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日本記者クラブ主催の討論会に出席した民主党代表戦候補者〔PHOTO〕gettyimages
「10月解散総選挙」は消えた。谷垣自民党総裁に続いて野田総理が財務省にポイ捨てされる日
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/33533
2012年09月14日(金)長谷川 幸洋「ニュースの深層」 :現代ビジネス
民主党代表選と自民党総裁選に出馬する候補者の顔ぶれがそれぞれ決まった。同じタイミングで橋下徹大阪市長が率いる大阪維新の会も、新しい政党「日本維新の会」を立ち上げた。次の政権の枠組みは民主、自民両党の新しいトップと日本維新の会の動向が大きな鍵を握る形になる。
これからどうなるか、は流動的な要素が多すぎて予想できないが、どうやら衆院の10月解散は先送りされそうだ。
野田佳彦首相は谷垣禎一自民党総裁、山口那津男公明党代表と会談した後で「近いうち解散」を表明した。肝心な部分は野田と谷垣2人だけのサシだったので、どんなやりとりがあったか分からない。谷垣は私も同席した田原総一朗のテレビ番組「激論!クロスファイア」(BS朝日)で「いろいろ意見の違いはたくさんあったが、外に出すのは『近いうち』という話だけにすることで合意した」と語っている。
その谷垣は総裁選不出馬を表明した。となると、野田は谷垣と具体的な解散時期に踏み込んで話し合っていたとしても、もはや谷垣との口約束を守る必要があるかどうか。「公党間の合意」と言えなくもないが、あいまいだった解散時期は一段とあいまいになった、とみていい。
■次の自民党総裁が野田民主党との連立に前向きかどうか
野田は先のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の折に、ロシアのプーチン大統領に対して12月にロシアを訪問する意向を表明した。プーチンも野田の訪ロを歓迎した。相手は一国の大統領である。素直に受け止めれば、野田は「12月まで解散するつもりはない」という話になる。
9月12日に開かれた日本記者クラブでの公開討論会では、野田は2012年度補正予算を編成する方針も明言した。少し前には13年度予算編成にも意欲を示している。これも年内には解散しない話になる。内閣改造にも言及した。
さらに足下を見渡せば、もともと総選挙での敗北が確実視される中、早期解散を求める民主党議員はほとんどいない。むしろ野田が解散先送りをほのめかせば、ほのめかすほど「それなら野田でもいいか」という野田再選容認論が広がる形勢にある。
谷垣不出馬と予算編成、12月の訪ロ、民主党内の反対論とこれだけ材料がそろって、それでも巷間伝えられるような「10月解散、11月総選挙」という話はいまでも生きているのか。私は10月解散説は消えた、とみる。
野田の戦略目標はなにか。それは「次の政権でも政権与党の一角に食い込む」ことだ。たとえ民主党が総選挙で大敗北を喫しても、自民党が第1党になるなら、3党合意をてこにして自民党との連立政権を目指す。選挙に負けたうえ、政権の座からも滑り落ちるような事態になっては、民主党自体が空中分解しかねない。それは避けたいはずだ。
となると、野田にとっては次の自民党総裁が野田民主党との連立に前向きかどうかが、政権運営の最大の判断要素になる。
谷垣執行部の一員である石原伸晃幹事長や町村信孝元外相、石破茂前政調会長、林芳正政調会長代理は3党合意を進める立場を明確にしている。それが直ちに民主党との連立につながるかどうかは不明だが、可能性は十分あるとみていい。
これに対して、安倍晋三元首相は明確に民主党との連立に反対の立場だ。3党合意についても、日本維新の会を視野に入れ、新たな勢力を加えて再構築する可能性に言及している。いずれにせよ、野田は党代表に再選されれば、新しい自民党総裁と党首会談を開いて、3党合意やその先にある連立の可能性について突っ込んだ協議をする運びになるだろう。解散に踏み切るかどうかは会談の結果次第だ。
■最終的に野田政権に引導を渡すのは財務省
波乱要素になるのは、特例公債法案の扱いである。
政府は公明党参院議員の質問主意書に対して、特例公債法案が可決成立していない状況で財務省証券を発行して財源を賄うのは「財政法上許容されない」という答弁書の方針を閣議決定した。
政府短期証券(FB)の一種である財務省証券は本年度20兆円まで発行できるが、財政法で年度内償還が義務付けられている。特例公債法案が成立していなければ償還財源のあてがないから発行できないという理屈だが、それは建前を言ったにすぎない。とりあえず財務省証券で手当てして、法案が成立した後、償還する道だってある。
それでも財務省が「財務省証券は出さない」と押し切ったのはなぜか。1つは野党へのけん制だ。「特例公債法案に賛成しないと、政府は地方交付税の支払いを凍結せざるを得ませんよ。政府が立ち往生して地方自治体が困るのは野党の責任ですよ」という話である。
もう1つは野田政権を追い込む狙いだ。「財務省証券を発行しないなら特例公債法案を成立させるしかない。それには早期解散で野党と早く話をまとめてください」という話だ。財務省は増税実施を確実にするために「早く次の連立政権を作りたい」というのが基本的立場である。与野党双方へのプレッシャーではあるが、ここは「野田政権にさっさと解散してほしい」という思惑が強く働いたとみていい。言い換えれば、野田倒閣である。
財務省は「11月末に財源が枯渇する」というのが公式見解なので、財務省証券を発行しないなら、特例公債法案の扱いを材料にした攻防のデッドラインはぎりぎり年末だ。それまでに解散をどうするのか。野田は(再選されれば)新しい自民党総裁と取引を迫られる格好になる。つまり政局の焦点は元に戻って「話し合い解散」に応じるかどうか、という話になる。
参院はすでに首相問責決議が可決しているので、次の臨時国会でも動かない。政府は絶体絶命の金欠病に陥り、法案は通らず、政権運営は確実に行き詰まる。こうみると10月解散はないとしても、ぎりぎり来年1月までには解散という運びになるだろう。
もっとも、自民党がだまされて特例公債法案に賛成する一方、野田は約束通り解散しない、という驚きのシナリオだって残ってはいる。自民党が絶対にだまされたくない、と思えば、最後まで徹底抗戦するしかない。次の総裁にそんなガッツがあるかどうか。
見方を変えれば、最終的に野田政権に引導を渡すのはだれか。財務省である。財務省証券発行によるファイナンスを拒否した結果、政権が立ち往生するのだ。財政規律を守るために消費税引き上げ法案を通した首相が、同じ財政規律を盾にした財務省によって倒されるのだとすれば、なんとも皮肉としか言いようがない。
財務省にとって、野田は増税法案を通しただけで十分に働いてくれた首相である。それ以上は、いつまでも粘られても困る。どうせ次は民主党政権ではないのだから、来年度予算編成なんてやってもらいたくはない。やり直しになるのが目に見えているからだ。仕事が終われば、さっさと交代。またまた「首相は使い捨て」になりつつある。
(文中敬称略)
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