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維新八策による「真の弱者」と「それ以外の弱者」の「区別」はいじめである(村野瀬玲奈の秘書課広報室)
http://www.asyura2.com/12/senkyo136/msg/190.html
投稿者 CERISES 日時 2012 年 9 月 22 日 22:09:14: TSAYrSdovqusM
 

維新八策による「真の弱者」と「それ以外の弱者」の「区別」はいじめである

村野瀬玲奈の秘書課広報室09/22/2012 http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-3744.html

『「維新八策」を批判的に検証するのがマスメディアの義務のはず。』の記事で、大阪維新の会(日本維新の会)の綱領「維新八策」を批判的に見ました。

その中で記録した「維新八策」の中の一つの「用語」について批判的に取り上げます。

それは、「真の弱者」という用語です。「自助努力でなんとかすべき弱者ではなくて」という意味らしい「真の弱者」という用語です。

これは、維新八策の最初の方で登場します。次の部分です。


大阪維新の会の理念は、個人の自由な選択と多様な価値観を認め合う社会を前提に、
・自立する個人
・自立する地域
・自立する国家
を実現することです。
そのためには、国民全員に開かれた機会の平等を出発点として自助、共助、公助の範囲と役割を明確にすること、公助から既得権を排し真の弱者支援に徹すること、そして現役世代を活性化し、世代間の協力関係を再構築することが必要です。

(引用ここまで)

日の丸君が代について個人の自由な選択も多様な価値観も認めず、「教育は20000%強制」などとのたまう橋下徹ですから、「個人の自由な選択と多様な価値観を認め合う社会」というところからして信用できず、そこからすでにツッコミどころ満載ですが、そこは今回はおいといて、今回は「真の弱者支援」という言葉に注目しましょう。

果たして、維新の会は本当に「真の弱者支援」をするのでしょうか。維新の会が本当に真の弱者支援をすると信じる有権者がいるのでしょうか。

そもそも、橋下徹不正と橋下徹市政のもと、大阪府と大阪市では、「偽の弱者」であれ「真の弱者」であれ、弱者への援助なるものは行なわれていなかったわけですが、「維新の会」結成宣言を批判した東京新聞の記事を見ましょう。


●東京新聞(TOKYO Web)
「日本維新の会」結成宣言 弱肉強食路線が鮮明
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012091302000140.html
2012年9月13日 朝刊

 橋下徹大阪市長は十二日、自らが代表となる国政進出のための新党「日本維新の会」の結党を正式に宣言した。橋下氏は「自立」「競争」「自己責任」を新党の理念として強調している。格差拡大や医療・介護現場の崩壊などが社会問題化したかつての小泉構造改革をほうふつさせる。 (金杉貴雄)

 「自由、競争、自己責任、選択という価値観は一致している」。橋下氏はさる九日に国会議員や首長を集めて開いた公開討論会で、満足そうに語っていた。
 維新は国政進出の理由に「大阪都構想の完成」や「統治機構改革」を挙げ、脱・中央集権型の政権構想で注目されるが、社会像ではあらゆる面で「自立」を求め、弱者への公的支援は絞り込みたいという考えが見える。
 「維新八策」には、自立や競争に関する項目がずらりと並ぶ。国家像として真っ先に「自立する個人」を挙げ、「真の弱者支援」という表現も出てくる。「ちょっとかわいそうな人は助けず、ものすごくかわいそうな人を助ける」ということを言いたいようだ。
 社会保障では給付の効率化、生活保護の支給基準や公的保険の適用範囲の見直しを公約。競争力強化のために徹底した規制改革を目指し「解雇規制の緩和」も掲げる。
 自民政権時代には、市場原理を優先した小泉構造改革によって、非正規雇用者の「派遣切り」などが進み、「勝ち組」と「負け組」といわれる社会の二極化を招いた。維新は、小泉政権の経済財政担当相だった竹中平蔵氏や財務省出身の高橋洋一氏を政治塾の講師に招くなど重用する。ある民主党議員は「維新は小泉政権以上の新自由主義だ」と、弱肉強食路線の再来だと批判する。
 橋下氏は記者会見で海外メディアから「維新は(公的医療保険などに反対する米国保守派運動の)ティーパーティー(茶会)と同じか」と問われると、「われわれは医療保険のような公の役割は重視していくので茶会とは違う」と否定した。
 ただ、八策には今のところ、経済弱者に目を向けた政策はほとんどない。

(転載ここまで)

橋下自身が税金を自分と「維新の会」という身内のために使ってばかりいるという事実から、「政治家こそ自立せよ」と一喝したいくらいですが、話が拡散するので、ここはぐっとこらえましょう。笑

さらには、維新の会のこの維新八策に対して、『「維新八策」を批判的に検証するのがマスメディアの義務のはず。』の記事では、すでに赤旗の批判があることも紹介しました。次の通りです。


雇用・福祉 過激な新自由主義で破壊
 「維新八策」の「経済政策」に並ぶのは「競争力強化」「国・自治体・都市の競争力強化」「競争力を重視する自由経済」など“競争力強化”一辺倒です。それしかないといっても過言ではありません。

 大企業向けには「競争力強化のためのインフラ整備」を掲げるとともに「徹底した規制改革」を打ち出し「産業の淘汰(とうた)を真正面から受け止める」産業構造への転換を主張。まさに弱者は去れという弱肉強食の社会づくりです。

 そのもとで、国民生活がどうなるかには、冷淡で無頓着です。大金持ちには、さらなる所得減税となる「超簡素な税制=フラットタックス化」を打ち出す一方で、労働者に対しては「解雇規制の緩和を含む労働市場の流動化」でいっそうの不安定雇用を強いる方向です。

 小泉「構造改革」のもと、製造業派遣の解禁などで貧困と格差が拡大したことから何一つ学ばず、今度は“首切り自由”(解雇規制の緩和)で国民をいっそう困窮に追いやろうというものです。まさに“過激な新自由主義”にほかなりません。

 その姿勢は社会保障にも貫かれています。

 「八策」は社会保障について「自助、共助、公助の範囲と役割を明確に」し、「真の弱者支援に徹する」と明記しています。本来、すべての国民が受ける権利をもつ社会保障を「真の弱者」だけに絞り込み、「合理化・効率化」の名で社会保障費を削減しようというのです。

 「真の弱者支援」というのは社会保障切り捨ての口実にすぎません。

 一つは、保険で受けられる医療を切り縮めようということです。「八策」では「公的医療保険給付の重症患者への重点化」を口実として「軽症患者の自己負担増」を方針化しています。橋下氏は「風邪とかばかりを扱う開業医がどんどん増えてくる」(8月30日)と地域医療を敵視し、「公的医療保険制度の範囲を見直す」としています。

 さらに、米国が求めている混合診療を「完全解禁」すると明記。混合診療は、保険のきかない医療を拡大して患者に重い負担を求めるもの。“命の沙汰も金次第”にしようとしています。

 また、生活保護について、今でも本来対象となる人の2割程度にしか利用されていない制度をさらに改悪し、保護の打ち切りにつながる「有期制」や、現在は無料で受けられる医療への「自己負担」導入などを盛り込み、給付をさらに絞り込もうとしています。

(引用ここまで)

この赤旗の記事でももう十分ですが、もう少し考えてみましょう。

橋下政治が本当に「真の弱者」を援助しようとすると仮定してみるのです。そのためには、橋下は「真の弱者」と「真の弱者ではない弱者」をより分ける必要があります。

まず、絶対ここで橋下は「真の弱者」をきびしく定義して、援助すべき「真の弱者」の数をできるだけ減らそうとするはずです。それが橋下の目的なのですから。

そうしてたとえば数人の「真の弱者」だけに最低限の援助をすれば、橋下にとって「真の弱者を援助しました」と強弁することも可能になります。まず、それは、橋下が「真の弱者」とみなさなかった多くの人を見捨て、苦しめるというサディズムにほかなりません。

では、少なくとも「そのような真の弱者は本当に援助された」と言えるでしょうか?私の答えはノーです。

なぜなら、人間としての尊厳も何もない、そんな「真の弱者認定」をされて、最低限の援助を橋下がいつはく奪するかわからず、さらに、マスコミや一般人による生活保護バッシングの吹き荒れる日本社会の中で誇りを失わず、不安なしに暮らせる人がいるとはとても思えないからです。

「真の弱者認定」という言葉を信じてはいけません。

さらに、次のツイートのやり取りをごらんください。

じこぼう @kinkuma0327 「本当の弱者(真の弱者)こそ救うべきだ」と喧伝する人たちを観察していると、彼らの話題に上るのは「本当の弱者ではないのは誰か?」という話ばかりで、彼らが考える「本当の弱者」というのが一体どんな人たちのことなのか皆目イメージできなくて困惑してしまいます。
13 Sept 12 RépondreRetweeterFavori
じこぼう @kinkuma0327 13 Sept 12 「本当の弱者(真の弱者)こそ救うべきだ」と喧伝する人たちを観察していると、彼らの話題に上るのは「本当の弱者ではないのは誰か?」という話ばかりで、彼らが考える「本当の弱者」というのが一体どんな人たちのことなのか皆目イメージできなくて困惑してしまいます。
英NA@世の中にうんざりする会会員 @WATERMAN1996 彼らの考える本当の弱者の姿が語られないのは、言語化してしまうとその非常識さが明らかになるためだろう。毎日ハローワークに通い、再就職のために職業訓練に勤しみ、もちろん嗜好品は嗜まず、外食もしない。 RT @kinkuma0327
15 Sept 12 RépondreRetweeterFavori(転載ここまで)

言ってみれば、今の日本において、「真の弱者」と「それ以外の弱者」の「区別」そのものが現実的にはいじめのような仕打ちであるということです。「真の弱者」にとっても、「それ以外の弱者」にとっても。

それにしても、意識的なのか無意識的なのか、弱者を援助した実績のない政治グループとして、「真の弱者」という冷酷でサディスティックな手口を橋下とその一派はよく考え付くものです。  

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コメント
 
01. 2012年9月22日 23:01:16 : RJvneUL1qY
真の弱者と言う言葉を使うことによって
救済すべき対象である弱者の認定を限定的にすることで
政策的に救済対象を極小化する意図なんでしょ。
手足がないとかなら真の弱者として認定して救済するが
それ以外の個人の不利な状況なんて自己責任だから知りません
‥ってなことなんでそ。。

02. 2012年9月22日 23:02:27 : JPAQOeOngM
「弱者」という区別がすでにあるわけですけどね。
この記事書いた人には、「弱者」と「弱者以外」を区別するのもいじめである
という観点は、都合良く存在しないのでしょうね。

03. 2012年9月22日 23:21:17 : pwAFz85QEE
話のような「真の弱者」がいたら、救う必要性はないんじゃないの。

04. 2012年9月22日 23:35:39 : pIW4zCF7mE
【グローバルアイ】韓国の安哲秀と日本の安哲秀
2012年09月22日11時11分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]12日晩、大阪のホテルで開かれた政治資金パーティー。日本政界の43歳の期待株である橋下徹大阪市長が「日本維新の会」という全国政党の結成を公式宣言した。橋下氏は年内に行われる可能性が高い総選挙で旋風を巻き起こそうとしている。

「これほどたくさんの方々が来てくださるとは、ハハハ…。大阪都構想、3年前にメディアはどう論じていたか。どこの新聞、テレビ、有識者もコメンテイターもバカばっかり。たかだか3年後のことを予測できない連中が、30年後、40年後の日本なんか語る資格なし」。

“大阪都構想”を強調しながらメディアを批判することで橋下氏の演説は始まった。ノータイに原稿もなく、一瞬も止まらず体を動かしていた。人をそれとなく見下すような語り口の橋下氏らしさが目立った23分間のワンマンショーだった。他の党から迎えた議員7人を戦利品のように演壇に上げた橋下氏は「日本の新しい道をつくる」と声を高めた。

日本地図が描かれた新党のロゴを指しながら、地図にありもしない独島(ドクト、日本名・竹島)と尖閣諸島が入っていると強調するのも橋下氏らしかった。“日本の安哲秀(アン・チョルス)”橋下氏はこのようにラッパを吹いた。

その1週間後の19日、今度は韓国の本当の安哲秀氏が大統領選出馬を宣言した。全く違う雰囲気だった。ネクタイをした安氏はプロンプター(文字ディスプレーモニター)に映し出された原稿を落ち着いて読んでいった。普段とは違って声に力が入り、決然たる態度を表わそうと努めた。しかし「真面目さと柔弱、多少アマチュアリズム」と要約されるイメージは隠れなかった。

橋下氏が“日本の安哲秀”と呼ばれる理由は、「既存の政党と既存の政治に対する極度の不満」を抱いて“古い政治との決別”を前面に出したからだ。しかし2人のスタイルと政治方式は全く違う。

橋下氏の夢は、限りない政争で毎年のように首相が代わる日本政治の柔弱さをたたきつぶすことだ。このために激しく見えるほどのマッチョ的な態度で「強力な指導者」という印象を植えつけようとしている。

先日、日本のある週刊誌がホステスと橋下氏の不倫を暴露した。7人の子どもの父である橋下氏は「公職に進出する前は聖人君子のような生き方をしてきたわけではない」と堂々とした態度を見せ、国民を唖然とさせた。

橋下氏は「働かず予算を食いつぶす国会」「愛国心不足で日の丸にも起立しない左翼教師」「体に入れ墨をした大阪市庁職員」のような仮想の敵を自ら作って戦う。橋下氏にとって政治は限りない闘争であり戦争だ。大統領選出馬宣言で「分裂よりも統合」「独走よりも水平的リーダーシップ」を強調した韓国の安哲秀とは違った接近法だ。

2人の挑戦は今スタートしたばかりだ。違うスタイル、違う方法で挑戦を始めた2人のうち、果たして誰が笑って誰が泣くのだろうか。

http://japanese.joins.com/article/027/160027.html?servcode=100§code=140

※韓国版の橋下が大統領選に登場。李大統領の竹島訪問、朴候補による対北対話促進のような発言の裏には日本の極右潰しの陰謀が隠れているのか?


05. 2012年9月22日 23:43:49 : VXP60kBWUM
$国民全員に開かれた機会の平等を出発点として自助、共助、公助の範囲と役割を明確にすること、公助から既得権を排し真の弱者支援に徹すること、そして現役世代を活性化し、世代間の協力関係を再構築することが必要です。$

この言葉を180度否定して、全ての国民を弱者にするべきなのだろうか。

弱者といわれる国民の中に散見される弱者でない不正義。

最も安定し生活を自らの手で保証している公務員が、官製ワーキングプアなる労働者を下働きに使い、低次元の不正に無感覚な不正義。

このよう歪みに、弱者でない国民が耐えることができるのだろうか。

これを、どんな言語で表現するのだろうか。答えがなければ無責任。


06. 2012年9月22日 23:59:26 : selhRlRksU
ジェンガというゲームを連想した。
一種の積み木だが、下から抜いたブロックをどんどん上に載せていく。
すると全体はどんどん不安定になり、やがてガラガラと崩れ落ちる。

07. 2012年9月23日 00:02:33 : 920bnM01tQ
今や周回遅れの新自由主義。

アメリカで99%の人のためのデモが起き、

EUは市場原理で破綻した国家の国債救済に公的資金を投入。

そういえばアメリカでもリーマンショックで巨額の公的資金で金融機関が生かされる。それに先立つエンロンやワールドコムの破綻は巨大なポンジー詐欺。

アメリカ人の5000万人の健康保険の外部にいる人がいる。これを追いかける日本。金のない人は病気になればお終い。それでも犯罪に走って頑張る。

これでは警官も刑務所収容人員も不足。今のアメリカ。

そういう社会にしたい人がいる。相当のアホだ。


08. 2012年9月23日 00:28:40 : Us32PDvsao
>橋下政治が本当に「真の弱者」を援助しようとすると仮定してみるのです。そのためには、橋下は「真の弱者」と「真の弱者ではない弱者」をより分ける必要があります。

>まず、絶対ここで橋下は「真の弱者」をきびしく定義して、援助すべき「真の弱者」の数をできるだけ減らそうとするはずです。それが橋下の目的なのですから。

これはほぼ同意します。
「真の弱者」と「真の弱者ではない弱者」を切り分ける基準を官僚・公務員の裁量に委ねたら、水際作戦同様、多くの困窮者が追い詰められ、自殺や犯罪やホームレスに追い込まれるでしょうね。

【生活保護のリアル みわよしこ】
◆本当に必要な生活保護費は、年間45兆円!?
 あまりにも「リアル」から遠ざけられている私たち
2010年、生活保護費は3兆円を突破した。2012年度当初予算では、生活保護費は
3兆7000万円とされている。しかし現在、真に必要な生活保護費は、筆者試算では、
最大約45兆円となる。削減に向かう生活保護制度とリアルは、あまりにも
かけ離れているのだ。
http://sys.diamond.jp/r/c.do?exI_1OtZ_4M_vow
昭和24年、日本の公的社会保障制度の中で最初に作られた生活保護制度には、
現在、日本の社会と社会保障制度の抱えるあらゆる問題点が押し付けられている。
逆に言えば、生活保護とその周辺を見つめれば、あなた自身の、日本全体の問題が見えてくるということだ。
今回は連載を締めくくるに当たり、生活保護をめぐる問題の本質に迫り、解決の方向性に関する提案を行う。
■生活保護費が増大し続ける本当の理由
ホームレスは最近、都心に近い市街地だけではなく、郊外でも多くなった。
都心で暮らせなくなったホームレスが郊外に移動したり、郊外で住まいを失った人が近辺でホームレス化したりしているのである。
「見れども見えず」となった時が、最大の危機かもしれない。 Photo by Yoshiko Miwa
2010年、生活保護費は3兆円を突破した。2012年度当初予算では、生活保護費は3兆7000万円とされている。
今後も、増加が危惧されている。
しかし現在、真に必要な生活保護費は、筆者の試算では、最大で、約45兆円となる。
この試算は、厚生労働省が発表した日本の相対貧困率(2009年)「15.7%」を出発点としている。
過大見積り・過少見積りの可能性はあるけれども、現在、貧困率に関する唯一の公的データである。
東日本大震災の後、相対貧困率はさらに高くなっていると考えられる。
現在の相対貧困率は判明していないので、約20%と仮定する。
すると、相対的貧困状態にある人口は、約2500万人となる。
2012年の生活保護受給者数を210万人とすれば、現在の日本の生活保護率は、約1.65%となる。
もし、困窮者の全員が生活保護を受給するとすれば、現在の約12倍の生活保護費が必要ということになる。
2012年度当初予算の生活保護費である3.7兆円を12倍すると、44.4兆円となる。
貧困問題を生活保護制度によって解決するためには、約45兆円が必要ということだ。
「生活保護費が増大し、このままでは国や自治体の財政が破綻する」というのは、当然の話だ。
国や自治体が破綻するかどうかはともかく、実情に対して少なすぎる予算は、破綻するに決まっている。
現在の生活保護費予算は、本来必要な予算額に対して、1桁足りない。
■濫給問題と漏給問題
本連載では、生活保護に関する2つの「不正」について、敢えて取り上げなかった。
1つは、あまりにも小さな問題であり、もう1つは、あまりにも大きすぎる問題であるからだ。
「小さな問題」の方は、濫給(不正受給)である。
あってはならないことではあるが、金額では0.5%前後にすぎない。
告発に至るまでの調査等のコスト(注1)も考慮すると、あえて告発する意義が疑わしくなってくるほどだ。
人数では、告発された1件につき1人が関わっているとして、生活保護受給者の1.4%程度。
同一人物が濫給を繰り返している可能性を考慮すれば、さらに少なくなる。
(注1)ケースワーカー数名に聞いたところでは、不正受給摘発のコストは「不正受給された金額の少なくとも3倍程度」ということである。
「大きすぎる問題」の方は、漏給である。
漏給とは、生活保護を受給する資格のある人が受給しない・受給できないことである。
問題の深刻さと規模で言えば、濫給より漏給の方がずっと大きな問題だ。
濫給の犠牲者はいないが、漏給の犠牲者は既に数多い。困窮者の「餓死」「孤立死」は、漏給の犠牲に他ならない。
「濫給を摘発すれば、漏給もなくせるではないか」という意見もありそうだが、
摘発のコストを考えると、濫給の摘発が漏給問題を解決するとは言えないだろう。
漏給問題は、生活保護にまつわる最大の問題であるが、
ここでは、国家規模の「なさざるの悪」である可能性を指摘するにとどめる。
困窮者は、いわば国内に発生した経済難民である。
漏給とは、経済難民を見殺しにするということである。先進国に許される振る舞いではない。
■もし、日本人全員が生活保護を受給することになっても日本は破綻しない
生活保護に関して考えられる最悪の可能性は、「日本の全員が生活保護を受給することになる」である。
この場合、必要な生活保護費は、約225兆円となる。
2011年度、日本の実質GDPは、約511.5兆円であった(内閣府「国民経済計算」による)。
「約225兆円」は巨額ではあるけれども、分配を根本的に見なおせば、支出できない費用というわけではない。
もちろん、「日本の全員が生活保護」という事態が発生する時、「働ける人は可能な限り働く」を前提としても、
現在の経済生産性は維持できないだろう。
しかし、GDPが現在の半分になったとしても、まだ日本の全員の生活保護費を賄って余りあるのだ。
だから「生活保護費の増大が問題」というよりは、「日本という国の社会設計や分配のありようが問題である」と考えるのが自然ではないだろうか。
少なくとも現在、貧困状態にある人々が全員生活保護を受給したくらいで国が破綻するほどには、日本の経済状態は悪化していない。
腰を据えて考え、根本的な対策を練り、実行する時間は、まだ残されている。
■困窮者だけを救う制度ではなく誰もが恩恵に浴する社会保障制度へ
現在必要なのは、貧困であるか富裕であるかに関係なく、誰もが恩恵に浴することのできる社会保障制度であろう。
筆者は、すべての人が「自分が社会を支え、同時に、社会に支えられている」と自覚できることが、健全な社会の条件の1つであると考えている。
現在の生活保護制度を発展的に解消し、健全な社会を実現するための制度として再構成することが可能であれば、最良の成り行きではないだろうか?
筆者は、その再構成の方法として、「ベーシック・インカム」を支持する。
ベーシック・インカムは、全員に対して、無条件に与えられる給付である。
憲法第25条の生存権規定、
「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」
を具現化したのが、生活保護法であった。「すべて国民は」「権利を有する」というのなら、
困窮の末に申請しなくては利用できない生活保護制度ではなく、
すべての人々に対して等しく適用されるベーシック・インカム制度の方が、より正確に具現化された「生存権」であろう。
望ましいベーシック・インカム制度のあり方については、支持者の中でも「適切な金額は?」「財源は?」といった議論がある。
「ベーシック・インカム制度導入と同時に累進課税を強化し、貧困層の収入が生活保護水準以下にはならないようにする」
というところでは基本的に合意が見られ、同時に、富裕層が「損をさせられる」と感じない制度設計の必要性でも合意が見られる。
それは「では、どうやって?」という議論の始まりでもある。
また、ベーシック・インカム制度によって社会の生産性が低下すれば、長期的には制度が維持できなくなる。
ではどうすればよいのか。
「働いたら損」ということにならない制度設計をすることと、
「働いたら損だと思う人は労働市場に出てこなくていい」と割り切ることのどちらが、社会全体の生産性の維持・向上に役立つのか。議論は尽きない。
現在の日本で、「すべての人の生存を保障する」という目標を実現することは、外国との戦争より困難な取り組みかもしれない。
それは「日本を作り変える」も同然だからだ。
しかし、格差の拡大がこのまま続けば、日本は、同様の経緯をたどって国力を失って行った国々の後を追うことになる。
まずは、生存を保障することに取り組めないであろうか? その上で、労働のあり方を見直せないであろうか? 
「最終的に失敗したら、IMFに介入してもらってゼロから立て直せばいいさ」と、
楽観的に取り組み始めれば、「社会の再構築」という難事業は、案外、容易に達成できるかもしれない。
過去に試みなかった努力は、試みてみる価値がある。
将来への希望を抱きつづけるために、まず、現在の「リアル」を見つめよう。
本連載が、「生活保護」という窓を通して「自分自身と周辺のリアル」「日本のリアル」を見つめるきっかけとなれば、筆者として、これに勝る喜びはない。
http://diamond.jp/articles/-/25092

>■困窮者だけを救う制度ではなく誰もが恩恵に浴する社会保障制度へ

ベーシックインカムという解決策が適切なのかどうかはともかく、
「困窮者だけを救う制度ではなく誰もが恩恵に浴する社会保障制度へ」という
発想の転換は賛成です。

私は、ベーシックインカムと生活保護制度の中間的な案としての
負の所得税、給付付き税額控除の導入が現実的ではないだろうかと思っています。


■飯田泰之@iida_yasuyuki(経済学者・駒澤大学准教授)
月3万というのは結構アリな考え方.一番広く薄い社会保障として3万円BI,プラス3万上限の負の所得税,
十分な審査を伴う生活保護のように重層化するとよい:
ベーシック・インカムについての個人的見解 - A.R.N [日記]
http://d.hatena.ne.jp/arn/20120630/
http://twitter.com/iida_yasuyuki/status/219631891169550336
「社会保障制度、特に最低レベルの保障に対して、
厳格で運用が容易なルールに基づいた解決をおこなわなければなりません。
そのひとつがBIであり、負の所得税です。」
(飯田泰之『ベーシックインカムは究極の社会保障か』) ‪#bijp‬ ‪#ベーシックインカム‬
http://twitter.com/basic_income/status/220774757858152448
・ベーシックインカム月3万
・負の所得税 月0〜5万くらい(所得に反比例)
・生活保護
による三層のセーフティネット構想案

【負の所得税】
所得が一定額に達しない者に対し、政府が給付金を支払う制度。
課税最低限との差額の一定割合の金を給付する。
http://kotobank.jp/word/%E8%B2%A0%E3%81%AE%E6%89%80%E5%BE%97%E7%A8%8E
■そろそろ「負の所得税」をまじめに考えてもいいのではないか(山口浩/駒澤大学教授)
http://www.h-yamaguchi.net/2005/07/post_01a6.html

実は「負の所得税」は小沢氏も提案していた!

■ミルトン・フリードマンが提唱した負の所得税が有名である。
実際にはイギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで一部導入され、拡大されつつある。
アメリカ合衆国における勤労税額控除もこの負の所得税のバリエーションだと評価される。
日本においては小沢一郎が党首を務めた自由党が負の所得税に近い政策を掲げていた。
また、小沢が民主党の代表選挙に出馬する際に、再びこの公約が掲げられた。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%90%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%82%BA%E3%83%A0

生活手当て=負の所得税という発想の根本にあるのは、主に、
 ・セーフティネットがあることを信じてチャレンジする社会にしたい
 ・政府の裁量をできる限り小さくしたい
 ・複雑怪奇な社会保障制度を簡素化したい
という3点。

生活手当て=負の所得税こそ、生活党が掲げる「自立と共生」の理念を具現化する政策。

貧困格差〜ワーキングプアの関連の政策は「負の所得税」が人類史上最強の方法だと思う。
自ら稼ぐインセンティブを削がずに一定の生活保障をするにはどう考えてもこれ以外ありえない。

進化の方向:所得控除→税額控除→給付付税額控除→負の所得税

■ほど遠い改革…“給付付き税額控除”ですら導入されず
最低賃金については、生活保護との「逆転現象」が話題だ。
厚生労働相の諮問機関である中央最低賃金審議会の小委員会は25日、
2012年度の地域別最低賃金について引き上げ幅の「目安」をまとめた。
時給で示す最低賃金の全国平均は前年度比7円増の744円に上昇する見通しだ。
実際の引き上げ幅は地域の審議会に委ねられる。
しかし、最低賃金で働いた場合の収入が生活保護の支給水準を下回る「逆転」は現在11都道府県で発生し、
今回の引き上げでも幾分か残る見込みだ。
生活保護との逆転現象を解消する方法として最低賃金を引き上げた場合、雇用や社会にどのような影響を与えるのか。
標準的な経済理論は、最低賃金制度と雇用の関係について明確な答えを持っていないのが実情だ。
労働市場が完全競争市場とすれば、最低賃金制度は、それ以下でも働きたい人の雇用機会を奪うので雇用にマイナスだが、
需要独占などの非完全競争市場であれば、最低賃金制度があっても雇用は必ずしも減少しない場合もある。
実態としてどうなのかというと、これまでの実証研究の結果では答えははっきりしていない。
これがミクロ的な経済学の現状である。
一方、マクロ的にみれば、十分な有効需要がないと、全体としては失業が発生し雇用が減少する。
というわけで、最低賃金制度のいかんを問わず、マクロ的な雇用拡大策が優先されるというわけだ。
もっとも、この実情は労働関係の経済学者にとっては面白くない結果だから、マクロ政策を労働関係の経済学者が主張することはまずない。
ともあれ、最低賃金制度と雇用の関係ははっきりしていないのだが、最低賃金を上げると部分的に低所得者層が潤い、
その分は企業からの持ち出しになるのは間違いない。
ということは、特定層の社会政策を行うコストを特定企業に押しつけていいかという問題になる。
そうした社会政策を肯定的に捉えるならば、そのコストは特定企業だけではなく社会全体で負担すべきだ。
そうであれば、問題解決はおのずと最低賃金制度ではなく、ベーシック・インカムともいわれる最低保障制度で対応すべきとなる。
もちろん生活保護は最低保障制度の中に取り込まれていく。
つまり、政策の方向性としては、最低賃金制度や生活保護制度はなくなり、ベーシック・インカムがその代替策となるというわけだ。
もっとも今の段階で、そうした社会政策の大胆な改革を実践している国はない。
欧米ではベーシック・インカムへの方向として給付付き税額控除制度が定着しつつあり、生活保護は徐々にそれに吸収されている。
ただ、最低賃金制度は適用除外などがありつつもまだ存続している国が多い。
日本ではまだ給付付き税額控除すら導入されていない。
税と社会保障改革でも、消費税引き上げばかりで、こうした本物の改革にはほど遠い状況だ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20120731/plt1207310707000-n1.htm
【給付付き税額控除導入国】イギリス、フランス、オランダ、ベルギー、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、カナダ、ニュージーランド、アメリカ等
http://www.tkfd.or.jp/research/project/project.php?id=12
この給付つき税額控除をさらに進化させたのが「負の所得税」。
生活保護制度など既存の給付型福祉制度のほとんどをこの「負の所得税」に置き換えれば
財政支出のムダも大幅に削減できるし、生活保護制度の不備・不公平、年金制度との不整合等の問題も解消できる。

4. 生活保護制度の改良は必要
日本は母親が勤労しているのに貧困に陥っている母子家庭がOECD諸国の中で飛びぬけて多く
(平成22年版 男女共同参画白書 - 第1部 第5章)、
もっと生活保護制度は批判されても良いと思うのだが、なぜか対策は後回しにされている。
現状では生活保護制度の不正は0.4%程度なので、スクリーニングに大きな問題は無い。
しかし、インセンティブ・メカニズムには大きな問題があり、
困窮者が自助努力を放棄したり、本来ならば生活保護が必要な家計が利用できていなかったりする。
頑張る人が得にならない社会と言うのは、道徳的とは言えない。
BIも負の所得税もインセンティブ・メカニズムは大きく改善するが、
BIは政府予算の劇的な拡大を招く為、受け入れられる可能性は低い。
最終的にはそうはならないが、ばら撒きと見なされる可能性も大きく、
負の所得税を導入する方が現実的であろう。
http://www.anlyznews.com/2012/03/blog-post_17.html
完璧な制度はない。
ただ、総合的に見ると、負の所得税>ベーシックインカム>生活保護制度。
まずは給付付き税額控除、
この給付付き税額控除に段階的に生活保護や役に立たないアドホックな福祉制度を統合し、
負の所得税に近づけてゆく。

生活党は、負の所得税を目玉公約にしてはどうだろうか。
名称は、「生活手当て」の類がよいと思う。


09. 2012年9月23日 07:27:04 : n9YxCr1oPs
真の弱者と表現してしまう現状として
生活保護や障碍者年金
一般人より行政にうまく交渉できるものに
多くの利得が与えられているような
不公平感があり もらえるものは
とことんもらわないと損だし
もらえるのにもらわない奴はバカだとして
得意がる人間に対しての嫌悪する
人たちは結構多い
実際に、周りに障碍者補助とか介護など
できるのにできないようにして
多くの補助をもらって得意がる人がいて
そんな話を聞くとかわいそうとか
大変だねという感情より
俺らの保険金なんだと不快感を持つ
役人が「真の弱者」を細かくきめる制度より
ベーシックインカムの方がすっきりする
よく現金給付はバラマキなので現物支給と
右も左も主張するが
(ノビテルは子供手当は親のパチンコ代補助とはほざいたし
瑞穂は公立の保育園の充実の現物支給云々)
公は生きるための最低額は保障するが
何に使うかは受給者にまかせる
それでいいのではないか
子供手当でベビーシッターを雇うか
専業主婦になるか
それぞれの価値観でよいと思うのだ
それより一般人として
ずるい奴との公的補助の格差があることが
怒りを覚えるのだ

10. 2012年9月23日 07:35:25 : 1PVDved2aw
>>09
>役人が「真の弱者」を細かくきめる制度より
ベーシックインカムの方がすっきりする
よく現金給付はバラマキなので現物支給と
右も左も主張するが
(ノビテルは子供手当は親のパチンコ代補助とはほざいたし
瑞穂は公立の保育園の充実の現物支給云々)
公は生きるための最低額は保障するが
何に使うかは受給者にまかせる
それでいいのではないか


同意同感です。賛成です。
負の所得税もそうですが、客観的な一定の基準に当てはまれば、
誰にでも平等にばらまいたほうが公平ですよね。


11. 2012年9月23日 10:54:41 : b369yi0crY
>誰にでも平等にばらまいたほうが公平ですよね。

所得制限は当然なしですね。
年収2000万円だろうが年収80万円だろが、もらえる額は一緒。

これが公平というもので「客観的な一定の基準に当ては」めるというのであれば
公平ではありません。


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