http://www.asyura2.com/12/senkyo136/msg/204.html
Tweet |
中国デモ 日系企業の損害膨大 (東京新聞)
2012.09.23 ( Sun ) :{「日々担々」資料ブログ}
中国デモ 日系企業の損害膨大(東京新聞「こちら特報部」9月20日)
尖閣諸島国有化をめぐる中国の反日デモの一部が暴徒化し、日系の店舗や企業が放火や破壊されるなど大きな被害が出た。その賠償は国を問わず、壊した当事者が行うのがルールだ。しかし、「愛国無罪」を掲げる若者たちに反省は見受けられない。中国は今や「経済大国」だ。賠償問題はどうなるのか。 (林啓太、中山洋子)
中国の故事に「水を飲む人は井戸を掘った人の恩を忘れない」がある。しかし今回、日中友好の証しの工場も暴 「生産を回復させることが目下の課題。だが、被害を受けた生産機械の点検さえ済んでいない」
パナソニック(大阪府門真市)広報グループの有井由香主事は、襲撃された工場について話す。
中国には生産や販売の拠点が約百カ所あるが、十五日の反日デモで四カ所が被害を受けた。電子部品を造る山東省青島と江蘇省蘇州の工場では建屋や生産機械が壊され、蘇州が一部再開したのみ。電話機などの工場も従業員のストライキをきっかけに休業している。
同社の中国進出のきっかけは一九七八年。実力者の故ケ小平氏が大阪府茨木市のテレビ工場を訪問し「中国の近代化を手伝ってほしい」と依頼。創業者の故松下幸之助氏は「協力する」と応じ八七年、北京にブラウン管製造の合弁会社を設立したのが始まりだ。徒の標的となった。「歴史を知らない一部の方が被害をもたらしており、大変に残念だ」。松下正幸副会長は十八日、大阪市内で無念の思いを語った。
工場の従業員の大半は中国人。「反日」行動が同胞の首を絞めることにもなる。同社は従業員の動揺を避けるため、「中国事業の歴史と意義を再度、説明している」(松下副会長)という。
「日系ならではのおもてなしを提供する百貨店として、中国人の顧客に信頼していただけるようになってきたのに…」
湖南省長沙などで百貨店を営む平和堂(滋賀県彦根市)の松島誠・広報担当はため息をつく。
現地の三店舗すべてが襲われた。シャッターをこじ開けて侵入し、陳列棚を壊し、化粧品やブランド品のバッグを盗んだといい、被害額を「数億円規模」と見積もる。
これらの不法行為に対し、法律の手続きにのっとり、責任者に賠償を求めることができる。蘇州の百貨店が襲われたイズミヤ(大阪市)の冨永知孝・広報担当は「損害を取り戻す交渉は進めなければならない」と話す。
だが、平和堂の松島氏は「建物や備品を壊した暴徒をひとりひとり見つけ出し、訴えることができるだろうか」と嘆く。
二〇〇五年四月には、日本の歴史教科書問題などで反日デモが巻き起こり、日系企業が被害を受けた。電子部品メーカーの太陽誘電(東京都台東区)は、広東省の工場で起きた労働争議で施設のガラスが割られる被害を受けたが、広報担当者は「被害額は少額だった」と振り返る。
「今回のデモはこれまでにない規模」と、東京海上日動火災保険広報部の浜路政直・課長代理は巨額の損害が発生すると予想する。
反日デモに伴う損害は、日系企業が契約する火災保険で、建物や設備で負った損害額の全額もしくは一部の補償を受けることもできる。
火災保険は原則、火災や、タイで昨年発生した洪水などの自然災害による被害を補償する。ストライキや暴動などについては、その被害を含める特約を付けていれば補償の対象になるという。
だが、「被害を未然に避けるため工場を自主休業し、操業停止によって失った利益は補償の対象外」と浜路氏。
暴動の根底には「国有化」の認識の違いがあるとの見方もある。評論家の石平氏は言う。「中国の土地はすべて国家のもので、個人で譲渡できるのは地上権のみ。大多数の中国人には、個人から土地を買うという行為が根本的に理解できない」
日本の感覚では、挑発的な東京都よりは、国が所有する方が穏当な印象を受けるが「国有化という言葉が、中国の国民感情を刺激した面もある」とみる。
野田佳彦首相は十八日のテレビ番組で、日系企業の被害に対しては「当然、その国が責任を持つのがルール」と、賠償責任は中国にあるとの考えを強調した。一方、中国外務省の洪磊副報道局長は十七日の定例会見で「その責任は日本が負うべきだ」と述べた。
大使館などの場合、国際法で敷地内への侵入や破壊から守られている。中国側には破壊行為を防ぐ責任があるが、瀋陽の日本総領事館が投石被害に遭い、窓ガラスが割れるなどの被害が出た。
〇五年にも在北京日本大使館や上海総領事館などが投石で被害を受けた。外務省によると、割れた窓ガラスやインク瓶で汚された外壁などの修復工事は、最終的に中国側が費用を負担した。国際的なルール違反だけに無視はできなかったとみられるが、工事が終わったのは〇七年五月で、二年近くも放置されていた。
日本以外でも、一九九九年のユーゴスラビアの中国大使館誤爆事件をきっかけに、中国では米国への抗議デモが発生。米大使館・領事館が壊され、中国側は最終的に被害補償に応じている。
では民間への賠償はどうか。神戸大大学院の梶谷懐(かい)准教授(中国経済)は「警備を怠り、暴徒化したデモ隊を暴れるままにして被害を拡大させた責任は中国政府に求めていくべきだが、中国側がどうするかは複雑な側面がある」と指摘する。
しかし、民間の暴動被害に対応した例もある。「〇八年にチベット自治区で起きたラサ暴動では、比較的早い段階で、地区政府が破壊された商店などの免税措置を発表した。今回、地元に溶け込み、現地化した企業が狙われた。対外的に中国政府が突っぱねても、地方政府が優遇政策を出してくることはありうる」
中国情勢に詳しいジャーナリストの富坂聰氏も「〇五年、一〇年の反日暴動と全く同じやりとりが繰り返されている」と語る。反日デモは「愛国無罪」を叫んで暴徒化し、中国政府は暴徒に引きずられるように、責任を日本に押しつける経緯も同じという。
中国政府は体面を重んじるが「チャイナリスクを恐れる外国企業の撤退や、進出を足踏みされるのは避けたい。外国企業をつなぎ留めるために何らかの手は打つはずだ」。ただ、優先順位では後回しになるとみる。
「政府が最も恐れているのは暴徒化する大衆。そのために、対外的に『弱腰』ととられる姿勢はとれない。賠償するとしても、そうは見えない形をとるだろう」
<デスクメモ> ケ小平氏は松下電器工場でテレビ調整検査工程の自動化作業を熱心に見学した。松下幸之助氏の協力がなければ、家電生産化も遅れていただろう。デモで暴徒化した若者は愛国教育は受けても経済の近代化の歴史は学ばなかったのだろうか。私たちも日中間の不幸な歴史を学び、外交の知恵を探りたい。(呂)
元記事リンク:http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-6958.html
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK136掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。