22. 2012年9月18日 14:20:03
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外国人との契約も守れぬ人、根拠ないウヌボレでアフれかえってる人、 70年80年前に帰れ。帰って考えよ。反省も進歩ものないのはチンタローと一緒だよ。いま蜱(ダニ)「シナ」なんて言って、そう言って悪いかフランスでもそういうヂャないかなどど反論した気になってる。白人の用語や基準を内面化してありがたがってる精神のヤミに気づけよ。あっ無理かっ!www70年80年前に帰れ。帰って考えよ。 http://www.ne.jp/asahi/tyuukiren/web-site/backnumber/06/kamota_gyakusatu.htm ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 母子の虐殺 −幼い子たちを次々刺殺−
鴨田好司 -----------------------------------------------------------
ちょうど畑の作物に実のついた八月の中旬のある日のことであった。山東省日照県大山の山岳で、夜明方、五四旅団の主力部隊は八路軍と遭遇し、激戦した一時間後のことである。 私は当時四年兵の上等兵で、旅団直轄小隊の軽機関銃手として、小隊長吉川貞二准尉の指揮で第一線に侵攻し、硝煙のけむる大山をよじのぼった。八路軍の主力は、西側に包囲陣を張った54旅団の一角を破りぬけ、山上には姿はなく、ただ、戦場だった山の中腹には、54旅団の砲撃によって、八路軍の戦士たちが、手、足をもぎとられ、腹や胴の肉がとび散り、岩壁にびったりひっついていた。 すっかり夜は明け、太陽が山間より照り出し、私の日前の屍や血潮で真っ赤に染められた岩壁より、ムッと、むせるように発散する血生臭いにおいが鼻をついてきた。 凄惨な地獄絵の中に、足をふるわせた私は、でこぼこした細い崖道をのぼった時、人がやっと入れるほら穴に目をつけた。穴の中に黒ぐろと人が二、三人うごめくのをみつけた。 「あっ…人だ!」 と私は叫んだ瞬間、本能的に腰にもった軽機関銃の引き金に手をかけていた。五、六発連続に撃ち込んだ弾丸は、曲がった穴の中で岩石にうちあたり、火花を散らし、はね返ってきた。 近くの岩かけで、中国人をみつけたのか、他の小隊の兵隊たちが、「いた、いた、逃がすな、撃て!ブッ殺せ!」と、わめく声が入り乱れ、小銃が二、三発なり響いた。時々、ダァン、ダァンと手榴弾の炸裂する音が、山いっぱいに、こだました。 「馬鹿!危ない、引っぱり出すんだ!」 うしろから吉川准尉に怒鳴られた私は、こわごわ穴の中に身をかがめた。 山の岩かげや、ほら穴にかくれている人々は、日本軍が、部落に侵入したので避難していた良民だった。この人々は、日本軍隊にみつかったら、どんな乱暴をうけるか、よく知っていた。手あたり次第に、農民を殺し、婦女を強姦する凶悪な強盗どもの目を逃れようとする住民たちは、わずかばかりの糧食と水を袋に入れ逃げているため、いつ日本軍がいなくなるか解らない状況では、食うものも食わず、呑むものも呑まず、着のみ着のままで身をかくすのがせいいっぱいだった。ただ、日本軍が遠いところにいなくなる事を願い、それまでは、極度の飢えと、夜の寒さにふるえ苦しまなければならなかった。この苦しい避難の中に、みつからずとも、どれだけの多くの人が、病に死に、水に渇し、飢えて死んでいったか、数知れない。 朝からの長い戦闘が始まったのに……戦闘が終わるのを今か、今かと、待ちあぐんでいた、大山附近の部落民たという事は、誰の目にもはっきり解った。このような何の罪もない、平和な生活をしている、無抵抗な中国の人を「戦場の掃蕩」と称して「神聖な皇軍」と誇る、日本軍が襲いかかり、大虐殺が、大山山岳いっぱいに押し広げられ、真っ赤な血に、山はぬりつぶされたのだ。 私がほら穴から引っぱり出した中国人は、武器一つもってない、土の臭いのする黒い野良着を着た、陽に真っ黒く焼けた顔をした、三十五歳位の男だった。そのあとから、生まれて何ヶ月もたたない赤ん坊を胸に、しっかり抱きしめた、多分男の妻であろう四十歳前後の婦人が青ざめた顔をして出てきた。その婦人の足もとに、まとわりつくように四つ位の丸坊主頭の男の子と、八つ位のオカッパの女の子が、洞の中から、私の銃剣に、おびえながら出てきた。 「よーし、…この野郎は八路だな! 俺が首を叩き斬ってやる、縛っとけ!」 吉川准尉の命令に、私はすぐさま男をうしろ手にねじ上げ縛った。そして、崖下で泣きわめいている十七歳位の少女を捕らえ、こずきあげている、二、三人の小隊の兵隊に男を引き渡した。 赤子をしっかり左手で抱きしめた女の人は、ほら穴の前にひざを折って座ったまま、二人の子供を両わきに、おびえふるえていた。そして縛った男を蹴とばし、なぐりつけている、崖下の日本兵の乱暴な動作に、オドオドと唇をふるわせ、私に向かって、何か解らないことをいった。 「夫は農民だ!夫を返せ!」と訴えている。正当な妻の抗議のようだった。 「我是、好老百姓!」という事だけは、中国語のよく解らない私にも、はっきり解った。まわりのいたいけない子供を私に示して、何回も乱れた髪をふりたて、哀願するその姿こそ、武器をもたない、善良な人々の鬼に対する、精いっぱいの抗議だった。 「鴨田! この女も餓鬼も八路の家族だ! 殺してしまえ!」 私の背にまわってきた吉川准尉の、拳銃をふりまわして怒鳴る声に、一歩下がった私は、銃剣をもち構え、母子の前に突き出した。私の突きつけた銃剣に、男の子は、火のついたように泣き出し、母親の胸にしがみついた。女の子も一緒に泣き出し、母親のまわりに固くしがみついた。母親は子供を背にかばい、必死に、ゴツンゴツンと岩石に額をあて、助けを求めた。 「鴨田!なにしている!殺せ!羽田の仇だ!」 吉川准尉のいらだった声が耳もとに響くのに、弾丸にあたって死んだ羽田の復仇心が、ムラムラと起こってきた。それよりも、もっと殺意が動いたのは、人殺しを何回となくやっている古兵のくせに、女、子供ぐらい殺すのに躊躇する自分が、意気地なしに思えたことによる。また小隊長の前で、腕のあげどころだと考えた私は、殺す腹がきまると、どのように殺してやろうかという、凶暴な殺気にみなぎっていた。 「どうか許してください……私には子供が…」 目に涙をいっぱいため、拝むようにして、私の足もとににじりよる女は、血を吐く切実な救いを、侵略者の私に求めているのだ。 「あなたには、父もあり母もある、兄妹もあるでしょう」 と、人の子と思えばこそ、人間の顔をしている私に、いたいけない無邪気な、この三人の子を、可憐と思うならと……私の一かけらの良心を求め、とりすがり、哀訴している。にじみ出た母親の涙の訴えを、私には聞き入れる良心の一片すら、どこにも見出せない、けだものだった。 「命令だ!」上官の命令は、天皇陛下の命令だ、と絶対服従の天皇を崇拝した「大和魂」をつけた私は、まさに、血に飢えた獣だった。キバをむいて荒れ狂った。私は女の横腹を思い切りけとばした。そして、母の背に、小さくなってふるえ泣き叫ぶ男の子の襟首をわしづかみに、岩石に叩きつけた。「アイヤァ…小孩子……小孩子!」 母親は、蹴られた痛みをこらえ、狂気のように岩石の上にあおむけに転がった男の子の体にしがみつき、離すまいと、固く胸もとにかばい、必死になって我が子を守ろうとして、突き出した私の銃剣をおさえた。 「クソ!反抗しやがるか!」 いきり立った私は、銃身で母親の顔を力いっぱいなぐりつけた。「あっ…」と、のけぞる女の顔は、皮膚が破れ、真っ赤な血が顔一面に吹き出した。それでもなおも我が子に近よろうと、赤子を胸に抱き、這いよってきた。 「小孩子……小孩子……」と叫ぶ母の声に…… 「媽……媽……!」 口から血を吹きだした男の子は、母のもとに四ツ這いににじりよった瞬間、私はその横腹に銃剣を芋刺につきさした。オカッパの女の子が「ワー……」と、顔に小さな両手をあて泣き出すのを、胸もと目がけて芋刺にし、岩石に叩きつけた。 「アイヤァ…ウ…」 母親は悲しみと憤怒に燃え「鬼子!」と叫んだ。そして血みどろの中でもがき、二人の愛児の屍にしがみついた。私は、呪いのこもった女の目に、ギョッとして、ひとかたまりになった母子の体を蹴とばし、女の腹を深く銃剣で突き刺した。 せまい山のほら穴の前の岩壁に囲まれた地点は、母子の血が、岩石の間を流れ出し、血だるまとなった母親は、固く赤子を抱きしめ……二人の子供の屍に重なり合い、苦しみもだえ、屍を抱きしめた。そしてだんだん唇が紫色に変色していく母親は、「オギャア、オギャアー」と泣く赤子の声に、薄く目をあけ、血にドロドロに染まった胸の衣を引き裂き、乳房を赤子の顔にあて、がっくりうっぷしてしまった。万魁のうらみをのんで私に殺された婦人の魂は、永久にその憎しみと呪いは消えない深い深いこのうらみを、中国の六億の同胞に訴えているのだ。 泣き叫ぶ赤ん坊は、冷たくなった母の胸もとに顔をよせ、紅葉のような両手をひろげ乳房を血の中に探し求めていた。 親が殺され、姉兄が殺されたのも知らぬ、無心な赤子は、けがれのない純真無垢な、人間の子として、本能的に母の肉体を求め、愛情を求めている。 血のしたたる銃剣をさげ、荒い息を吐きながら、 突っ立った私のうしろから…… 「ウッ……よーし、それで良い、今度はこいつの首斬りの番だ!」 吉川准尉の哄笑する、薄気味の悪い声が響いた。そして、私が縛った男は崖下で、吉川准尉の軍刀で首を斬られて殺された。 私は、今……何の理由もなく、ただ「戦争という、公然な理由をつけ」虐殺した、滔天の罪に深い慙愧と悔悟の念でいっぱいです。 (かもだ こうじ 中国帰還者連絡会会員) 1998年1月没 【略歴】 1921年 東京生まれ 所属部隊 第59師団第54旅団第111大隊 階級 兵長
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