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読売から
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20120914-OYT1T01589.htm
■エネルギー選択 「原発ゼロ」は戦略に値しない(9月15日付・読売社説)
◆経済・雇用への打撃軽視するな◆
電力を安定的に確保するための具体策も描かずに、「原子力発電ゼロ」を掲げたのは、極めて無責任である。
政府は「原発ゼロ」の方針を撤回し、現実的なエネルギー政策を示すべきだ。
政府のエネルギー・環境会議が、「2030年代に原発稼働ゼロ」を目指す「革新的エネルギー・環境戦略」をまとめた。
原発の新増設を認めず、運転開始から40年での廃炉を厳格に適用していくという。
◆肝心な部分は生煮え◆
古川国家戦略相は記者会見で、「原子力に関する問題点を先送りせず、真摯(しんし)に取り組む姿勢を示した」などと意義を強調した。
しかし、東京電力福島第一原発の事故を受けて抜本的に見直すとしていた将来の電源構成については、全体像を示せなかった。
こんな生煮えの“粗案”では、国家のエネルギー戦略に値しないと言えよう。
太陽光や風力など再生可能エネルギーの比率を、現在の約1割から3割に増やすとしているが、肝心の実現策は年末に先送りした。
原発の代替電源を確保する方策の中身も詰めずに、約20年先の「原発ゼロ」だけを決めるのは乱暴だ。
次期衆院選を前に「脱原発」の旗印を鮮明にした方が民主党に有利になる、と計算したに過ぎないのではないのか。初めに結論ありきと言われても仕方あるまい。
有識者会議による検討結果や経済界からの指摘に対応していないのも問題である。
各種の試算は、「原発ゼロ」にするには、再生エネ拡大に50兆円、省エネに100兆円を要するとしていた。国内総生産(GDP)は50兆円近く落ち込み、失業者も200万人増加する見通しだ。
だが「戦略」には、「あらゆる政策資源を投入する」とあるだけで、課題の解決策がない。
経団連の米倉弘昌会長は、「原発ゼロ」方針について、「雇用の維持に必死に頑張っている産業界としては、とても了承できない。まさに成長戦略に逆行している」などと、厳しく批判した。
電力不足と生産コストの上昇で産業空洞化が加速し、国民生活が脅かされかねないためだ。
◆矛盾だらけの内容◆
現在、全原発50基のうち48基が定期検査の終了後も再稼働できない状況が続いている。
火力発電の燃料費が年3兆円も余計にかかっている。このままでは東電以外の電力会社も電力料金の値上げが避けられない。
火力発電の比率が高まれば、政治的に不安定な中東に多くのエネルギーを依存する状況も続く。
「戦略」が、安全性を確認できた原発を重要電源として活用する方針を示したのは妥当である。電力安定供給のため、政府は再稼働の実現に努めねばならない。
それなのに政府は「原発ゼロ」をうたい、わざわざ再稼働に対する地元の理解取り付けを困難にした。ちぐはぐな対応だ。関西電力大飯原発の再稼働を容認した福井県の西川一誠知事も、政府の方針転換に不信感を表明している。
核燃料サイクル政策を継続しながら「原発ゼロ」を目指すというのは、明らかな矛盾である。
これでは、再処理で作った核燃料の使い道がなくなる。
国策の核燃サイクルに協力してきた青森県からは、使用済み核燃料の受け入れ拒否を求める声も出ている。不誠実な政府方針に対する青森県の怒りはもっともだ。
青森県が協力を拒否すれば、使用済み核燃料の保管場所がなくなり、各地の原発は早晩、運転を続けることはできなくなろう。
さらに、原子力の技術者になる人材が激減し、原発の安全性向上や、今後の廃炉作業に支障をきたす恐れもある。
◆日米同盟に悪影響も◆
日本が核燃料の再処理を委託している英仏両国も、日本企業が持つ原発技術に期待する米国も、強い懸念を示している。
米国は日米原子力協定に基づく特別な権利として、日本に使用済み核燃料の再処理を認めている。「原発ゼロ」を理由に、日本は再処理の権利を失いかねない。
米国が、アジアにおける核安全保障政策のパートナーと位置づける日本の地位低下も心配だ。
日本が原発を完全に放棄すれば、引き続き原発増設を図る中国や韓国の存在感が東アジアで高まる。日米の同盟関係にも悪影響は避けられまい。
国際社会との関係抜きに、日本のエネルギー政策は成り立たないことを、政府は自覚すべきだ。
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