣の国有化は「日中間の決め事であった『棚上げ合意』を日本が破った」という立場で(国際的に見れば、こうなってしまう)、
日本側が「踏み込んだ事」に対して、日本が国有化を撤回しない限り、自分達も「対応せざるを得ない」という
『受け身の立場』を主張しつつ、「経済制裁」「尖閣海域への侵犯行為」というボディーブローを放って来る。
まさに、中国の方が戦略的である。

しかも、本来、日本政府の「国有化」は、石原都知事が尖閣を購入した際の、調査・開発等の『大人の自慰行為』に対する予防措置であったにも関わらず、
メディアによる「反中報道の嵐」によって、尖閣購入の意味が「予防措置ではなく、国による主権強化」と誤った意味で報道された事も、
中国に対して「神風の様な追い風」となった。

「日米対中国」というスキームは、中国側から「仕掛けられた」場合のみ発動するのであって、
今回のように「日本から仕掛けた場合」、アメリカが、米中関係を犠牲にしてまで「付き合う」と考えるのは、楽観的すぎる。


12. 2012年9月25日 09:14:41 : 0t5m8XwwZU
自公が民主党の外交を批判するときに必ず日米関係をギクシャクとか悪化させたという文言が入る。このことは鳩山さんの普天間問題を指すのだろうが、果たしてそうだろか。日本には日米同盟ともいうべき日米安保があるから、中国と争いになれば必ずはせ参じてきてくれるはずだというかってな思い込みが、ここにきてちょっと違うようだとわかってきただけではないだろうか。
現にパネッタ長官はどちらにも加担しないと言っている。
マスコミは20年前の日米中関係を少しも修正していない。
いまだに米中対立はあると考えている節がある。
テレビ報道なんかで習近平と日本の総理大臣の歓迎に格差があること歴然としているにも関わらず、見事に目をつぶる報道方針にあいた口が塞がらないのである。

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