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永久保存、「田原総一朗・田崎史郎の対談」 衆議院選、維新の勝利確定だそうだ
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2012年09月21日 世相を斬る あいば達也
橋下徹へのふたりの評価は、殆どが“オベンチャラ”である。理由は簡単、次期衆議院選で比較第一党になるかもしれない「日本維新の会」を率いる人気者なのだから、TV芸者の二人が冷徹な評論をしているようで、橋下の琴線に触れるような核心は語っていない。筆者などは、日毎夜毎「日本維新の会」の人気は下火になると推察する。色々と理由はあるが、国政で崩壊する元凶は、国会を制するほどの人材が集まらない事である。
開けてビックリの候補者の名前が並び、殆どの選挙区で“泡沫候補者”のレッテルの横に、デカデカと「日本維新の会」の文字が宙を舞うに違いない。橋下と松井の口車に乗った、憐れな地方議員や塾生は、資産を失い、下手をすると自己破産予備軍の大量生産“夏草や兵達が夢のあと”ならまだしも、“兵”(つわもの)にさえなれずに、“泡沫の破産びと数知れず”(詠み人しらず)と云うのが結末なのだろう。
日刊ゲンダイなどでは、既にメッキが剥げ出した「支持率2%」なんて報じている(笑)。松野頼久以外は、次期衆議院選で落選確実の現職議員の駆け込み寺。維新からの出馬を表明している、塾生もまだいないようだ。選ぶどころか、候補者が名乗り出ないようでは、セレクトなんて笑い話に過ぎないだろう。定員300人の学校で、数人の受験生に筆記試験するが如しだ。アノ腹イタ安倍晋三までが逃げ出し、橋下はどうも…等と言われるし、石原も相当ケチョンケチョンに橋下批判をはじめた。
橋下が最後に頼るのは小沢一郎なのだ。筆者は個人的に「国民連合」に維新の会を含めるのは如何か?と思うのだが、懐が深い小沢一郎だけに、“窮鳥懐に入れば猟師も殺さず”と云うスッキリしない現実もあるのかもしれない。まぁ、枝と葉っぱが見え過ぎて、情報過多に陥っている老評論家「田原・田崎の対談」をお愉しみください(笑)。それではこの辺で、オヤスミナサイ!
≪ 核心対談 田原総一朗×田崎史郎 橋下新党が勝つ可能性が高い
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/33556
■政策なんてどうでもいい
田原 橋下徹という人は、政治家としてとてもセンスがいいし、度胸もある。ただし、政策についての知識はない。これは橋下さん自身もよくわかっていて、いろんな人をブレーンにしているんですね。
そのブレーンの顔ぶれを見たら共通項がある。たとえば経産省を飛び出した古賀茂明さん、やはり経産省(=旧通産省)OBの堺屋太一さん、前横浜市長の中田宏さんといった人たちが象徴的ですが、彼らは官僚が大嫌いなんです。だから、大阪維新の会の政策は当初、脱官僚の色合いが非常に強かったわけです。ただ、最近では橋下さんも、官僚をうまく使ったほうがいいんじゃないかと考えるようになった気がします。
では、脱官僚色が薄まって、維新の会が何をやろうとしているかと言えば衆議院議員を半分にするとか、参議院をなくせとか、首相公選制の導入とか。僕は大阪都構想には全面的に賛成だけど、維新八策の多くは世論迎合で、疑問ありだと思っています。
田崎 そうですね。私も橋下さんはセンスや度胸があるし、何より「うまいな」という感じがします。ただし、維新の政策についてはよくわからない。維新八策を見ても、個々の政策をいつまでに実現するのかという目標年度がまったく書かれていない。10年後なのか20年後なのか。
厳しい言い方をしますが、維新の会が今のような熱狂的人気を得られるのは次の総選挙まで、よく続いて来年の参議院選挙までだと、私は見ています。であればこそ、向こう4年間のうちに何を実現するのか。そこをはっきりしてもらわないと、有権者に判断材料を示したことにならないと思うんです。 田原 橋下さんは僕に「もともと政策には興味がなくて、政策は専門家がつくればいい。自分は体制をつくるんだ」と明言しました。
彼が打ち出した大阪都構想、公務員制度改革、教育改革といった大きな柱はどれも賛成だし、いい改革だと思う。しかし、維新八策の中身は抽象的なんです。 田崎 それでも維新の会が支持を集めるのは、「維新の会」という存在そのものが、政治を変えてくれる「記号」になっているからでしょう。
田原 そうですよ。政策の中身はともかくね。
田崎 維新の会と 政策でいちばん近いのは、みんなの党です。みんなの党は今年初めから、古賀さんや元財務官僚の高橋洋一さんを維新の会に送り込んで、維新八策がみんなの党 の政策に近くなるように積み重ねていった。それなのに、最近ではみんなの党を抜けて維新の会に合流しようという議員が出たり、渡辺喜美代表と橋下さんの トップ会談が物別れに終わったりして、両党の関係は悪化しています。渡辺さんからすれば、橋下さんに突然、肘鉄を食らったような気分に違いありません。
なぜそうなったか。ある自民党議員によると、結局、橋下さんは渡辺さんを信用していない、と。また橋下さんに近い中田宏さんと、みんなの党の江田憲司幹事長が不仲で、うまくいかなかったという説もある。
田原 みんなの党自体、渡辺さんと江田さんの仲が悪い。一本化していない。
田崎 いずれにしても、橋下さんたちは案外、政策に関する考え方の違いより、人間関係で判断しているのかもしれない。もっと言えば、自分たちにとって役に立つかどうかで、 非常に合理的な判断をしているんじゃないかと思います。
田原 それは明確でしょう。渡辺さんはやや強引に、みんなの党を中心にした維新の会との合流を考えていた。実際、み
んなの党にはすでに衆参合わせて16人の国会議員がいるのに、維新の会はゼロですから。
ところが橋下さんにしてみれば、冗談じゃない、維新の会が中心だと。
田崎 渡辺さんは、維新の会は国政を知らないのだから、自分たちが面倒を見てやるという気持ちだったはずです。ところが、橋下さんは、それはたいした問題じゃない、こっちのほうがずっと勢いがあるという判断だったのでしょう。
田原 それに、そっち(みんなの党)は分裂寸前じゃないかという思いもある。
■謝り方が実にうまい
田崎 今回のみんなの党との行き違いを見ても、橋下さんが、きちんと戦略戦術を立てて動いているとは考えにくい。今年前半には、みんなの党との連携を考える一方で、自民党 の安倍晋三元総理とのルートも探っていたわけですから。
田原 それと石原 慎太郎都知事ね。今年の初め、橋下さんは本気で石原さんと組もうとしていた。それで僕は橋下さんに聞いたわけです。「石原さんは核兵器を持つべしと言っているが、あなたはそれに賛成か反対か」と。そしたら「それは維新の会がどう判断するかで、個人では答えられない」と逃げられましたけどね。
これは亀井静香さんが言っていたけれど、結局、石原さんは橋下さんに利用されて捨てられた。
田崎 そのとおりですね。だから、石原さんは大阪都構想で「都」という名称を使うことに反対しているし、最近は橋下さんにやや批判的になっている。
ともかく橋下さんは、そうやって選択肢を広げていって残った人たちを吸収する。寄せ集めでもなんでも、とりあえず政党要件さえ満たせばいいという、これも極めて合理的な判断です。
田原 僕は現在の 橋下さんや維新の会の人気を見て、思ったよりも持続しているなとい
う感想を持っています。というのは、橋下さんは当初あれほど強硬に反対していた大飯原発再稼働に賛成したでしょう。
なぜ賛成に転じたか、古賀茂明さんに聞いたんです。そしたら、大阪の中小企業の声が効いたと。つまり大企業は自家発電装置があるけれど、東大阪市 あたりの町工場にそんなものはないから、もし停電になったら甚大な損害をこうむる。それを補償してくれるのかと迫られて方向転換を余儀なくされたというんです。あれで橋下人気は落ちると僕は思っていたけれども、意外なほど落ちなかった。なぜだろうと思って大阪で取材したら、大阪は東京ほど、原発問題への関心が高くないんです。だから、大飯原発再稼働で橋下さんは決定的なミソをつけたかと思ったら、そうじゃなかった。
田崎 僕はむしろ、橋下さんが再稼働容認に転じた場面を見て、これこそ彼が人気を集める要因の一つだと思ったんです。謝り方が実にうまい。
田原 あれはやはり弁護士的ですね。
田崎 「自分が負けた」とはっきり言うでしょう。政治家は責任を取らないし、誤りを認めない。それが世間一般の政治家に対するイメージだと思いますが、橋下さんは違う。例の不倫スキャンダルのときもそうでしたよね。潔くスパッと謝る。ああいう姿を見せられると、国民の多くは「橋下さんは率直で正直じゃないか」という印象を持つ。それは今の政治家にいちばん欠けている部分です。
ただし、彼に政治家として確固とした考えがあるかどうかはわからない。むしろ、そういうものがあると思ったら、橋下徹という政治家を見誤るような気がするんです。
田原 個々の政策には興味がなくて、彼は日本の体制を変えたいと考えているんですから。橋下さんは堺屋さんにも「体制を変えるにはどうしたらいいんですか」と聞いている。 大阪都構想なんかではわかるんですが、どうしたら日本の体制を大きく変えられるか、まだ本人にもよくわかっていない。まさか、社会主義にしようと思っているんじゃないだろうし(笑)。
■裏切りも度量のうち
田崎 実は僕は、少し前、橋下さんにツイッターで叩かれましてね。脱原発のエネルギー政策について、彼にはそもそも考えがないんじゃないかとテレビ番組で言ったら、「三流コメンテーター」「もう少し政治を勉強してもらいたい」なんて書かれた。今をときめく橋下さんに注目されて光栄ですが(笑)、そのとき、彼は自分の考えがないと言われるのが一番嫌なのかなと思いました。
田原 彼のうまいところは、論争するとき相手に自分を徹底的に批判させておいて「じゃあ、あなたならどうするんですか」と切り返すところ。これをやられると、学者さんのようなインテリはたいてい答えられない。
田崎 僕は彼の政治スタイルをケンカ民主主義だと思っているんです。たえず敵をつくりつつ、相手をたたきのめす颯爽とした感じが人気を支えている。敵をつくるのがうまいという点では、小泉純一郎元総理に近いかもしれない。
田原 小泉さんといえば、こんなことがありましたよ。彼が総裁選に出たとき、亀井さんが橋本龍太郎さんを支持しようとした。そのとき小泉さんは亀井さんに言ったんです。「あなたが支持してくれないと私は絶対に勝てない。支持してくれたら百パーセント、あんたの意見を聞く。私が総理になっても本当の総理は亀井さんだ」と。
亀井さんは情にもろいところがあるから、小泉さんに乗って、いざ小泉さんが総理になったら見事に裏切られる。あのとき総理になった小泉さんに、僕は直接「あなたは総理になったけれど、人間的には問題がある」と言いました。すると小泉さんは「そのとおりです。だけど権力って、そういうもんですよ」って。橋下さんにも、そう言い切る度量があるのかどうか。
田崎 権力のもつ非情さですね。実際に橋下さんが権力についてみないとわかりませんけど、みんなの党との経緯をみても、十分にドライではある。
田原 ケンカ民主主義とおっしゃったけれど、民主党も自民党もケンカをしなさすぎなんです。だいたい訳がわからないでしょ。3党合意を結んだかと思えば、今度は問責決議なんて。民主党も似たようなもんで、馴れ合いでやっているから、ケンカ民主主義が受けるのかもしれない。
田崎 問題は、維新の会が橋下さん一人の人気でもっていることでしょう。 田原 だからこそ、橋下さんが新党「維新の会」の党首になるしかなかったんでしょうが、彼は現職の大阪市長です。自治体の首長として多忙なのに、新党のトップを本当に兼任できますか。こんなの前代未聞です。
田崎 難しいで しょうね。だからこそ僕は、橋下さんがどれだけ否定しても、いざとなれば自ら出馬するんじゃないかと見ています。
田原 次の総選挙に?
田崎 ええ。彼が どれだけ否定しても、そういう見方は消えない。
田原 彼が出馬すると言ったら、維新の会の人気はもうおしまいじゃないですか。大阪を放り出すのかと関西での人気はガタ落ちになるでしょう。
田崎 どうでしょうか。私は解散直後に彼が出馬宣言して、その勢いで総選挙に臨めば、維新の会は100議席ぐらいは獲るんじゃないかという気がします。
田原 でも、維新の会が強いのは近畿から西ですよ。その肝心のところで支持が落ちませんか。
田崎 かえって ワッと盛り上がりそうな感じがするんですよ。
ある民主党議員によれば、橋下さんは公示日の出陣式のことしか考えていないんじゃないかというんです。大阪城ホールに候補者全員を集めて、さあ、大阪秋の陣だと気勢をあげて全国に一斉に散らせるというような演出です。
田原 そういうことをやらせたら、本当にうまい。テレビ討論も得意で、「朝まで生テレビ!」で2回、彼を呼びましたが、もう圧勝です。本来、僕は出演者をつなぐ役割なのに、あまりに圧勝だから、最後は僕が橋下さんに切り込んでいかざるを得なかった(笑)。 政治家というのは断言しないんです。必ず逃げ道を用意しておく。ところが、彼は断言する。あれは新鮮でした。
田崎 テレビ局が撮りたがるような場面をつくっていくでしょう。テレビの視聴率とも関連しますが、最近の国民感情として、モヤモヤしたものをスパッと裁いてほしいという気分が強まっていると思うんです。橋下さんは、そういう欲求に鮮やかに応えてくれる存在なんですね。
つまり橋下人気は、今の国民感情とのシンクロナイズによって支えられていると言えます。
田原 とくにここにきて尖閣、竹島の問題で日本の若い層にナショナリズムが非常に高まっている。これまで自民党も民主党もアンチナショナリズムに徹してきたなかで、橋下さんのスパッとした裁きは、若い人の気持ちとフィットしているような気がする。
田崎 そこが恐くもあるのですが、橋下さんは自民党の安倍さんと組もうとしたわけでしょう。安倍さんは憲法改正派で、今年4月に持たれた安倍・橋下会談では、橋下さんが 「安倍総理、橋下総務大臣」を提案したという情報があります。
田原 大阪市長で 総務大臣は無理だろうから、やっぱり本人は出馬するつもりかな。ただ、安倍さんが自民党総裁になる前に橋下さんと組むのは、僕は絶対に反対でね。安倍さん本人にも言いましたけど、そんなことをしたら、誰も安倍さんについてこなくなる。
■橋下さんは日本最後の希望
田崎 維新の会が 既成政党と組むかどうかについてですが、これは来年夏の参院選を視野に入れるかどうかで変わってくる。来年の参院選を考えたら、維新の会は、それまで野党でいたほうがいい。与党になるとどうしても監視の目が厳しくなりますから。だから、すぐに既成政党と組んで与党になるのではなく、参院選を経て、衆参で安定した勢力をつくってから本格的な勝負に出るんじゃないかなと。
田原 そうでしょうね。ところで、今度の選挙のテーマは何でしょう? 実はこれがよくわからない。
田崎 維新の会は 明らかにアンチ既成政党ですが、既成政党どうしの対立軸は何かというと、民自公とその他政党の間には消費税増税という争点がある。もうひとつの原発については、民自公はほぼ同じです。
田原 争点がありそうでない。ただ、3年前の総選挙で国民は民主党を勝たせて、その結果、おおいに失望させられた。今度また維新の会に期待しても、どうせ失望させられるだけだと冷めているかというと、そうじゃない。
田崎 そうなんです。田原さんも同じだと思いますが、かつての日本新党ブームから、何度期待しては裏切られてきたか。だから、政治の世界には「幸せの青い鳥」はいないんですよと言うのですが、なかなか聞き入れられない。
田原 こういう期待には国民は何度でも乗るんです。 田崎 なぜですかね。こちらの言い方が悪いのかもしれませんが。 田原 「青い鳥」 がいないというのは、国民に対して酷ですよ。国民は常に期待したいし、政治には「青い鳥」を求め続けるものだと僕は思います。それで、いま「青い鳥」は誰かって言うと、橋下さんが一番それに近い存在なんです。
田崎 そういう期待が橋下さんや維新の会を、政治を変えてくれるモンスターのような存在にしたんでしょうね。このモンスターに対する国民の期待は、既成政党がどれだけ策を弄そうと、一度選挙をやるまでは萎みそうにありません。
田原 なにしろ、いろんな雑誌の選挙予想を見ても、維新から出馬する名前もわからないX氏が軒並み当選確実なんだから(笑)。しかも、そんなモンスターのような存在になって、橋下さんが戸惑っているかといえば、全然そんなことはない。むしろ自信満々だと思いますね。
「週刊現代」2012年9月22・29日号より≫(現代ビジネス:経済の死角より)
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