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中盤の序盤2
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2012年9月16日 田中良紹の「国会探検」
ダブル党首選の顔ぶれが出揃い選挙戦がスタートした。一言でいえば勢いのない候補者の勢揃いである。
民主党には野田総理を再選させるしかない事情があり、勢いがないのも仕方がないが、自民党は出馬に意欲を見せていた谷垣総裁の足を引っ張っての選挙戦だから、もっと勢いが出るかと思ったが、迫力に乏しい「お坊ちゃま」たちの勢揃いとなった。
自民党総裁は総理になる可能性があるとして、メディアはしきりに政策の中身を聞こうとするが、前も書いたように自民党が政権をとっても「ねじれ」は解消されず、掲げた政策が実現される保証はない。だから政策を鮮明にすると自らを縛ると考えるのか、主張は似たり寄ったりで逃げの姿勢が見える。
ただ党首選には、今後の政局を占うための動きも見えるので、私なりの見方を書いておきたい。9月に入ると民主党では細野豪志環境大臣の代表戦出馬説が出回った。6日には有志議員が本人に出馬を要請する模様がニュースで流され、野田総理に強力な対抗馬が現れたと報道された。しかし7日には細野氏が不出馬を表明、一転して野田総理の再選が固まった。
これが何を意味するか。私には輿石幹事長の続投が固まり、総理の解散権にかんぬきがかけられたと見える。解散・総選挙を考えると民主党国会議員の多くは「選挙の顔」として野田氏より細野氏を担ぎたい。それを野田総理に見せつけたのが6日の動きである。そこで野田総理が「選挙の顔」が自分でない事を認めれば、細野氏に不出馬を言わせ、野田再選を固める。そのシナリオに見えた。
野田総理にはやり残した課題がある。「税と社会保障の一体改革」ではない。赤字国債発行法案と選挙制度改革法案の成立である。赤字国債発行法案が成立しないと政府の財布は空っぽになり国家は何もできなくなる。期限は「10月末」だそうだから、それまでには何としてもこれを成立させなければならない。
それを新しい「選挙の顔」ではなく野田総理にやらせようというのである。10月に開かれる臨時国会で野田総理問責に賛成した自民党は野田総理にどう対応するか。問責を盾に赤字国債発行法案の審議に応じなければ政府の財布は空っぽになる。民主と自民の我慢比べが始まる。最悪の場合は総理の首を差し出して実現させるところまでいく。それが10月政局の第一の攻防である。
自民党候補者の中で石破氏だけが無条件で赤字国債発行法案を認め、問責決議にも否定的な姿勢を見せた。野田総理にすれば石破氏の総裁就任が望ましい事になる。しかしその他の候補はそうではない。問責を可決した自民党内もそれで収まるとは思えない。
10月第二の攻防は選挙制度改革法案の成立で、これが成立しないと解散・総選挙は難しい。問題は消費増税で国民に負担を強いる3党が「身を切る定数削減」に踏み込めるかどうかである。自民党総裁候補は全員が「0増5減」で済ませる方針を示した。さらに40議席を削減しようとしている民主党とは対立する。この処理も問責を受けた野田総理にやらせた方が得策と民主党は考えている。
報道によれば細野氏に出馬を促し、その後に出馬を止めさせたのは輿石氏に近い議員だという。その人たちが出馬を止めさせたのは目的が達せられた事を意味する。目的は輿石幹事長の続投である。つまり今回の民主党代表選は、野田総理が去年の「どじょう演説」で輿石幹事長就任を約束し代表の座を勝ち得たのと同様に、輿石幹事長続投を約束した事で再選が約束されたと私は見る。
しかし政治の世界に裏切りは付き物である。それをさせないため3人が代表戦に出馬して強弱の違いはあるが野田批判をする。特に去年の代表戦で事前の予想を覆し野田代表誕生に最も尽力した鹿野元農水大臣が対抗馬として出馬しているところに、再選はさせるが勝手なことをすると包囲網を作るという意図を感じる。紆余曲折はあるだろうが「近いうち」は「選挙の顔」が代わってからではないか。
自民党の谷垣総裁は醜態をさらした。直前まで意欲を示していたのに党内に支える勢力が少なく不出馬を表明した。谷垣総裁を屈辱の不出馬に追い込んだのは「選挙の顔」にならないという自民党の都合である。政党支持率で民主党を上回ったとはいえ、大差がある訳ではないし、野田総理になってからの民主党政権に谷垣総裁は決して「押し」が強いとは言えなかった。
党首討論では3党合意を迫る野田総理に押し込まれ、3党合意との引き換えに解散を約束させる事も出来なかった。ただそこには無理からぬ事情もある。3党合意と解散の取引より、民主党分裂が前面に出たため、それを奇禍とした自民党は確かな解散の保証もないまま3党合意に引きずりこまれた。それが最終的に3党合意を否定する野党7会派の問責決議案に賛成する異様な決断に至るのである。
民主党に協力する3党合意と民主党と敵対する解散という2つの異なる要求が自民党内にあり、両方を同時に成し遂げなればならない立場に谷垣氏は立たされ、それが谷垣氏を追いつめた。また谷垣氏は野田対小沢という対立構図が生み出す政局にも勝てなかった。対立していると見て突き進むと足をすくわれる政局である。最後は小沢氏らが提出した問責決議に賛成するはめになった。
自民党総裁選に名乗りを上げた候補者たちは告示の日に、異口同音に谷垣総裁の仕事ぶりを讃え、ねぎらいの言葉を口にしたが、それがかえって白々しく聞こえた。しかし間もなく選ばれる総裁は谷垣氏と同じ立場に立たされ、3党合意と解散の両立を迫られるのである。
自民党総裁選の候補者たちに勢いを感じさせないもう一つの理由は、1年生議員の小泉進次郎青年局長の存在である。小泉氏は「野党に転落した自民党はすぐに政権に復帰しようとせず、真剣に反省して解党的出直しを図らなければならない」とか、「どこかと組む事を考えるのは、自民党を駄目だと言っているようなものだ」など至極もっともな事を言い、3党合意に批判的なスタンスをとっている。
その小泉氏がキングメーカーの役割を果たそうとした。19日に行われる青年局主催の討論会を聞いて誰に投票するかを表明すると発言したのである。これで混とんとする総裁選の行方に小泉氏が大きな影響力を持つことになり、総裁選の主役が候補者ではなく1年生議員になりかかった。
後にそうした考えは撤回されたが、しかしこれで小泉氏は十分に存在感をみせつけ、それと比べて候補者たちの迫力のなさが印象付けられた。小泉氏が言う通り、自民党は野党転落の原因を徹底的に究明し、民主党を批判するより民主党を超える政策を国民に提示しなければならない。
それもせずただ問責決議を連発してきた自民党から脱皮する事こそ次の総裁の課題である。それが見えないと自民党総裁選は目先の解散・総選挙を求める党利党略だけが浮き彫りになる。
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